第13話 防護結界
リドールたちがセシウス魔法師団長の待つ大本営に到着すると、そこには国王ラウルスの姿もあった。
「父上!! 来られていたのですか!」
「魔族の指揮官を討ち取ったという報告を受けてな。先刻、王都から到着したところだ」
「リドール殿下が重傷を負われたと聞き、いてもたってもいられなかったのでは?」
「セシウス、いらぬことを言うな」
ラウルスはひとつ咳払いをし、言った。
「リドール、無事で何よりだ。そして、そなたたちトライアドの功績、誠に大義であった」
リドールたちは片膝をつき、頭を下げた。
「しかし、よもや魔族を相手に、どのように勝利したのですか?」
セシウス魔法師団長がたずねた。
リドールは、ラフィトの方を見た。
ラフィトは、そっと頷いた。
「この度の顛末、リーダーである私からご報告いたします」
リドールは、魔族との戦いと、ラフィトから聞いた銀髪の一族の歴史について、ありのまま説明した。
◇◆◇◆
リドールの話が終わると、しばらく沈黙が流れた。
ラウルスが、ようやく口を開いた。
「ラフィト、といったな。まずはリドールとマリアーナの命を救ってくれたこと、心から感謝している。そして、銀髪の一族に対し、我らが先達の行った非礼、不義理について、王族を代表して深く謝罪する」
ラウルスは、そしてその脇に控えているセシウスもまた、深々と頭を下げた。
「そ、そんな……頭をお上げください!」
ラフィトは、恐縮しながら言った。
「国王陛下、私たち一族は、もとより何も恨んでなどおりません。それどころか、国を治めることのご心労、いかほどのことか、胸中お察しいたします」
ラウルスは、驚いたように顔を上げた。
「よもや治世の労苦を、かつて王族を追われた一族から労ってもらえるとは、思いもよらなかった。これほど高潔な一族を……。重ね重ねすまない」
◇◆◇◆
その後、話は今後の対応についての協議にうつっていった。
セシウスは言った。
「指揮官が討ち取られたことで、今回侵入した魔王軍の先遣隊は敗走の様相です。残存する魔物の掃討も、数日内には完了するでしょう」
「すると、残る課題は防護結界か……」
リドールは、腕組みをしながら呟いた。
「ラフィト、今回魔物が結界を抜けて侵入したのは、何故だか分かるか?」
「土台となる結界、つまり古代魔法で構築された部分が、寿命を迎えつつあるのだと思います」
「結界の再構築は可能なのか?」
「……難しいと思います。国祖様の依頼で結界を構築した際、一族、数十名が総出で、数週間かけて行ったと伝え聞いています」
「いま、銀髪の一族は?」
ラフィトは、力なく首を振り言った。
「おそらく、ぼくが最後の生き残りでしょう」
次回予告:第14話 リドールの決断
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