〇章二話 転生される前準備
めっちゃ遅れた
一旦データ飛んだんだよと言い訳をしてみる
…ん?
目が覚めるとそこは一面真っ白な世界だった。
どうやら俺は死んだらしい。だがこうして意識があるのは何故だろう?これがいわゆる死後の世界なのだろうか?金縛りだろうか、手足の感覚が全く無いが視界は動かせる。…そうだ、怪我はどうなった?あの胸に開けられた大穴は‥ない!?そこには自分の体の代わりに白い人魂がふわふわ浮いていた。
なんか体という枷がなくなったからか結構自由に動かせる。三次元の滅茶苦茶な機動も出来たし三人称視点にも出来た。
「面倒な事になりましたね…」
結構滅茶苦茶に動いてはしゃぎまくっているといきなり横から声が聞こえた。咄嗟に振り返ると、スーツをきっちり着こなした青年が資料を手に悩んでいた。いつの間に来た?気づかなかったぞ?
ー何処から来たので?ー
今の俺は喋れない。魂だから。テレパシーっぽいものを出してみる
「あの扉からです。」
通じた。青年が指さした方向を見ると、なるほど確かに扉がある。と言うより俺がいた位置の真後ろだ。
ー貴方の名前は?ー
「申し遅れました。クルットルの兄のキガと申します。」
クルットルのお兄さんねえ…うん?
「まあ私の名前はどうでもいいです。問題は貴方何ですよ。」
ー私が?なんで?ー
「貴方は元々あそこで死ぬ定めじゃ無かったんです。それがどっかの馬鹿妹のせいで…それだけならまだよかったんですけど、あの馬鹿自らの手で殺しましたからね…」
ー何か不都合が?ー
「ええ。神が直接殺すと『絶死』の呪いがかけられて殺された人が生き還ることは無いんです。『神は重要な決断及び約束を決して破ってはならない』ので…生き返りたいんですか?」
ー勿論です。ー
「…そうですか。少し、この世界について説明しましょう。世界は『霊力』と『粒子』の二つから作られております。粒子については説明は不要でしょう。霊力は…」
そこから話は続いていき
「…となる訳です。分かりましたか?」
ーええ。魂は霊力で出来ている。魂はか弱いから外殻を作る…それが身体。魂が身体を維持できなくなると死ぬ。…死んだ魂は何処へ?ー
死んだ魂は『渦』に入って分解、再構築されて新たな生を受けるのです。それを使えば、転生は出来ます…出来る?」
キガ
なんか神様が長考モードに入った様だ。さっき、魂分解って言ってたな。…死ぬじゃん俺。
絶死は神が魂の霊力を限界まで吸収する能力なのかもな
「そうだ、転生したいんだよね、じゃあ渦に入れよう!」
そんな考えに耽ってると神様はいきなりとんでもない事を口走った。
え、え?
「転生したいんでしょ?ここって本来死後の魂が入る場所で魂すし詰め状態なんだけど君というイレギュラーが来たから無理いってあけてもらってたんだ。それがみんなの様になりたいという!有難いよ!」
え、え、ええ?
「さあさあ行こうすぐ行こう」
ーえ、ちょ、まー
そんなこんなで連れて行かれた先には『何か』があった。
その空間の中心あたりに混沌とした球体が浮いていた。周りの空間を歪めに歪めて何か禍々しいオーラをまき散らしながらそれは鎮座していた。
その近くにはコンベアがあり、荒巻スカルチノフ…魂だろうか…が載せられて次々と落とされて行る。
「あ、そうだ」
そうして彼は自分に何か緑色の破片の様な物体を『直接』埋め込んできた。あれですね。魂に直接攻撃されるとこんなに痛いもの何ですね。意識飛びかけましたよ。
ーいったい、なにをー
「転生したいっていってたでしょ?だから分解されない様にしたんだ。それがある限り君は『死ねない』から」
はい…はい?
今、死なないじゃなくて死ねないって
「さあレッツゴー貴方!無限の渦の彼方にさあ行けぇ!」
という声と共にコンベアに載せられた。逃げようとするが縛り付けられたかの様に動けない。落ちていくのか…!
落ちていく時、恨みの眼差しを彼に向けたら、
さようなら。貴方のこれからに平穏のあらんことを…」
と言っていた。
最後に神っぽいことするじゃねえか。
人物紹介
キガ…双子の兄。割と常識人
クルットル…双子の妹。ちょっとドジっぽいがブラコンである。
どちらもかなり美形だが混ぜるな危険。実はこの二人、どこかで狂っている。
元ネタは勿論 気が狂っとる ですよ?