語り部①
暗い夜道の中に不気味な光が煌々と照っている。
その光を目指して足を進めると一つのボロ小屋に着く……古い引き戸を誘われるまま引いてみると……中はまるで別世界だ。
沢山の人と音楽絢爛豪華な調度品の数々中央に鎮座する豪華な舞台ホールとその演奏者達……人々は時間を忘れて夜を過ごしているのが分る。
そんな中、一際大きな音が小屋の中を占めた。
その音が合図だった可の様にさっきまで喋っていた者達は一気に口を閉ざし中央の舞台へと熱い視線を向ける。
煙がホールの真ん中で起きたかと思うと……そこにはいつの間にか人間がいた……男性とも女性とも取れない体で、服は黒一色……顔は仮面に隠れ分らず……明らかに怪しいその者に人々は……熱心に視線を送っていた。
こんにちは。
今回の語り部を担当させていただきます「回」と申します。
皆さんもどうか回もしくは、回君と呼んでいただけたら幸いです。
まず初めに私達語り部がどんな心情を持って存在するのか簡単にご紹介しましょう。
「そんな事より話を聞かせろ」
「心情とか興味ない」
まあ、そういった方々が多いのは重々承知しているのですが……これも語り部ならではの規則に書いてあることなのでお付き合い願いたいのです。
我々語り部は、古来より人々に一時の癒しを与えるために設計されました。
お客様の要望に応えその都度新しい語りをして前りました。
その中で我々語り部の規則として一番重要視されているのが……お客様に与えるのは一時の癒しで有り……依存ではない事……また、そのような事を目指してはいけないということです。
どんな語り部でもお客様が付きますが……長期的な顧客にしてはいけない事が約束されています。一時の癒しなのですから……心を癒して早く語り部で有る私達から卒業していただくのが目標ですから。
どうぞ皆さんに良い日が……私達語り部がいなくて良い日が来るように願います。
「…そんなのはもういいから早くはじめろ!!」
「そうだそうだ」
「早く話せそれがお前の仕事だろ!!!」
それでは皆様の……声に答えて早速語り部としての役割をさせていただきます。
皆さんの今日の語りの要求は……面白くも悲惨な話……勘違い野郎の話を要望しているので……今回はその話をさせていたた来ます。
皆さんは命は一つで……人生は一回でしかないとゆうことはご存じでしょう。
ですが、それも例外が有るのはご存知ですか。……勿論その例外も希少な事なのでほぼ皆無と言って良いのでしょうが。
そんな皆無的な確立を充てた二人の男性の話をしましょう。
一人は、臆病で保身的……自分大好きな命大事に人間です。
もう一人は、満身的で傲慢……プライドが高い盲目的な馬鹿。
そんな人間が……同時刻に命を落とし大きな当たりを引き……二度目の人生を送る事になりました。
その世界は、二人が住んでいた世界とはまったく違う世界なのですが……二人のうち一人はそのことにまったっく気づかなったのですが……ある出来事が切っ掛けで気づき記憶を取り戻し今の人生に足掻こうと努力し演技し…最後には自分を見失ってしまいます。
もう一人は、最初からその世界を知っていて、自分をその世界の主人公と決めつけて……何も努力しませんでした。
なぜかって言いますと……特殊な物語でない限り……主人公は必ず最後には幸せになると決まっているものですから、変に努力する必要がないのですよ。
ですが、これはある条件が合っての事なのです。
一つは、その物語に沿っていること、そしてもう一つは、同じ国に同じ条件の人間が存在しない事が条件に挙げられているのです。
「確かに」
「……何でだ?」
「最初は分るけど……最後は何でかしら?」
皆さんの疑問はもっともでしょう。
まず、皆様が疑問に思っています、同じ条件の人間が存在しない事について説明しましょう。一番最初の筋書き道理に沿っていることについては、説明するまでもありませんよね。
筋書きい道理にいかなければ、もう知っている世界ではなく、別世界なのですか……最低でも筋書き道理に進めればまだ修正可能ですからね。
では、なぜ一人一世界でなければいけないのか……それは「もしもの世界」の可能性が高くなってしまうのでその可能性を軽減させるために必要なじょうけんなのです。
曖昧な人間の記憶の中で……一時一句間違いなく覚えているなんてまず不可能に近いものです。大方大事な事柄や鍵になる言葉を覚えていても他の事は曖昧といった事が多いのです。
そんな曖昧な記憶を持っている人間が……もしくはその世界を知らない人間が複数人同じ空間に何人もいたらどうでしょう……その世界の道がいつの間にか変わっているなんて事があり得るのです。
「なるほどね」
「……納得」
「それじゃ、主人公気取りは……最初からミスしてるのね」
賢い皆様ならもうお分かりでしょう。
これは、馬鹿な主人公と臆病者の面白おかしい……異世界に稀に転生して二人同じ場所に行き……知識がある者と、無い者の行き違いが起こした。悲劇であり喜劇の話を語らせていただきます。
「待ってました」
「ついに始まるのか」