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第29話 魔神デルム

 魔王ベルセウスの放った魔炎は、ラフィトを包み込み、勢いを増しながら燃え続けた。



「そろそろ灰になりおったか?」



「さすがに、魔界の炎となると、そう簡単には霧散してくれませんね」



 ラフィトの声が、炎の中から聞こえた。



「まだ持ち堪えておるのか!? さすがよな……褒めてやろう。ここまでわしのカラミティーフレア《魔炎の厄災》に耐えられたのは、貴様が初めてだ」



「だか、魔界の業火に包まれ、手も足も出まい。魔炎はどんどん勢いを増していく。勝負あったな」



「……あなたは、神代の炎が何色だったかご存知ですか?」

「何だ? 時間稼ぎのつもりか?」

「せっかくですので、お見せしましょう」



「フラム《龍神の炎》」



 勢いよく燃える紫色の魔炎に、いくつかの光の筋か走るや否や、黄金の炎が魔炎を突き破り、一瞬で吹き飛ばした。



「な……何だ……と……!?」



 黄金の炎が消えると、無傷のラフィトが姿を現した。



「ばかな!! あり得ん……こんなことが……」



「すみませんが、あまり長引かせると、味方の被害が拡大してしまいますので、この辺りであなたには退場していただきます」



「な、何だと!?」



「リヒト《龍神の閃光》!」



 まばゆい光が、魔王ベルセウスに降り注いだ。



――こ、この魔法はまさか……。ラフィト……貴様は……。



 ベルセウスの意識が遠のく中、辺りに不気味な声がこだました。



『……ベルセウスよ……敗北したようだな……』



 ベルセウスの首飾りの宝玉が、妖しい光を放っていた。



『……魔神デルム様……申し訳……ございません……』

『……よもや、あれの末裔が生き残っておろうとはな……。貴様では太刀打ちできまい。少し早いが、その身体、もらい受けるぞ……!』

『……御心のまま……に……』



 宝玉が砕け散ると、ベルセウスの身体は、緑色の光に包まれ、リヒト《龍神の閃光》はかき消された。



――そんなばかな!!



 ラフィトは、驚いた顔で緑の光に包まれたベルセウスを凝視した。



 光の渦の中で、ベルセウスの体が、別の何物かに生まれ変わっていった。



 緑色の光の渦が、徐々に解け始めた。


 

 ラフィトの目の前には、神々しいオーラを放つ大柄な男が現れた。



「……この大気……久しいのう……」



――今までとは、別格だ……。

 


 男はひとしきり辺りを見渡すと、ラフィトに向かって言った。



「余は魔族の始祖、魔神デルム。子孫どもが世話になったようだな、龍神の末裔よ」



 ◇◆◇◆



 地上から戦況を見守っていたリドールとマリアーナは、上空の異変に目を凝らしていた。



「信じられん。ラフィトの龍神魔法がかき消されたぞ! ……それにあの魔族は一体……?」



「……ちょっと、まずいかもしれない……」

「え!?」

「私の精霊眼には……あれは、魔族とは違う何かに見える……」

「……」

「あれはたぶん……もっと恐ろしい何かだよ」

次回予告:第30話 古代神の復活


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