第11話 仲間
――古代魔法……。ラフィト…あなたは……。
「マリアーナさん、安心して休んでください。現代のものとは異なりますが、その魔法はヒーリング《治癒魔法》のひとつです。リドールさんも、必ず助けます」
マリアーナは、心地よい光の膜に包まれながら、静かに目を閉じた。
◇◆◇◆
目を覚ますとマリアーナは、野営テントの簡易ベッドに横たわっていた。
隣のベッドではリドールが、静かな寝息を立てていた。
――リド……。無事で良かった……。
「め、目が覚めましたか?」
顔を向けると、ラフィトが天幕を開けて入ってきた。
「ラフィト……。あなた大丈夫なの?」
「マリアーナさんのヒーリング《治癒魔法》のお陰で、至って元気です」
「いや…そうじゃくて、その…なんていうか、色々違って見えたから……」
「ああ…あの姿のことですね」
ラフィトは、少し気恥ずかしそうに俯いた。
「その…怖がらせてしまいましたか?」
「怖くなんかなかったよ! ただ、ちょっと驚いただけ」
「秘密にしていたこと、まずは謝ります。その…何かと事情もありましたので……」
「おあいこ、だね」
マリアーナは、いたずらっぽく笑った。
「そうですね」
ラフィトもつられて笑った。
「リドールさんが、命懸けでぼくを守ろうとしてくれたこと。マリアーナさんが、ぼくを仲間だと言ってくれたこと。本当に嬉しかった。ずっと孤独だったものですから……」
ラフィトは、意を決したようにマリアーナを見つめた。
「でも、ようやく打ち明ける決心がつきました。長い話になりますが、聞いてもらえますか?」
「是非聞かせてもらいたいものだな」
「リド!!」
振り返るとリドールが、まだ体が痛むのか、顔をしかめながら体を起こしていた。
「もう大丈夫なの?」
「ああ。まだ全快とはいえんが、あれだけの傷を負ったんだ。こうやってお前たちと話せることの方が驚きだ」
リドールは、ベッドの端に腰掛けた。
「ラフィト、まずは礼を言わせてくれ。俺とマリーを救ってくれたこと、心から感謝している」
「こ、こちらこそです、リドールさん」
「改めてだが…その…仲間として…俺も話を聞かせてもらえるだろうか?」
「リド、顔が赤いよ?」
「うるさい、お前は黙ってろ」
ラフィトは微笑んで言った。
「もちろんです」
次回予告:第12話 銀髪の一族
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます!
もしよろしければ、この下にある評価欄にもご協力いただけると、とても励みになります!
ブックマークもいただけると、嬉しいです!
今後とも、よろしくお願いします!!