2話 妖怪の山
友が豪鬼の家で生活することになってから数日後
友「ずっと家の中に居るの退屈になってきた。外に出たい」
豪鬼「そう言えば一度も外に出してなかったな」
友「ここら返がどんなのか気になるし、いいでしょ?」
豪鬼「よし、わかった。一緒に行こうか」
友と豪鬼は家を出た 外の様子はどんななのか知らなかった友は外の景色を見て驚く
友「何、ここ…。人里なんかよりもすごい感じ」
豪鬼「ここは人里よりもいろいろあるからな。スーパーとかあるし」
友「す…えっと?すうぱあ?」
豪鬼「スーパーだよ、スーパー」
カタカナの言葉になれていない友に豪鬼が発音を指摘する
外装を興味深く見る友 それを見て豪鬼は入ってみないかと尋ねる
友「…いいの?」
豪鬼「何か欲しいものがあったら買ってやるし」
友「そう言えばスーパーって何するところなの?」
豪鬼「野菜とか肉とかいろいろ売ってる店だよ」
友「へぇ、お店なんだ…ちょっと中見てみたいし、入ってみる」
中に入ってすぐ、並んでいるカートが目に入り友が質問する
友「あれは何?」
豪鬼「あれに買いたいものを入れて、最後にレジ…清算する所に持って行って、入れたものを買うんだよ」
友「へー…」
豪鬼「とりあえず、いろいろ見て回るか」
そう言ってカートを押して、自動ドアを通る
友「勝手に開いた…!?」
友は自動ドアに驚きながら豪鬼について行った
一通りカートの籠に買うものを入れて、レジに向かっているときに、突然豪鬼が声をかけれる
おそらく妖怪なのだろうが、その姿は人と変わらず着物ではなく、友には見慣れない格好をしていた
服装の事よりも豪鬼に対する言葉遣いの方が気になった
豪鬼に対して、さま付で呼び敬語で話すからだ
妖怪「豪鬼様、今日はいったいなにしにここへ?」
豪鬼「見ればわかるだろ。買い物だ」
妖怪「そちらの子供は…?」
豪鬼「この前の雷雨があっただろ?あれのせいでこいつの家が火事になってしまって済むところがなくなったから、俺が引き取って面倒見てるんだよ」
妖怪が友の方を見た 友はあまり良いように思われていないのだろうと思い、下を向いて顔を合わせないようにした
妖怪「こんなに小さいのにそんなことがあったなんて、かわいそうですね…。ちなみに親御さんの方に話しているんですか?そのこと…」
豪鬼「…それについては触れてやるな」
友「…」
家族の事を尋ねたとたんに友は更に俯き、豪鬼は声を低くした
妖怪はその雰囲気の変化に驚くが、友の親がどうなってるのか理解した
妖怪「え…?…あ、ああ!…す、すみません」
急いで頭を下げる
豪鬼「…いい、ちゃんと話さなかった俺が悪かったからな」
その後、話をした妖怪と別れ買い物を終え帰宅した
友「…ねぇ」
豪鬼「うん、なんだ?」
友「さっき話してた妖怪に様付けで呼ばれてたけど、どうして?」
先ほどの会話で気になったことを質問する
豪鬼「ああ、あれか。それは俺がこの町の中で一番偉いからな。そのせいだよ。普通に話しても良いって言ってるんだけどな」
友「え…それじゃあ、豪鬼って町長なの?」
豪鬼「まぁ、そんな感じだな。ここを収めて、管理しているんだよ。領土みたいなものだな」
友「そんな事してるんだ…」
豪鬼「普段は騒動が起きないようにしたり、町をちゃんとやっていけるように、いろいろ命令したりしてるんだよ」
友「あれ?そんなところ一度も見たことないような…」
豪鬼「お前の事の方が大事だし、今は他の奴に任せている」
友「…そこまでする意味ないでしょ?」
豪鬼「人を助けるのに意味とか理由とかいらないだろ。人間だろうと、妖怪だろうと、子供だろうと」
友「…」
自分をここまで思ってくれてるのに、何か裏があるのではないのかと思っていた友は、自分が考えたことが間違っていたことを豪鬼に対して申し訳ないと、そして正面から自分の事を大事だと言ってくれたことをうれしく思った
その二つの気持ちでいっぱいになって、涙になってあふれ出てきた
豪鬼「おいおい、泣くなよ…」
友「……疑って、ごめんなさい!大事だって言ってれてありがとう…」
感謝と謝罪の言葉をただ繰り返し、泣き続けた
友と豪鬼はその後も何事も過ごしていった
そして数年後、突然友は強くなりたいと言いだして修行をしようとする
何のために強くなりたいのか、なぜ突然しようと思ったのか 誰にもわからないまま修業が始まる
続く
色々ぶっ飛んだ世界観ですみません 次回では友が少し成長します