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パートナーは聖竜  作者: みるちゃん
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第2章

「僕は今日までにパートナーを見つけなきゃ。」


シィアはディルとノールに頼んで町に連れていってもらうことにした。


「珍しいなシィア。シィアから俺を誘うなんて。」


「パートナーを早めに見つけなきゃいけないからねー。」


「でも、町に行くといっても昨日と同じ交流所に行くんですよね?」


「うん!でも、交流所以外にもドラゴンはいるわけだし、町をふらついてみようかなーって。」


「まあ、とりあえず町に行こう。早く乗りなよ。」


シィアはノールの背中に乗り町まで連れていってもらった。町が見えてくると、シィア達は町の中央にある噴水の近くに降りた。


「先に交流所にいくのか?」


「うーん、交流所は最後でいいかな?まだお昼にもなってないからちょっと町を見て回ろうよ。」


「わかった! まぁ、たまにはゆっくりするのも良いか。」


町を歩いていると、町の中央にある大きなスクリーンに気付いた。


「大きなテレビですねー。やっぱり町の中央は他の所と比べて凄いんですね。」


「そう言えば俺ら、あまり町に行ったことなかったからな。」


「だから今日は少し楽しみにしてたんですよ!」


ノールは上機嫌に答えた。


「ノール、それならそうと言ってくれればよかったのに。」


「あはは!そしたら今日は楽しんだらいいよ。」


すると、スクリーンから聞いたことあるような声が聞こえた。


「♪ー♪ーー♪。」


「あ、この声は!?」


その声は、間違いなく昨日出逢ったドラゴン、そう、フィアネの声だった。


「うわー!やっぱりフィアネちゃんは可愛いですよねー!歌も上手ですし。」


「そんなに人気があるの?」


僕はノールに聞いてみた。


「それはもう語れないほど彼女は凄いんですよ。特に僕たちのような雄のドラゴンには人気度が高いですし、それに人間が作ったファンクラブの会員証も未だ取れてない人(竜)達が大勢いるんですよ。」


「へぇー、そんなに人気があるドラゴンなんだね。」


「しかも、彼氏やパートナーもいないですし、もう、すべてにおいて完璧なドラゴンですよ。」


(あ、やっぱり彼女が言った通りパートナーはいないんだ。)


