糞の役にも立たない小説講座
皆さんは小説を書く時、または書こうと思った時、何を考え、どう言う風に筆を走らせますか?
それは正しく十把一絡げにはいかなく、多種多様で千差万別。個人個人により異なることでしょう。
しかし、言える事が一つあります。
何も考えずただ闇雲に書くだけでは、その先はデッドエンド。行き止まりです。
意義を持ち、意味を成し、何かしらの到達点を決めて書くことが大切なのです。
ちなみに、僕は一応考えたフリだけしています。
つまり、そう言う事。これから適当にそれっぽい小説自論をぐだぐだ語りますが、話半分に聞いて下さい。
・それって根本的な解決にはなりませんよね。
語彙力がねぇ! 足りねぇ! 地球の皆、オラに語彙力を分けてくれ!
なんて出来たら、どれだけ楽でしょうか。
語彙力不足。それは、多分プロアマ問わず、物書きの永遠の宿命なのです。
こんな時どういう言葉で書けばいいか分からないの……
綾波の髪ぐらいに顔を青くしてそう呟く人も多いでしょう。
しかし、かのマリーアントワネットは言いました。
「分からなければググレばいいじゃない」
言ってないかもしれません。よくわかんねーや。
『シソーラス』と言うWEB辞書があります。知らない方はググって下さい。
類語辞典であるそれは、そのままズバリ類語が調べられる訳です。
例えば。
”彼の言葉は、己の胸が小さいことを揶揄している様に聞こえて、彼女は怒った。”
この文。最後の『怒った』では、なんとなく物足りなさと言うか、あまりに直接的過ぎる様に思えます。
しかし、『怒った』以外の表現が思いつかない! ああ、どうすればよいのだ!
こんな時にシソーラス。
そこに『怒った』と入力しましょう。すると出るわ出るわの大騒ぎ。そこには類語があら沢山。
そこから良さ気な単語をチョイスしましょう。
むむむ、『激怒した』ではちょっと大げさすぎる。『怒りの感情が全身を襲った』? そこまでではない。『激おこの』? なんでこんなモンまであるんだ。すげぇ。
んー、んー……お、『カチンと来た』、か……よし、これで行こう!
彼の言葉は、己の胸が小さいことを揶揄している様に聞こえて、彼女はカチンと来た。
「うるさいわよハゲ」
「ごめん、俺バストカップA以下の声は聞こえないんだ。谷間を作ってから出直して来てくれない?」
彼女は激怒した。
みたいな。
正直な話、『カチンと来た』と言う単語、これ多分皆さん聞いたことはあるでしょう。恐らく知っている筈です。
しかし、その場で出るとは限らない。必要な単語が引き出しから見つからないことなんてザラでしょう。
そんな時に、シソーラス、もしくは辞書の類はこれ以上ないサポートになる筈です。
『ああ、この単語があったか!』
分からなければ、不足していると感じたら、とにかく調べればええねん。
悲しくなった。喜んだ。哀れに思った。苦しくなった。痛い。眠たい。諸々。
単純な単語なら即座に出ても、ちょっと気取ってみたり、固い表現だったり、はたまた詩的にしたかったり、そんな言葉は中々浮かばないものです。
調べなさい。
文に『色』をつける絵の具。それが所謂『類義語』だと僕は思ってます。頭の中のパレットには三色ぐらいしかない。じゃあ他所から持ってくればいいのです。虹色にすればいいのです。僕今良いこと言った。
『語彙力が足りないと思ったら、とにかく調べろ』
あれ? それって(語彙力が足りないことの)根本的な解決にはなりませんよね?
いーんだよ! 読んでる方は作者の語彙とか関係ねーよ! 文が色づいていればなんでもいいんだよ!
ちなみに、使う単語を簡単な物にすることでより文を深くする、なんてテクニックもありますが、それは知りません。あーあー聞こえなーい。
はい、次。
・テンポを捨ててアドを得る。アドを捨ててテンポを得る。
書き物において、テンポはとても重要です。盛り上がっている時にウダウダ長い説明が入ると、テンポが悪くなってしまいます。読み手もげんなりです。
しかし、だからと言って。
テンポ重視のスピード重視。スラスラスラスラと話が進む。あれ? なんだか話が薄いぞ? あれれれぇ?
あるあるあるある。
Q:じゃあどーすりゃいいんだよハゲ!
A:知るか!
リズム重視のテンポを取るか。
ストーリー展開のアドバンテージを取るか。
ぶっちゃけ、これ多分正解はないです。各々好きに書いてください。
大事なことは、それを認識して書くことです。最大限、自分に言い訳して書いてください。
『なんとなく薄っぺらくなったけど、テンポを悪くするから仕方ないよね!』
『妙にクドい文になったけど、話を深くする為だから仕方ないよね!』
そうしておけば、例えば感想で。
『話がペラッペラじゃねぇーか!』
『ちょっとここの文章、重すぎて胃がもたれるんですけどー』
なんて突っ込まれたとしても。
『知ってる』
と、ドヤ顔が出来ます。
ん? それだけだよ?
まぁ要は『きちんと考えた上でなら、書きたいように書くべし』、ってことです。当たり前ですね。
次。
・主人公が万能過ぎてマジつらたん……
チートだったり最強だったりなんだりかんだり。
強い主人公。それは魅力溢れるものです。強敵をド派手に薙ぎ倒し、難問難題速攻解決! 周囲に尊敬や畏怖の目で見られる。ああ、爽快。んぎもちぃいいいいいいいいいいい!
