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森林浴  作者: satoda
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遠條兄妹の冒険

冒険好きな兄妹は今日も森へと遊びに行く、しかし森は危ないので気をつけましょう。

遠條清春えんじょうきよはるあき兄妹はいつもの様に冒険ごっこをしていた。

清春は象撃ち銃に見立てた棒を担ぎ、昭は父のカンカン帽を被りツルの曲がった眼鏡を首にかけて二人は森へと向かっていた。気分は未開の大陸を進む誇り高き冒険家の様に唄を歌いながら胸を張って歩く。目の前に蔓があるなら手で退けながら、不安定な岩場があれば敢えてそこを歩き、小川があれば砂漠でオアシスを見つけた旅人の様に美味しく飲んだ。そうして冒険家の気分を味わうのが二人はなによりも好きだった。

しかし毎度毎度のこと奥へと進み森が仄暗くなると昭は怯えてしまい清春は兄として仕方なく引き返していた。しかし今日という日は進んでみたいという幼さ特有の意固地な好奇心が清春の心を染めた。

「アキ、お前はいつもここで引き返そう引き返そうと言うがそれが冒険家として良いのかい?冒険家なら怯える様なモノを見たとしても自分と仲間を信じて進むものじゃないか。僕を信じられないと言うのかい、同じ隊員だろう。」

「清ちゃんでもね、どうしてかここまで来るのは全く以って怖さや恐怖心なんて物は全く無いんだけれどねここに来ると行っては行けない気がして足が進まないの」

「恐怖心と怖さは一緒だろう。その恐怖心を食い殺して進むのが冒険家じゃあないのかい?」

「食えるものと食えないものだってあるよ、冒険家だって毒のあるものは食わんでしょう」

「食うさ、みんなの前で食ってやるのが冒険家さ、この未開の地を進めばごっこじゃなく本物に成れると思うんだ。アキはなりたくはないのかい?僕はなりたいよ」

少し意地悪な言い方をすると昭は兄の言葉に乗り進む決心をし、清春と昭は進んだ。昭は清春の腕を掴みながら、恐る恐る苔のむす森を一歩一歩歩く。

昭は背後に何かがこちらを見ているようで、一々ビクビクと後ろを振り返り、視界の隅にモゾモゾと動いた様に見え、驚き飛び跳ねる。そんな昭の臆病が清春にも移り十分もすると二人は互いの腕を抱き寄せ怯えて歩いた。

奥へと進む程に霧が濃くなり全身が湿り始めた。冷や汗をかいていた二人はびしょ濡れた様な気分になり、服の裾を頻りに絞った。しばらくすると遠くから何か声が聞こえた。それは低音で腹にとても響き、兄妹は逃げ出したい気持ちに襲われた。

「怖いか?」

清春がなんでもない風に昭に聞いた。

「全く以って、お兄ちゃん熊かしら?」

昭もなんでもない様に返し、続けた。

「熊だとしたら、みてみましょう。お兄ちゃん。生の熊なんてこの辺りでは見ないでしょう?見てお父さんとお母さん、吉叔母さんに自慢しましょうよ。」

母に似た笑顔で清春に言った。

「そうだね、もし何かあればこの象撃ち銃があるしな。」

清春は手に持っていた棒を掲げて力強く小さな声で言った。

そうすると二人は先程までの臆病は何処へやら、腰を屈めながら熊へと近づいた。近づくたびに声のした方へ昭は眼鏡を双眼鏡の様に使い観察した。そうしてそろりそろり声の近くまで来ると都合のいい茂みがあったので二人はそこで身を隠し、息を潜めてそろりそろりと顔を上げた。

周りは白くよく見えなかったので二人は声のする方へと目を凝らした。

霧で輪郭がぼやけていたが、木から熊のようなものが生えていた。胸を反りながら身体を降るわていた。ビクビクと見ていたら不意に清春は冒険小説の内容を思い出した。

北方の新大陸に偵察に来ていた冒険者が木を壊す一つ目の熊に食い殺されるというモノだった。

それを思い出すと清春は風邪でも引いたかの様にブルブルガタガタと震え始めた。隣で見ていた昭が心配する程に、遂に清春は自慢の象撃ち銃《棒》を捨て声を殺しながら昭を置いて走り出した。どこへ向かってるのか帰り道なのかも分からずにただ走り続けた。そうしていく内に霧が晴れ自分の知っている森へと変わっていった。

「清ちゃん!」

昭に似た声が右側から聴こえてきた。そちらを見ると昭が苔のむした岩場に座っていた。

「昭…?」

清春は呆けた様に声を出した。

「清ちゃんなんで勝手に行ってしまう」

昭は腹を立て、清春に迫った。

「置いてったのはすまなかった、怖かったんだ。ごめん、ごめんよ。」

「本当よ、寂しかったよ。お尻だって濡れちゃったよ」そう言いながら昭は言葉を続けた

「清ちゃん象撃ち銃は?」

すると清春はアッと声を出した。

「いけない、忘れてしまった。どうしようかな」

「今日は暗いから帰りましょうよ清ちゃん」

「そうだね、しかしあの熊は凄かったね昭」

「クマ?」

一週間間隔で出したいのにもうサボる良くない

次はしっかり金曜日に出したいです。

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