歌が歌い終わると、インタビューが始まった。


「今日はいつもより元気があるように見えましたが、何か良いことでもあったんですか?」


「実は昨日、初めての友達が出来て、いまとても幸せな気分なんですよ。」


どよどよ・・・。

ざわざわ・・・。


町にいた人や竜達一つのスクリーンに注目した。


「そ、それは誰なんです?雌のドラゴンですか?それとも?」


「えへへ、それは秘密です!ひとつだけ言えるのはドラゴンじゃなくて、人間の男の子ですよ。」


フィアネは嬉しそうに答えた。


「人間の男ですか!?」


「今はここの観客達の中にはいないけど、テレビで見ていてくれていると思います。」


「その方とパートナーを組むつもりなのですか?」


「彼は確かにパートナーはいませんが、彼はそのようなつもりで私と仲良くなったわけではないので多分私とは・・・。」


「出来ればどうしたいのですか?」


インタビューの記者は興味津々に質問した。


「え!?わ、私は・・・えと・・・シ、いえ、か、彼が良ければ・・・その・・・。」


フィアネは顔が真っ赤になっていて、恥ずかしそうにモジモジと答えた。


「す、すみません!私、そろそろ行かなければいけないところがあるので!!」


フィアネは観客や記者の前から空高く飛び立っていった。


「大変な事になりました。 我らのアイドル フィアネちゃんに初めての友達、異性の、しかも異種の友達が出来たそうです。 これは一大ニュースです。」


テレビ中継のマスコミと、それを見ていた町の人たちは大騒ぎになっていた。


「まさか、人間の友達が出来たなんて・・・。」


ノールはショックを受けていた。


「だ、大丈夫かいノール?」


「はい、でも、友達だなんて羨ましすぎます!! その人間・・・憎いです。」


ノールはしょんぼりしたと思いきや今度は殺気のようなものを放っていた。


それを見たシィアはブルッと震えた。


「まぁ、気にすんなよ。お前じゃフィアネちゃんには釣り合わねぇよ。」


「そ、そんな事言われなくてもわかってますよー!」


「とりあえず、街を見て回りたいところだなんだけど、ノールがちょっと荒ぶってる様だし、お前1人でもいいか?」


「え? あ、う、うん・・・。」


それから、シィアは1人で町をうろうろ回った。

途中、何度もドラゴンに話しかけられたが、すぐに決めるのもいけないと思い、相手を傷つけない様に断った。途中で会ったドラゴン達からは何故か羽根を一枚ずつ貰った。 どうやら、マーキングの意味も込められているらしい。


「う〜ん、こんなにたくさん羽根を貰ったのはいいものの、もう誰から貰ったかなんて覚えてないよ〜!!」


シィアはとりあえず、街中の椅子に座り、両手に溢れんばかりの羽根をどうにかしてカバンに詰めようとした時、誰からか、後ろから肩をツンツンと突かれた。


つんつんっ♪


「あら・・・すっごい羽根の量。 もしかして・・・もうパートナー決まっちゃったかしら・・・。」


少し薄汚れた身体全体を覆うフードを被っていたドラゴンが話しかけてきた。

シィアが顔を覗き込むと、それは昨日初めて会った、それも先程テレビに映っていた、フィアネだった。


「あ、フィ!!んん!?!」


「名前呼んじゃダメ!!バレちゃうわ!!」


「どうしたのこんなところに!?こんなところにいたら大変だよ。」


「あ、えっと・・・あの・・・えっと・・・シィアに早くこれを届けなきゃと思って・・・。」


フィアネはスッとピアスをシィアに差し出した。


「あ、これは僕のピアス!?拾ってくれてたんだね。どうもありがとう。」


「う、うん、それでね。ち、ちょっと話があるんだけど、その・・・いいかしら?」


「どうしたの?」


「ちょ、ちょっとここじゃ恥ずかしくて言えないわ・・・。とりあえず、人気のいないところにいいかしら?」


シィアとフィアネは路地裏の人気のないところへ行った。


「ご、ごめんなさいね。いきなりで驚いたでしょう?」


「良くここがわかったね。 また会えて嬉しいよ。」


「う、嬉しい・・・!?」


フィアネは何故かシィアの顔を直視出来ないでいた。


「ここじゃまだ、誰か来るかもしれない。もっと町から離れたところに行かない?」


「わかったわ。そ、それじゃあ、私の背中に・・・。」


シィアはフィアネの背中にぴょんっと乗った。


「っきゃぁ!?」


「ど、どうしたの!? ごめん!重かったかな?」


「だ、大丈夫よ!!」


すると、フィアネは物凄いスピードで町の外に飛び出した。


「大丈夫?落ちそうになぁい?」


「うん、大丈夫だよ。」


「私・・・人を背中に乗せて飛ぶの生まれて初めてなの。」


「そうなんだ。じゃあ、僕が一番だね。」


「・・・・・・。」


それから、フィアネは人のいない草原に降り立った。それから、シィアの前に立ち、何やら言いたそうにモジモジしていた。


「わ・・・私ね!!! 初めて背中に乗せる人は絶対にパートナーがいいなって思ってたの!!」


フィアネは物凄く大きな声で叫ぶ様に言葉を放った。どうやら緊張している様だ。


「そ、それでね・・・ねぇシィア、わ、私がシィアのパートナーになったら・・・シィアは嫌かしら・・・?」


フィアネは色んな感情を殺し、恐る恐る聞いた。

フィアネの顔は真っ赤に染まり手はふるふると震えており、今にも泣き出しそうな顔をしていた。


「え!?僕のパートナーにかい?」


「・・・・・・。」


フィアネは下を向いたまま顔をあげようとはいなかった。


「僕は嬉しいなー。フィアネがパートナーになってくれたら! 」


「ど、どうして?」


「だって、初めて背中に乗せるのはパートナーの人だって決めてたんでしょう?それなのに僕を背中に乗せてくれたし、それに、テレビでもあんな風にいわれたらねー・・・。」


「や、やだ・・・。やっぱり見てたのね!」


「だって、あの時テレビでシィアって名前を言いかけたし、僕も凄く嬉しかったし、昨日もフィアネと話してて凄く楽しかったよ?」


「あ、ありがとうシィア。」


「ところで、フィアネはまだパートナーはいないんだよね?」


「え?えぇ、いないわ。」


「だったら僕のパートナーになってよ!ほら、昨日話した明日までにはパートナー探さないといけないって話。実はまだ決まってなくてさー。それにもっとフィアネと話がしたいし。」


「ホント!?本当に私がシィアのパートナーでいいの!?わ、私でいいの!? 」


「もちろんだよ!

