第25話 イムサル平原の戦い
翌朝イムサル平原では、北にダムランド軍、南に魔王軍が、約500mの距離で対峙していた。
リドールのトライアドは、西側の右舷に配置されていた。
隙を見てサイドから敵軍本陣に切り込む、という役割を期待されてのことだった。
太陽が真上に昇る頃、魔王軍が一斉に動き出した。
「迎撃せよ!!」
セシウス師団長の合図で、ダムランド軍は一斉に魔法砲撃を開始した。
イムサル平原は、両軍乱れての修羅場と化した。
砂埃と無数とも思われる魔法陣で、10m先も見通せない状態だった。
リドールたちは、マリアーナの精霊魔法で誘導してもらい、手薄な所を縫って敵軍の奥深くへ切り込んで行った。
「マリー、少し時間を稼いでくれ!」
「オーケー!」
リドールは、剣魔法の詠唱を始めた。
頭上に、魔法陣が展開された。
「顕現せよ! 魔剣ゲルラ!!」
リドールは、魔法陣の中から、赤い炎を纏った両手剣を抜き取った。
「交代だ、マリー!!」
「了解よ!」
リドールは、前衛に躍り出ると、指揮官クラスと思われる魔族に切り掛かった。
魔族は、バリア《防御魔法》を展開した。
その刹那、リドールの振り抜いた魔剣ゲルラは、魔族を防御壁ごと両断した。
あまりのできごとに、部下の魔族たちは呆然とリドールを見つめていた。
リドールは間髪入れず、ゲルラで周囲を薙ぎ払った。
周りいた魔族が数体、一気に消し飛んだ。
リドールが、突然片膝をついた。
――やはりこたえるな……。
「ラフィト、後は任せた!」
「了解です!!」
今度は、ラフィトが前衛に出た。
「リヒト《龍神の閃光》!」
光と共に、周辺に残る魔族たちは次々と霧散し、リドールたちは、小隊ひとつを、ものの数分で殲滅した。
◇◆◇◆
――あの気配は……見つけたぞ! 西か!!
「魔王様にご報告です! 本軍左舷の一個小隊が、全滅! 敵兵数名が、真っ直ぐこちらに向かって来ております!!」
――やはり西か。迷いなく、わしの元に……。探知魔法のエキスパートもおるようだな。
「三鬼将を、本陣左舷に向かわせろ!」
「はっ!」
◇◆◇◆
「兵を本陣の周りに集めろ! 国王陛下をお守りするのだ!!」
中央では、一進一退の攻防が続いていた。
セシウス以下、ダムランドの精鋭たちもよく善戦していたが、やはり魔族の力は強大だった。
「リドールたちのトライアドは、どうなっておる?」
「まもなく、敵本陣に到達するものと思われます!」
――リドールよ……武運を!
ラウルスは、剣を空に突き上げ、叫んだ。
「皆の者、我らの家族を守るため、何としても持ち堪えよ!」
「おぉ!!!」
次回予告:第26話 三鬼将
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