雪の妖精とのファンタジー
体がゆれている。ゆらゆらゆらゆら……。
「て……おき……」
声も聞こえる?誰だろう。僕に対する声なんてここ最近聞いた覚えがない。とても心地のいい声。ゆらゆら。
「ったら……おきて……」
うーん、できればまだ寝ていたいんだけど僕を呼んでいる声は気になる。ベッドで寝ていたはずなのに体にあたる感触は冷たい。雪の上に寝転んでいるような。でも、地面と接しているらしい以外の部分も冷たい……?
「いいか……きなさ……」
仕方がない。少し目を開けて見るだけ…………
目を開けた僕の目の前にあったのは……女の子の顔?
「うわっ」
僕が驚いて思わずよくわからない声を出して飛び起きると女の子もきゃあっとよくわからない悲鳴?をあげながら飛びずさった。なんで女の子が僕の部屋にいるの?ってあれ?よく見るとここは僕の部屋じゃない。それどころか部屋ですらない。
あたりを見回してみるとそこは一面雪だらけの銀世界だった。ところどころに木がたっているけれどその木々たちも雪化粧がされている。誰もいない、いや、僕と女の子以外に誰もいない。雪の影響もあるのかもしれないがとても静かだ。
「ここ、どこ?」
思わずそう呟いていた。
「ここはスノーランドよ」
いつの間にか僕の近くに来ていたオンナノコガ言った。
今まで混乱していて(今も混乱しているけれどさっきよりはまだましだ)よく見ていなかったが、とても美しい女の子だった。ふわふわとしたやわらかそうな雪色をした髪に、ぱっちりとした大きな瞳。雪のようなという言葉が似合う白い肌の中で目立つピンク色の唇。長袖のワンピースを着ているだけで寒くないんだろうか。いや、それよりも注目すべきなのは背中に生えているのであろう羽?だろう。天使のような翼ではなくて、半透明な蝶の羽のような。そう、まるで妖精の羽だ。僕はオカルトの類はまったく信じていなかったがその表現が一番しっくりくる。…………もしかして君は雪の妖精?
「スノーランド?」
僕はじろじろ見ていたのを誤魔化すように言った。
「ええ、この山の中の1年中雪の降るこの国で私は生まれたの。ただ、今日は私が生まれて初めてこの国のはずれのここが晴れているみたいだったから様子を見に来たの」
君に言われて空を見上げると確かに晴れていた。それどころか…………
「すごい!」
思わずそう言葉に出してしまうくらいの流星群だった。
「凄いわよね。キラキラしたものが降っているみたい。でも落ちてこないの。不思議だわ」
君は星のことを知らないみたいだった。
「うん、凄いね。星が降るってこういうのを言うんだろうね」
でも僕はそのことに気づかずに、馬鹿みたいに口を開けてその光景に見入っていた。
「ほし!?星っていうのね。雪以外に降るものを始めて見たわ」
その言葉に驚いて君の方を見ると、君は無邪気な表情で星が降る空に見入っていた。
そして僕は、君のその無邪気な表情に……
恋をしたんだ