序章~ポスタル村~
僕の名前はレイス・フォール。16歳。男性。
髪は茶髪で瞳は赤色。身長は155cm。
不細工とは冗談でも言われたことがないから、きっと容姿は人並み以上なんだと思う。
格好いいなんて言われたこともあまりないんだけどね・・・。
僕の家は代々農家をやっていて、僕も例に漏れずフォール家の
家を継いで農家をやっていくんだと思う。
それに不満はないし、両親が守ってくれた土地があるから
飢えることなく暮らしていけるんだと思う。
そう。『いままでは飢えることはなかった』んだ。
でも・・・。
-ポスタル村-
「おい、聞いたか?また税が上がるって話だぜ」
「聞いたよ・・・いよいよ今年の冬はやばいかも知れない」
「どうするんだよ、お前んとこはガキが3人もいるじゃないか」
「そうなんだよ・・・もう身売りでもさせるしかないかも知れない・・・」
僕の村の名前は『ポスタル村』っていうんだ。
人口260人を超える大きい村なんだ。
ここ4年、村の中はいつもこんな話題ばかり。
というのも、4年前まで僕の村は『レスターク王国』っていう国だったっていう話なんだけど、
『レスターク王国』と『フレパース王国』という所が戦をしたんだ。
その結果『レスターク王国』は『フレパース王国』に見事に敗北。
僕たちの村も『フレパース王国』に変わったんだけど・・・。
「レスターク王が処刑されて、フレパース王になってから・・・ロクな事がねえ・・・」
「あぁ・・・本当にな、治安も悪くなるし税は重くなるし・・・俺たちはどうなるんだ・・・」
そう、僕らの王様が戦に負けて、向こうの王様に処刑されてから税が変わったんだ。
今まではこくみんぜいだとかなんたら税だとかで、半分ぐらいの農作物を税として収めていれば
良かったんだけど・・・。
「何が『貴国の兵のせいで、我が国に甚大な被害が出た。よって5年間の間、税を7割とする!』だ!」
「まったくだ!俺らが何をしたってんだ!」
新しい王様が税を7割にしたんだよね。僕の家はそこそこ蓄えもある大きい農家なんだけど
そんな僕の家でも今はギリギリの状態。去年の冬はなんとかなったけど、今年は餓死者が
出てしまうかもしれないぐらいなんだ・・・。
「やっぱり、王様に直接お願いするしかねえ!」
「やめとけ!殺されるだけだぞ!」
「だったらどうするんだよ!?このまま冬が来れば餓死するだけだぞ!」
村の話題はこればっかり。人事じゃないんだけど、話してても状況が良くなる訳じゃない。
話題にすれば暗くなるだけだから、村の中で大声で怒鳴りあうのはやめてほしいなぁ。
「あぁ、レイス君じゃないか、これから麦の世話に?」
話しかけてきたのは村長さん。穏やかでやさしい性格の人なんだけど
やっぱり表情が暗い。
「えぇ、そうです、父がいればもう少しなんとかなったのですが・・・」
「ボルトさんか・・・確かに彼がいればなんとかなったかも知れんのにな・・・
っと、すまない・・・、気を悪くしないで欲しい」
「いえ、もう4年も前の事ですから。僕が母を守らないといけませんし、しっかりしないと」
父さんの名前はボルト・フォール。身内自慢になるけど、父さんは本当にすごかったんだ。
父さんが耕した畑は麦がよく育つし、腕っ節も強かった。村に泥棒が入ったときも
いつも父さんが捕まえてた。でも4年前の戦で、父さんは兵士として勇敢に戦って死んでしまった。
「そうか・・・引き止めて悪かったね、今日も頑張ってくれ」
「はい、いってきます」
今日も僕は麦の世話にいく。このうち何割が手元に残るんだろうか。
今年の冬を越せるぐらい残るだろうか。そんなことを考えながら・・・。