しかし、です。
「魔王様! 敵の勇者は全ての魔法を使えて剣を振るうだけで山を六十個程吹き飛ばし一度回復呪文を唱えれば腰の曲がった老人もムーンサルトを軽くこなせる様になるとのことです! あとイケメンです!」
「降伏するわ」
こういった場合、主人公が強すぎる、何でも出来すぎる為、話の幅が広がりににくくなってしまうのです。
上記の文はあまりに極端な例なので、いきなりこうなることは先ずないでしょう。
ですが、話が進むにつれ、主人公の強さが広まるにつれ、どんどん身動きが取れなくなってしまう。
これ主人公に全部任せればいいんじゃね?
他のやつなんて邪魔なだけじゃね?
あれ、これ話終わっちゃうよ?
連載終了の予感。
しかし、じゃあ主人公をピンチにしよう! となって。
「うわー! 俺は全ての魔法を使えて剣を振るうだけで山を六十個程吹き飛ばし一度回復呪文を唱えれば腰の曲がった老人もムーンサルトを軽くこなせる様になるけど、話の都合上どう言う訳かとてもピンチになってしまったー! やべー! あとイケメンー!」
興醒めです。
別に『最強の力を持つ主人公が危機に陥る』、これは悪いことではありません。むしろ、それを乗り越えて上から叩き潰す! と言う展開の方がカタルシスは大きくなります。
拙いのは、あまりにも主人公が強すぎて、どうしても違和感が出てしまう。読み手に『これ間違いなく話の都合で負けただろ』と取られてしまう。
最低限、負ける理由、危機に陥る理由を、出来るだけ説得力を持たせて書く。
これが、主人公が強すぎればすぎる程、難しくなる。
早い話、『バランスを考えよう』と言うこと。
強さ。弱さ。爽快感。話の展開。勝ち。負け。
天秤に何を乗せて何を重視するか。『爽快感』を重視すれば、片方に『チート』『ハーレム』『最強』『イケメン』『悪者退治』『おっぱい』と、スカッとするような展開・設定を乗せ、あまりにも重過ぎて天秤が崩壊しそうになれば、不自然にならないよう、ネガティブなモノを反対に乗せる。天秤を平行にする必要はありません。ただ、破綻しなければいいのです。
ちなみに僕の場合はコメディーにして適当に誤魔化してます。
て、てくにっくだし……これも立派なてくにっくだし……
次。
・僕を、僕を見てくれ!
『この小説は、他の小説とここが違う! 斬新! 前代未聞!』
と言うのは、中々難しいものです。
どうしても似ている点があったり、コンセプトが被ってしまう。それはもうどうしようもないです。
諦めるか、本当に斬新なアイディアが天から落ちてくる様に祈るしかありません。
ただ。
『この小説のここを見てくれ! そう、ここだ! ああ、もっと、もっとだ!』
そんな『見所』を一つ用意しましょう。
別にそれが他と被ってもいいのです。その話の『核』、それを常に意識しておきましょう。
『自身の小説における絶対的な中心点』
何をどう言われても変えない、変えようがないド真ん中。
それを考えましょう。
悪いところや改善する点、それは後から腐るほど出てきます。
そこは積極的に変えていきましょう。直していきましょう。
しかし、どれだけ派手にリフォームしたとしても、大黒柱は残しましょう。
大切に磨き、常に目立つ様ピカピカにしておきましょう。
少なくとも、僕はこの大黒柱が崩壊したら一緒に心中するくらいの気持ちで書いてます。ええ、真似しないほうがいいです。
最後。
・それ書けやれ書けおらおら書けよぉ!
人間、不安と言うモノからはどうしても逃げられません。
『こんな展開でいいのか』
『このキャラはこれでいいのか』
『この主人公はウザいかな?』
『なんか薄っぺらい』
『なんかクドい』
『矛盾してる気がする』
『上手く書けない』
『ああ、駄目だ駄目だ』
『正解はどこだ』
『不正解はなんだ』
『何が正しくて』
『何が間違っているか』
泉のように湧き出て止まらない不安、ああ、どうしよう、とても人様に見せられる様な文章じゃない……これ、本当に書いていいの……?
ええんやで(にっこり)
結果なんぞこの際どうでもいいのです。公開してから後悔すればいいのです。
何のかんのネチネチ言いましたが、結局は書けばいいのです。とにかく書きましょう。
とにもかくにも筆を持て! キーボードを打ちつけろ! スマートフォンでフリックフリック!
アクセルはベタ踏み。ギアは端からトップギア。ブレーキはなんだか壊れてる。
クラクションからは歪んだ音しか出ない。ん? なんだかガソリン臭いぞ……? あっ。
そうやって、ゴールに辿り着けなくとも。
もしくは、全力で駆け抜けた先のゴールが、はたまた望まない地獄だったとしても、それでいいのです。
何かを書いた、と言う結果はなくなりません。絶対に、プラスになる。
『語彙力が足りないと思ったら、とにかく調べろ』
『きちんと考えた上でなら、書きたいように書くべし』
『バランスを考えよう』
『この小説のここを見てくれ! そう、ここだ! ああ、もっと、もっとだ!』
ぐだっぐだに書いたこれらの点は、もうこの際投げ捨てておきましょう。
僕自身、全部守っているか自信ないです。
『とりあえず書け』
これがスタートライン。
もし、そうやって、上手く行かなかったりだとか、どうしようもなかったら、上記点を思い出してみてください。
何か得られるかもしれません。もしくは脳みその無駄遣いになるだけかもしれません。
一つのクソ野郎が出した答え、とだけ思っておけば、問題はないでしょう。
小説の正しい書き方なんて自分で見つけるしかないのですから――
こんだけ書いて結局丸投げ!