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第28話 魔王 VS ラフィト

 地上で鳴り響く轟音に、眼下を見下ろした黒炎鬼バルトと白氷鬼ドムルは、信じられない光景を目の当たりにした。



「……ま、まさかラームが人間ごときに……!」



「ぼくの仲間が、やってくれたようですね。もう一度聞きます。退却してもらえませんか?」



「…………」

 


 バルトとドムルは顔を見合わせると、向きを変え全速力で後退しようとした。



「おい、どこへ行く気だ?」



 バルトとドムルの行く手に、魔王ベルセウスが立ち塞がっていた。



「……べ、ベルセウス様!! 我らはその……一旦戦況のご報告に伺おうかと……」



「貴様らには、敵の殲滅を命じたはずだ。敵前逃亡は死罪に値する」



「お、お待ちください魔王様! 我々は……」



「わしの前から消えるがよい!!」



 魔王の手から、禍々しい紫の瘴気を纏った巨大な炎が放たれた。

 


「ま、魔王……様……」



 バルトとドムルは、一瞬で焼き尽くされ、辺りには紫の瘴気のもやだけが残った。



「……見たことのない魔法ですね」



 ラフィトは言った。



「あなたが、魔王……」



「いかにも。わしが魔王ベルセウスだ。今の炎は、魔界から召喚した魔炎というものでな。お前たち人間の扱う炎とは、全く次元の異なる威力と超高温をもつ」



「そうですか。それで、あなたにも一応聞いておきますが、軍を引き、地上から魔界へ撤退してはいただけませんか?」



「あの魔炎を見て、なおその余裕か。大したものだ。貴様は一体、何者だ?」



「ラフィトといいます。ただの人間の平民ですよ」



「ふん、偽るでないわ。わしの魔眼には、貴様の放つ異質なオーラが見えておるぞ」



「……で、撤退はしていただけるのですか?」



「舐めるでないわ!!!」



 ベルセウスはラフィトに手をかざすと、詠唱を始めた。

 巨大な魔法陣が展開された。



「魔界の炎よ、蹂躙せよ! カラミティーフレア《魔炎の厄災》!!」



 紫色の炎の濁流が、ラフィトを襲った。



「シルト《龍神の盾》」



「無駄だ! 魔炎は防御壁もろとも焼き尽くす。わしが解除しない限り、永遠に燃え続ける死の炎よ。魔王にたてついたこと、後悔しながら魔界の業火に焼かれるがよい!!」



 ◇◆◇◆



――まずい……。体だけでなく、魂が損傷してる……!



 傷付き意識を失ったリドールを、スピリットアイ《精霊眼》で解析したマリアーナは、跪き、祈りの体勢を整えた。



「大気に満ちる精霊たちよ、精霊神ルキアの眷属が願い奉る。我に力を……」



 大気中に発生した細かな光の粒子が、マリアーナの杖の魔玉に吸い込まれ、杖全体が青白く輝いた。



「ブレスオブゴッド《神の息吹》!」



 リドールの体が、淡い光に包まれた。



「…………。ん……俺は……」

「気が付いた? リド!」

「……マリー、か? お前が治癒してくれたのか……」



 リドールは体を起こした。



「しかし……グランヌスを使って……治癒魔法で回復できるはずが……」

「精霊神ルキア様に感謝しなきゃ、だね。あんまり無理しちゃ、ダメだよ!」

「そうか……精霊魔法で……。すごいな、マリーは」

「ふふん、いっぱい修行したからねー!」

「……ラフィトは?」



 リドールとマリアーナは、上空を見上げた。



「あれは……魔王なのか?」

「だぶんそうだね。なんか……レベチで強そうだし」

「……ラフィトを信じるしかない……か」

「ん? 大丈夫でしょ!」



 マリアーナは、にっこり微笑んだ。



「私たちのラフィトは、最強だもん!!」

次回予告:第29話 魔神デルム


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