語り部②
月明かりが煌大きなガラス窓の中から、部屋の中を照らしてい高価な品がその存在を幻想的に表現している中……。
その部屋は幻想的とは反対の物々しい雰囲気をその中にいる者達は発していました。
特に、部屋の中心部分にいる三人の男性と一人の女性達からは周りの者達よりもさらに重い空気が流れていたのです。
その中の一人……中心部にいる中で若い青年のうちの一人が……口を開きました。
「……この報告や、今までの行動を加味すると……あいつはもう必要ないと思うが兄さんはどう思う?……意見を聞かせてください。」
「そうだね、僕も同意見だよ、僕の弟は一人だけだと思っていたからね……それでいいよね、父さん母さん」
「そうね、私達も息子は貴女達だけだと思っているから……何も問題ないわ……あなたは?」
「あぁ、私も同じ気持ちだ。」
身内排除を決定し、確認し合っている話なのに周りで聞いている者達の顔には強張りはなく逆に笑みを浮かべている者さえいるのです。
この身内排除の決定は、彼達のだけの負の感情だけではなく……周りの者達にとっても抱えてきた負の感情を一層するまたとない機械なのです。
「それでは、兄さんお願いします。」
「あぁ」
「今ここに、ロウ・ミッゼが宣言する……我らミッゼ家はミカ・ミッゼと牙を剝きそれらの仲間にも明確な敵意を示す……交戦の始まりになるだろう。……今より我ら吸血鬼の誇りを胸に敵を打つのだ」
こそまで、大きい声の宣言ではなかったのですが……何分部屋は彼達の声を聞き逃さんと耳をダンボにして聞いている者達が多かったものですから……とても静まりかえっていたので……そんな大きな声ではなくても、池に波紋が広がるように良く聞こえるのです。
「先祖の為に勝利を!」
「我々の誇りを!」
「勝利は我らに!」
彼ら……いいえ、これはミッゼ家と言った方が正しいでしょう……ミッゼ家の宣言を聞いた周りの者達の熱気はついに爆発したのです。
大きな声で闘志を露わにし、戦線の為にその身を捧げる気でいるのでしょう。
部屋が歓喜や熱気で満たされたその時……招かれざる客がこの部屋に突如現れたので……重厚そうな扉を開けて。
扉のあく音と同時にそれは……彼らの弟……元弟と言う存在が姿を現したのです。
「何で来た……お前は呼んでないぞミカ」
ミカ・ミッゼという存在が部屋の雰囲気を一気に氷点下までに下げたのです。
「兄さん達……さっきの話は本当?」
「……盗み聞きしていたのか?」
「今はそんな事どうでもいいから教えてれ……さっきの話は本当?」
「嘘の宣言をしてどうするのかな……ミカ」
雰囲気はさらに悪きなるばかりで良くなる兆しなどまったく見えません……。
そんな中彼らの母が一言発し……その場は何とか無事?に事なきを得たのです。
「アルフ、ロウ誰と話してるのです……。早く明日の準備をしましょう。」
一言には何分言葉数が多い気がしますが、この言葉によってその場は収まったのです。
息子二人は、一瞬呆気にとられたが直ぐに元に戻ると……まだ言葉を処理できていない元弟を一蹴する様にし、部屋を後にしたのです。
それは、両親達も同じです。
そして、それを見た周りの者は彼を嘲笑いながら出て行ったり、馬鹿にしたしながらその部屋を後にしたりしました。
部屋に残されたのは、元弟だった人物のみです。
そして、その人物こそが……今回語られる……主役の一人でもあります。
主人公で有りながら……失敗した人物なのです。