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第20話 龍脈

 結界の綻びに応急処置を施すため、戦地に留まったラフィトは、早速セシウス魔法師団長率いる調査団と共に、綻び箇所の特定に取り掛かっていた。



「この辺りのはずだが……。ラフィト君、どう思う?」



 ラフィトは、結界の表面に意識を集中させた。



「ここで間違いありません、セシウス様。やはり、経年劣化ですね。土台結界の編み目が、かなり粗くなっています」

 


「応急処置だけでも、可能だろうか?」



「少し時間はかかると思いますが、やってみます」



 ◇◆◇◆



 結界の処置には、数日を要した。

 ラフィトが土台部分の修復を担当し、セシウスたちは、周囲の警護にあたった。



「それにしても、君の魔法……龍神の古代魔法は、何度見てもすごい術式だな。魔法陣も、複雑極まりないが、なんというか、純粋に美しい」



 その日の作業を終え、野営地で焚き火を囲みながら、セシウスが感心しきりに言った。



「どうでしょうか……。亡くなった父に言わせれば、まだまだ未熟なのでしょうが……」



 ラフィトは、恐縮しながら言った。



「その……立ち入ったことになるのだが……」

「構いません。何でも聞いてください」

「お父君は……ご病気で?」

「はい、5年前に。今のセシウス様と同じくらいの年齢だったと思います」



「それは……あの術式と何か関係が?」



 ラフィトは、少し驚いた顔でセシウスを見た。



「……さすがですね。お気付きでしたか」



 セシウスは、やはりそうか、というふうにしばらく口をつぐんだ後、言った。



「あの魔法は、我々の扱う現代の魔法と、根本的な原理が違うものだ。一体、何を源としているのかね?」

「我々の魔法は、体内で生成した魔力のみで発動するものではありません」

「……では一体、何を……?」

「龍神の魔法は、龍脈――大地を流れる地脈の力を利用したものです」

「……それは……」

「そうです。龍神魔法は、この惑星そのものの生命エネルギーを源としています。我々一族は、自らの体を媒体に、龍脈の力を顕現させているのです」



 長い沈黙が流れた。



 ようやくセシウスが口を開いた。



「そのような莫大な力を扱えば、体も長くはもたないだろう。そしてあの術式は……発動している間、絶え間なく力の供給が必要となるはずだ」

「……はい。結界を維持するため、我々一族の体もまた、少しずつ消耗していきます。一族が皆、短命である理由はそこにあります」



 セシウスは、ゆらめく焚き火を見つめて言った。



「ダムランドの平穏は、君たち一族に支えられていたのだな……。本当にすまない……」

「いえ……我々の故郷を守るためでもあるのですから……。ただその役割も、私で最後のようですね」



 ◇◆◇◆



 結界の応急処置を終えたセシウスたちは、ようやく王都へ帰還することになった。



「ラフィト君は、これからどうするのかね? 王都に戻るなら、是非一緒に……」

「ぼくは、一旦故郷に戻ろうかと思います。外界に出発する前に、色々と準備もありますから。それに、父の墓参りも済ませておきたいのです」



「そうか。では、また半年後に王都で会おう」

「はい。お世話になりました」



 セシウスとラフィトは、それぞれの帰路についた。

次回予告:第21話 魔王ベルセウス


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