1話 変わってしまった日常
幻夢の郷と呼ばれる人と妖怪が住まう地があった
その中で、人間の住む郷と妖怪が住む山の間に当たる場所、妖怪の山の麓一つの屋敷があった
ある時、屋敷は大雨と一緒に落ちてきた雷に当たり火事になった
その火事はあまりにも激しく、物の数分で全体が火で覆われた 火事が起きてから山から何者かが駆け下りてきた
その者は燃えている屋敷の様子を見た
火事は燃え始めた時よりも勢いを増し、近づいたら燃え移りそうだった
そんな屋敷から何かがゆっくりと這いずりながら出てきた
それを見て、急いで近づきそれが生きているのを確認した後、抱きかかえて山の上へ駆けて行った
数時間で屋敷は全焼してしまった。屋敷に住む者は誰一人生き残っていないだろうと思われていた
しかし、一人だけ生きていた
その生き残りは今、屋敷とは別の場所で眠っていた
夜が明け朝になって、目が覚めた
自分が寝ている場所が自分の住んでいる屋敷とは別の場所だと気が付き、ここがどこなのか体を起こしてと辺りを見渡そうとする
その時、自分の背中に違和感を感じた
恐る恐る、首の後ろから浴衣に手を突っ込む
背中に触れたとき激しい痛みを感じた
痛みに驚いた直後、何があったのかを思い出した
「父さんと母さんは…!?」
痛みに耐えながら自分が寝ている部屋から廊下に出た
「やっぱり…ここ、僕の家じゃない。…ここ、どこなの?」
あたりを見渡しながら廊下を歩いた
「目が覚めたのか」
と自分を見下ろす男性に声をかけられた
その男性から危険な雰囲気を感じた 近くに居たら危ないというそんな感じがした
「あ、あんた誰…?何か普通じゃない雰囲気するし」
「俺か?俺は豪鬼だ。普通じゃないって感じるのは俺が妖怪だからだろうな。…そういえば、おまえ名前なんて言うんだ?」
「僕は、持月友…。あのさ、あの後家がどうなったのか知ってるの?それになんで妖怪が僕を助けたりなんかしたの!?」
豪鬼「落ち着け…。お前の家は…全部燃えて無くなっていると聞いている。…家族もな」
友「…そう。これからどうすればいいんだろ…。家も家族も無くなって、行く所なんてないし」
豪鬼「ここに、居ればいいだろ」
友「本気で言ってるの?妖怪は人間を襲って食うって言われてるの知ってるんだから。どうせ僕を食うつもりなんでしょ」
豪鬼「何時の話だよ…。今時居ないぞ、そんなやつ」
友「え…」
豪鬼「むしろその話を聞いて、びっくりするぐらいだしな」
友「え、…え?妖怪が?」
豪鬼「妖怪が」
友「…本当に?」
豪鬼「本当に」
友「…嘘か本当か怪しいし、そんなの」
豪鬼「まぁ、別に信じろとは言わないけどな」
友「だから、真相確かめるためにもここに住まわせてもらうから!」
豪鬼「はいはい…。好きなだけ居ろ」
友「何かバカにされてる感じがして、むかつく…」
こうして友は妖怪が住む山の中で生活することになった
第一話読んでいただきありがとうございます これから先もこのような話を投稿します