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恋と甘さとはにかみと。  作者: ハルカ カズラ
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④ショートケーキと可愛いせんぱい


 やっと名前を聞けたわたしは、聞けたその日から成希なるきせんぱいと呼ぶようになった。たった一つしか違わなくても先輩だし、そうやって呼んでいるけれど結構照れくさいのか、わたしが呼ぶたびにカレは、はにかんだ笑顔を見せるようになった。


 それでも学校の中では学年も違うし、気も遣わせちゃうからあまり会わないようにしてたけど、せんぱいの家はそもそも和菓子屋さん。だから、学校を終えたらいつも会うようになった。


桜月さつきさん、この前言ってたケーキ屋さんに行こうか?」


「ホントですか! い、行きます行きます!」


 成希せんぱいはそもそも家が和菓子屋さんだから、てっきり自分の家以外のお店には行かないものだと勝手に思っていたけど、約束通り一緒に行くことになった。


 と言っても、行列が出来る有名店とか大人の人が行くような所じゃなくて、近所……商店街に佇んでる、個人のケーキ屋さん。ここももちろん、わたしの行きつけだったりする。


「桜月さん、何が一番好きなの?」


「えっと~苺が乗ったケーキです!」


「……そっか、じゃあそれにしようか」


 当然だけど、少ないお小遣いで買えるケーキの種類なんて限られていて、フルーツ盛りだくさんのケーキとか、ミルクレープなんかは高め。そんな中でやっぱり、ショートケーキはわたしでも気軽に買えるお値段。


 個人のケーキ屋さんでも、4人くらいは座って食べられる席があって、そこにわたしと成希せんぱいは座って、ケーキを食べることにした。


「んん~~~! ふわっふわっ! せんぱい、クリームとかカスタードがふわふわしてて美味しいです!」


「食べてる時の桜月さんって、いつも幸せそうだね。見てると俺も何か嬉しいな」


「そ、そんなことないですよ~……って、あれ? せんぱい、上のイチゴって最後に食べる派です?」


 自分の食べる速度が早すぎるということもあるけれど、成希せんぱいのケーキはまだ半分くらいで、上に乗っているイチゴには手を付けていなくて、ついつい聞いてしまった。


「実はさ、俺、イチゴ苦手なんだ。ケーキは好きなんだけどね……よかったら、桜月さんが食べる?」


「えっ? いいんですか?」


「いいよ。じゃあ、はい」


 そう言うと、成希せんぱいはフォークでイチゴを軽くさして、わたしの口にイチゴを持ってきた。えっ? これって、わたしがおねだりしちゃった系なの? しかも食べさせてくれるとかマジですか!?


「あ、う……」


「口付けてないし、あげるよ。だからその、桜月さん……口を開けてくれると嬉しいかな」


「は、はい~」


 これって、まさかのアレなの? いやいや、待って。なんか、急に緊張して来た。


「桜月さん、美味しい?」


「は、はい。すごく」


「なんか、何てことないはずなのに照れるよね。そ、そろそろ出よっか?」


「はい~」


 イチゴの甘酸っぱさを感じながら、何だかよく思い出せない位に味が分からなかった。普段、せんぱいと話をしたりするときにはこんな感じになることなんて無かったのに、どうして急になってしまったんだろ。


 すごい不思議に感じながら、成希せんぱいとショートケーキを食べる時はいつもア~ンをしてくれるようになっていた。イチゴが食べられないのにどうして頼んでくれるのかな? なんて思いながら――

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