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第10話 古代魔法

「今度は貴様が相手をしてくれるのか? あの小僧の有様を見ても、まだ向かってくるとはな」



「あんまり大物ぶってると、後悔するよ!」



 マリアーナはウィンドミル《風刃魔法》を放った。



「リドールのお返しだよ!」

「やれやれ、力量差も分からんのか」



 魔族は片手でバリア《防御魔法》を発動した。



「このような脆弱な魔法、いくら放ったとて、我に傷ひとつ負わすことはかなわんわ」



 その刹那、マリアーナは、真空の刃と共に全力で駆け出した。

 魔族の展開する防御壁の下を掻い潜り、股の下から背後に滑り込んだ。


 

「まともにやりやっても、敵わないことくらいわかってる! でもこれだけ密着すれば……」



 マリアーナは、背後から魔族を羽交締めにし、サンダボルト《雷撃魔法》を放った。



「マ、マリアーナさん無茶だ!」



 雷撃が、マリアーナもろとも魔族を貫いた。



「こ…この至近距離なら…さすがに……」



 マリアーナは力尽きて、地面に突っ伏すように倒れ落ちた。



「マリアーナさん!!」



「…何かしたのか?」



 マリアーナは愕然とした。

 魔族は無傷でその場に立っていた。



――そんな……相討ち覚悟の攻撃でも、傷ひとつ付けられないなんて……。これじゃあもう……。



 マリアーナの目から、涙が一粒こぼれ落ちた。



「リド、助けてあげられなくてごめんね……。ラフィト、何とか逃げて……」



 魔族は、マリアーナの頭を片手で掴み、持ち上げて言った。



「このまま握りつぶしてくれよう」



――私、死んじゃうんだ……。お父様、ごめんなさい……。



 その時、轟音が鳴り響いた。

 魔族の片腕が吹き飛び、マリアーナは暖かい光の膜に包まれた。



「グォッ!! 我の腕が……!」



「ぼくの仲間に触らないでください」



 そこには、ラフィトが立っていた。

 銀色の髪はやわらかな白光を放ち、銀眼には五芒星がくっきりと浮かび上がっていた。

 


「……ラフィト……なの?」



 ラフィトは、優しく微笑むと頷いた。



「話はまた後で」



 ラフィトは、魔族の方へと歩いていった。



 魔族は、吹き飛ばされた肩口を、もう一方の手で押さえながら言った。



「貴様!! 何をした? ただの魔法ではないな?」

「いや、ただの魔法ですよ。あなたが生まれるよりずっと昔の、ですが」

「ありえん! 我は1000年以上生きておる魔族ぞ!」

「思ったよりお若いですね」

「なっ……!」

「できれば、ここで退いてもらえませんか?」



 魔族は、憤怒の表情でラフィトをみた。



「ふざけるな!! 貴様ら3人、まとめて消し飛ばしてくれよう!」



 そう言うと魔族は、詠唱を始めた。

 大きな魔法陣が構築されていった。



「この付近一帯を対象にしたバースト《爆裂魔法》ですか……。やむを得ません」



 ラフィトは片手を挙げた。

 魔族の頭上に、幾重にも重なる魔法陣が展開した。



「何だ!? この異様な数の魔法陣は?」

「古代魔法です。見るのは初めてですか?」

「あり得ない! 人間がこのような魔法を……貴様は一体……」

「ぼくの仲間に危害を加えようとする以上、あなたには消えてもらいます」



「リヒト《龍神の閃光》」



 魔族の頭上で閃光がきらめくと、一瞬のうちに魔族は光に飲み込まれ、細かい粒子となり、霧散した。



 あとには、ひとかけらの痕跡も残らなかった。

次回予告:第11話 仲間


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