これからよろしくねフィアネ!」


シィアは自分のベールライセンスをフィアネに渡した。フィアネはライセンスを額にくっつけ、パートナーとの契約を結んだ。すると、ライセンスにシィアとフィアネの顔が写し出された。


「これで契約完了だね!これからよろしくね。シィア!」


「おーいっ。シィアー!」


振り向くと、ディル達がこっちに向かって飛んできた。


「探したぞ〜!!どうしたんだよ? って、うぉおぉお!?!? このドラゴンって!? あの!?」


「う、う、歌姫フィアネちゃんじゃないですか!?!? どどど、どうしてこんなところに!?!?」


「うん、今ちょうど彼女のパートナー契約をしたんだ。」


「へぁ!?!? けけけけけけ、契約って!?ま、まさかあのあの、友達って言うのはシィアさんだったんですか!?はわわわわわわわわわ。」


「黙っててごめんね二人とも。フィアネに迷惑かけたくなかったんだー。」


「い、いえ。な、納得です・・・。」


「ねぇシィア。この方達はシィアの友達なの?」


「うん、そうだよ。こっちの人間はディルでこっちのドラゴンはノールだよ。」


「私フィアネ。よ、良かったら友達になってくれたら嬉しいわ・・。」


フィアネは手を差し出した。


「え・・・あ・・・俺はディル・・・です。」


「ぼ、僕はノールです!よ、よよよ宜しくお願いします。」


「雄のドラゴンの友達は初めてだわ!宜しくね。ノール君。」


「あ、な、名前呼んで・・・。」


フィアネはノールの両手をギュッと握りしめた。


ブハッ!

ドシーンッ!


ノールは鼻血を流しながら倒れた。


「う〜〜〜〜〜〜ん・・・」


「はぁ、パートナーとして恥ずかしい・・・。おぃ、起きろぉー。・・・すまないシィア。こいつ意識ないみたいだからちょっと俺はノールを引きずって帰ることにするよ。」


「大丈夫?私が抱えるわよ!こう見えても私、力持ちなのよ!」


「え?い、いいのかい??あ、ありがとう。」


ノールを家まで抱えていったあと、僕たちはディル達と別れた。ディルはどうやらノールの事が心配らしい。


「シィア。ちょっとついてきて欲しい所があるの・・・いいかな?」


「もちろんいいよ。」


「それじゃ、背中に乗って。」


僕はフィアネの背中に乗るとフィアネは翼を広げ、地面を蹴りあげ空に向かって羽ばたいた。あっと言う間に山の頂上まで一気に上昇したのでぼくは耳が痛くなった。


「いまからどこに行くんだい?」


「パートナーが出来たら・・・一緒に行くって決めてた所があるの。あ、見えてきたわ。」


空から見る海はとても美しく輝いていた。


「あ!!海だね!!」


フィアネはゆっくりと砂浜に降りるとシィアを背中からおろした。


「人気の無い海って落ち着くわ・・・。」


「そうだね・・・。」


「海なんて、撮影の時しか行った事なかったから、一度来てみたかったの。」


フィアネは海を眺めながら言った。


「私ね。本当にシィアがパートナーになってくれて本当に嬉しい!!私には、友達と呼べる人やドラゴンはいなかったし、作ろうともしなかった・・・。でも、貴方に逢えて私は自分から貴方とパートナーになろうと言う事が出来たわ。」


「フィアネ・・・。」


「シィア。選んでくれて本当にありがとう。これから宜しくお願いします。」


「こちらこそ。宜しくお願いします。フィアネ!!」


「うんっ!!!」

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