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俺がAランク冒険者になったわけ

あれは、パーティー『夜』を結成して約一ヶ月たった頃。俺が中3の時だな。


 あの時は、まだ皆Fランクだったんだよな。

 毎日俺以外の皆で低い階層の草取り。


「ねぇねぇ!試験受けに行くから修も着いてきて!」


 乃々愛が俺の腕を取り無理やり引く。


 ランク昇格のためのテストを試験という。


 自分より一つ高いランクのダンジョンで敵を前にしたときの立ち回りを見る。


 俺は、皆が強くなれば俺が働く必要もなくなるんじゃね、という不純な動機で受けに行った。


 そして、見事合格。


 俺と乃々愛はEランクとなった。



◆◇◆◇◆◇



 次の日。


「修君、今から試験に行きたいんだけど着いてきてくれないかしら?」


 凪沙が言う。


「嫌だ」


 俺は断る。


 だって昨日受けたんだよ?今日も受けたらギルド職員に変な目で見られる。


 それに単純に面倒だ。


「私のランクが上がったら楽させてあげるわよ」


 クソ、行くか。


 凪沙はEランクに、俺はDランクとなった。



◆◇◆◇◆◇



 次の日。


「修、試験、一緒行こ?」


「は、背後を取るな!」


「行こ、楽させる」


「行こう」


 この日、美奈はEランクに、俺はCランクとなった。


 今日行ったら、職員からはあ?って顔をされて、受かったらめっちゃびっくりしてた。


 三日でランクが三つも上がるのはとても珍しいことらしい。



◆◇◆◇◆◇



「兄さん――」


「行こっか」


 なんとなく分かっていた。

 どうせ、陽菜乃も来るんだろうって。


 そして無事、陽菜乃はFランク、俺はBランクとなった。


 なんか、世界最速らしく噂になっていた。世界的に。


 顔を仮面で隠してて良かった。



◆◇◆◇◆◇



「「「修(君・)!」」」「兄さん」


「ちょ、ちょっと待って。今日は、さすがに――」


 はい。皆、合格致しました。


 俺もすっかりAランクとなって、有名になってしまいました。


 世界最速と世界最年少らしい。


 いっとき、ダンジョンに潜るのやめよう。


 そして、気づいた時には俺の『マスター』という名とパーティーは有名になっていた。


 皆も、すぐにAランクへと上がっていき『夜』という名も世界的に有名になった。



◆◇◆◇◆◇



 回想終了。


 暇だったので回想していた。


「はああああああ!」


 分かったのは、イケメン君がそんなに強くないということ。


 イケメン君は騎士らしい。

 騎士とは、剣士より少しだけ能力値が高くなっているジョブだ。


 だけど、剣筋はブレブレ。腕は、大きく振りすぎてて、軌道が丸わかり。だからといって速さがあるわけでもなく。ただの初心者。

 このまま、冒険者を続けたとしても剣士である乃々愛を超えるのはありえないだろう。


 そんなイケメン君が俺に勝てるはずもなく――


「うわー」


 俺はやられたふりをする。


 地面に倒れ込み……ちょっと待てよ!

 今倒れてんだから、剣で叩いてくんな!

 オーバーキルだって!


 てか、観戦している生徒嘲笑ってるけど、ほんとに人間なの?

 先生も止めないとかおかしくない?


 特に痛くはないし、反撃はしないけど。


 結局、俺へのいたぶりは授業が終わるまで続いた。


 チクるよ?仲間に。



◆◇◆◇◆◇



 パーティーホーム。


 街の外れにある一つの家。そこで俺たちは、暮らしている。


 別にハーレムを狙ってたわけではない。というか、それはまずいと思って俺だけは実家でいいと言ったんだ。


 そしたら、皆がそれはダメだと。

 まあ、実家は遠かったので俺はここに住むことにした。


 俺は帰ってきたらまずゲーム。

 次に、食事担当の凪沙が作ってくれたご飯を食べる。

 その後にお風呂に入る。

 そして、宿題をして寝る。


 俺の平日の流れはこんな感じだ。


 他のメンバーは大抵ダンジョンに行く。


 あれ?おかしいな。他のメンバーとそんなに歳は変わらないのにな。

 他のメンバーも学校はちゃんと行ってるし、いつ宿題してんだろう。


 いや、乃々愛はしてないか。


 もうそろそろ、俺も変わらないといけないと思っている。

 働くのは確かに面倒だ。

 だけど、このまま彼女らに養ってもらったままでいいのか?

 良くない。


 なら、行動に移すしかないな。


 まずは、彼女たちのために料理を作ろう。



◆◇◆◇◆◇



「ただいま〜!」


 乃々愛の元気な声が家に響く。


「ん?なんか臭くないですか?」


 陽菜乃があまりの匂いに鼻を押さえる。


「本当ね、何の匂いかしら」


「焦げ臭い」


 四人はリビングへと入る。


「あ、おかえり」


 俺は四人を出迎える。

 両手に暗黒の物質を持ったまま。


「違うんだ。たまにはいつも頑張っている皆を労ろうと思ってさ」


 俺の口からは自然と言い訳がでてくる。


「労る?なら、明日一緒にダンジョンに行こ。それと、もうキッチンには立たないで」


 


 俺は料理担当の凪沙から料理禁止命令を出された。その上明日のダンジョン攻略に参加することになった。


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