徴兵騒動③
「この声は・・・グレイ!?」
見つかってしまったのか?どうすれば・・・
とにかくグレイの元へ行かなきゃ!
「母さん、グレイが!早く行かないと!」
母さんが強くうなづく。
「ええ!行きましょう!」
村人もみな不安そうな顔をしている。
「なぜ見つかったの!隠れていろといったのに!」
「とにかくわしたちも急ごう」
森に近づくにつれ、争う声がより大きく聞こえてきた。
「だから俺は違うって!」
「ええい!おとなしくしろ!いい加減にしないとその首はねてやるぞ!」
フレパース王国の鎧を来た兵士とグレイがもみ合いになっている。
「グレイ!」
「レイス!?お前からもいってやってくれ!俺は違うって!」
僕に向かってグレイが叫ぶ。
そうしているうちに他にも兵士が4人ほど集まってきた。
「貴様ら・・・嘘をついてこいつを隠していたな?」
兵士が怒りに満ちた目でこちらを睨みつけてきた。
僕が説明しようと前へ1歩踏み出すと、村長がそれを止め
自ら前へ出て説明を始めた。
「滅相もございません!この村はギリギリでやっているものでして
15に満たぬグレイならば此度の件関係なかろうと仕事をさせていたので
ございます」
「ほう・・・15に満たぬかどうかは私たちが判断するところ。
昨日我らが出した指示を土民風情が無視をした、ということだな?」
「そうではございませぬ!しかしながら」
「ええい黙れ!いい訳など聞かずともよい!」
そう兵士は言うと、弓を取り出し、空へ向かって放った。
ヒューーーーという甲高い音と共に矢は大きく空へ上がる。
「い、一体何を・・・」
兵士はニヤリと笑い、
「隊長をおよびした。沙汰は隊長が到着次第決まる。
土民風情が我らに逆らった事を後悔するんだな」
村長が脂汗を流しながら兵士に懇願する。
「騎士様、こちらの判断でグレイを村から出したことは
本当に申し訳なくおもっております。
しかしどうか、どうかこの村の現状を考え、温情を」
村長が話している途中に兵士が剣を抜き、村長の首元に当てる。
「イヤアアアアアア!!」
「村長!」
皆がパニック状態になりかけた時、兵士が一言つげる。
「いいか。3度は言わんぞ。いい訳など聞かずともよい。
隊長が来るまで黙って待っていろ。次に一言でも発したら
こいつの首を叩き落す。良いな。」
ドドドッという音と共に先ほどの隊長たちがこの場にやってきた。
「これはこれは、大変面白くない事態になっているではないか。」
不気味な笑みと共に、鎧を赤く染めた隊長が僕たちの目の前に現れた。