徴兵騒動②
「ほう・・・14とな?嘘はついていないだろうな?」
隊長が疑惑の目を向けてくる。
「はい、フレパース王国の騎士様に偽りなど申しません」
「ふむ・・・」
隊長は僕の目をじっと見つめ、何か思案しているようだ。
バレたらどうしようという不安を押し付け、堂々と答えた。
「まぁよい。どれ・・・どの程度集まった?」
隊長さんが周りの兵に聞いた。
「ハッ、18名集まりました!」
「たった18か、しけた村だな。しかも集まった男共の面構えも
しょぼくれている。所詮は田舎の土民共か」
隊長が振り返り、皆に向かって声をあげる。
「いいか!我らが国王は土民だろうが手柄をあげれば貴族の位を
与えてもよいと仰られている!本来貴様らにそのようなチャンスなど
あるわけもなく、一生土民として暮らすしかない。だがしかし!
今回のこのチャンスによってその可能性がでてきたのだ!喜んで励むがいい!」
・・・何が手柄だ、何が貴族だ、ろくな装備も持たせられず、
最前線で捨て駒にされるだけじゃないか・・・
「では、我らはこれより王国へ帰還する。今年の税の徴収にも来るからな。
忘れるじゃないぞ」
そういって隊長たちは村のみんなを連れて去っていった。
「ど・・・どうするのよ・・・これじゃあ畑仕事もままならないどころじゃないわ」
「餓えてしまう・・・」
「あなたああああああああ!いやああああああ!どうして・・・どうしてなの・・・」
皆が絶望に満ちた顔で膝をつき、途方にくれていた。
今年の税?やつらの頭は空っぽなのか?自分の食い扶持すらままらない人から
どうやって税を徴収するつもりなのか・・・。
「レイス!無事でよかった・・・」
母さんが駆け寄って抱きしめてくる。
「母さん・・・僕は大丈夫だったけど村のみんなが・・・」
「そう・・・そうね・・・これからの事をみんなで考えましょう・・・」
母さんはそういうけど、これからの事をみんなで考えるって言っても・・・。
いい案が思いつかない。ただでさえギリギリだったんだ。
一体どうしろっていうんだ・・・。
「そうだ・・・!グレイは?グレイは大丈夫だったのかな?」
僕はそう言い、森に向かおうとした。
「レイス!待ちなさい、まだダメよ!兵士がまだ監視しているかも知れないわ。
もう少し待ってからにしなさい」
そうか、村の人間を隠す事なんて誰でも思いつくこと。
もういなくなった、と思い呼んだところで捕まる可能性もあるわけだ。
今はもう少し待ったほうがよさそうだ。
「わかったよ、母さん」
僕がそういった時、
「やめろ!俺は14歳だ!まだ子供だ!」
「黙れ!貴様、隠れていたな!?」
争う声が森のほうから聞こえてきた。