第23話 王都攻防
王宮の会議室には、国王ラウルス、王子リドール、セシウス、および重臣一同が集結していた。
「皆、聞いてくれ」
ラウルスが口を開いた。
「結界が瓦解した以上、全面戦争は避けられない。魔王軍が王都を目指し進軍してきておるなら、ここで迎え撃つほかあるまい」
「民はいかがいたしましょう?」
「義勇兵として戦闘に参加するもの以外は、魔法学校に避難させよ。メラニア女史が、精霊神殿も解放し、避難民を受け入れてくれることになっている」
「は! ただちに!」
「セシウス、魔王軍の進軍速度は?」
「斥候によれば、飛竜に乗った魔族の空軍部隊が先行し、早ければあと1時間で王都上空に襲来します。その後、魔王率いる陸軍本隊は、今からおよそ3時間後に来襲の見通しです」
「……そこまで近接しておるか……。急がねばならんな。セシウス、遠距離魔法が放てる者を至急集めて、城壁の上に配置せよ。空軍部隊を迎撃するのだ。それ以外は、南門前の大広場に集結させよ。軍編成は任せる。皆、総力戦と心得よ!」
「は!!」
◇◆◇◆
「リド!」
父セシウスと共に、王宮に駆けつけていたマリアーナは、会議室から出てきたリドールを、ようやく捕まえることができた。
「戦況はどうなってるの?」
「第一陣は、飛竜に乗って空から襲撃してくるようだな。あと1時間だそうだ。遠距離魔法で迎撃する部隊が、城壁の上に展開する」
「私たちはどうすれば……」
「俺たちトライアドは、義勇兵の扱いになるらしい。……ラフィトは?」
マリアーナは、黙って首を振った。
「待ち合わせは、明日の予定だったからな……。魔王軍に、先手を打たれてしまった」
リドールは、悔しそうに言った。
「ひとまず俺は、遠距離魔法は得意ではないが、飛竜の迎撃に加わろうと思う」
「任せて。私が精霊魔法で支援するから」
「セシウス先生から聞いたよ。マリー、精霊魔法を習得したんだってな。やっぱりお前はすごいよ」
「えっへん。もっと褒めていいよ!」
「……そういうところだぞ、お前は」
◇◆◇◆
「飛竜、確認できました! 距離2km!」
「いよいよ来たな。マリー、正確な位置は補足できるか?」
「ちょっと待ってね」
マリアーナは跪き、祈りの姿勢を取ると、唱えた。
「精霊魔法、スピリットアイ《精霊眼》!」
「視覚共有しとくね」
「……これはすごいな。飛竜の座標がはっきり分かる。助かるよ」
「あと、魔法強化もできるか?」
「任せて!」
「エンハンス《強化》!」
飛竜隊が王都上空に到達した。
「放て!!」
セシウスの合図を皮切りに、両軍の魔法攻撃が入り乱れ、空に幾筋もの閃光が交差した。
リドールも、強化されたウィンドミル《風刃魔法》を絶え間なく放った。
「リド! 攻撃に集中していいからね。 防御は私に任せて!」
「了解だ、マリー!!」
戦況は拮抗していた。
飛竜には魔族が乗っており、一体撃墜するのにも、かなりの力を要した。
リドールは、マリアーナの助けもあり、相当数の敵を倒したが、味方の被害も拡大していた。
次第に、魔力総量に勝る魔王軍が優勢となっていった。
――まずい……このままでは押し切られてしまう!!
次回予告:第24話 ラフィトの到着
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