表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

朝のちいさな奇跡

作者: くろねこ
掲載日:2025/11/06

 朝、目が覚めた。

 気持ちのいい朝だ、布団の中で大きく伸びをする。

 カーテンの隙間から差し込む朝日が、枕元のスマホを照らしている。

 ――通知はゼロ。ニュースの速報もなし。


 目の前に広がっているのは、何も変わり映えもしない、毎朝の光景。

 扉越しに聞こえるトースターの「チン!」という音、そして、自分を大声で呼ぶ母の声。

 あって当たり前と思う、日常の朝。

 

 けど、全部が、奇跡の積み重ねなのだ。


 ――阪神淡路の朝。地面が割れ、家が崩れた。

 ――地下鉄サリンのニュースが流れ、通勤の電車が怖くなった。

 ――誰かの「当たり前の毎日」が、誰かによってある日突然、奪われてしまう。


 ママから聞いた話を子どもの頃は、それを遠い物語のように聞いていた。

 こんな事は自分のソバでは起きる訳はない、と。

 でも、大きくなった今なら、少しわかる気がする。

 これはカミサマの気まぐれ、小さな奇跡の積み重ねでたまたま自分のソバで起きていないだけだ、と。

 だけど、こんな奇跡の積み重ねの いつも通り が、世界でいちばん大切なものなのかもしれない。


 「……今日も、何も起きないといいね」


 フトンの中でそう呟いて、小さく笑った。

 何もないことが何よりの幸せ、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
19世紀を生きたイギリスの詩人のロバート・ブラウニング曰く、「神、そらに知ろしめす。全て世は事も無し。」。 やはり大きな災いもなく平穏無事である事が一番大切ですね。
とても共感できますね〜。 (*´ω`*) 日比谷線では事件とニアミスだっただけにちょっと時間ずれていたら今こうして生きていないなぁと思います。 (。ŏ﹏ŏ) 「……今日も、何も起きないといいね」 …
 平穏って好いですよねぇ。  でも、そんな毎日にどっぷりと浸かっていると偶にスリルが欲しくなる。人間とはわがままな生き物ですよね。(苦笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