17. 会見再び
昨日予約投稿ミスってます。もし話が続かないよということでしたら、昨日の分が抜けてるかもですヽ(;▽;)ノ大変申し訳ないです
それから1時間ほどして皆が薫の病室に戻ってきた。その時には後藤も金子も一緒だった。
「ん?」
薫は嫌な予感がして後藤と金子を見た。二人とも目の下に酷い隈ができている。薫が攫われてから救出され、治療を完了するまでに二日ほど経っていた。
「もしかして、ずっと二人とも寝てないのですか?」
薫の言葉に二人は言葉もなく項垂れる。同じくアークのメンバーも顔を伏せた。
「ん?」
薫は訳が分からず秋人を見る。秋人は困った顔で肩を竦めた。
「すみませんでしたーーーーー!!!」
ヨナの謝罪の言葉とともにアークエンジェル一同、土下座体勢に入った。
「えええええええ!!!!!何ごと!?」
と薫が混乱していると、後藤が渋い顔で呟いた。
「実は、テレビ中継が入ってしまってて、ギルドの要請で途中から止めたんですが、ちょっとしたアクシデントがありましてね…」
歯切れが悪い彼の言葉に、薫は首を傾げた。
「はあ。なんだか分かりませんがとりあえず立ってください。アークの皆さんにはいつも世話になっているんですから、そんなことされたら困りますよ」
薫はまずアークの土下座を止めるように促したが、金子が出してきたタブレットで切り抜き動画を確認して絶句した。
「ご、ごめんなさい。あきとっち」
ヨナが両手を合わせて泣き出す。
「うちのバカがほんっとうに申し訳ない」
康子がヨナの頭に手を乗せて下げさせる。
「私たちも口止めの魔法、かけてもらっておけばよかったね」
とリサがため息を吐いた。久美も大きく頷いた。
桜子がなんとも言えない顔で薫の顔を見つめる。
「なんというか、この手のトラブルが毎回私の周囲からで、穴があったら入りたいです」
と彼女は苦渋に満ちた顔で囁く。
「うーん…どうする?秋人?」
「もう潮時だと思う」
「俺は、もうちょっと粘りたかったんだけどなぁ」
薫は深々とため息を吐いた。でも確かにこのまま秋人の正体を曖昧にしておくのは、救世来神教に付け入る隙を与えるだけである。
「後藤さん、会見を手配していただけますか?如月秋人についてお話します」
と薫がそう告げると秋人を除く全員が顔色を変えた。
「それは、しかし…」
なんとかこの二日間、それを回避しようと後藤と金子が奔走してくれていたのだろう。彼らの疲労が滲んだ顔に秋人は深い感謝を覚えた。
自分はこんなに沢山の人に守られている。
そして、ここにいない沢山の人が自分を心配してくれていることも秋人は知っている。
クラスRINEや智輝、美香との個人の方にも心配する書き込みが沢山あった。薫が心配で返信できなかったにも関わらずだ。
「大丈夫です。僕、昔よりちょっとだけ強くなったんです」
と秋人は、はにかみながら笑った。その強さは戦闘力の強さではなく、心の強さなのだと、秋人の表情は語っていた。
「おい、なんだこれ」
会見に集まった記者は長蛇の列に思わず愚痴をこぼした。
まず彼らは入り口の手前で3重のボディチェックを受けた。5人に1人が申請した以外の録画、録音機器を持ち込んでおり、会見場から除外された。
さらに、ボディチェックが終わると一枚の書類が渡される。
『守秘義務について』
と題されたそれは、かなり細かな規定が書かれており、主催側の許可のない記事、動画を拡散した場合のかなり厳しい制裁内容が記載され、署名欄があった。
「ご署名いただかないと、この先の会見場には入れません」
とのギルドスタッフの言葉に、記者たちは渋々サインした。
なお、その紙の裏は真っ白で何も書かれていなかったが、署名され回収された書類の裏にはびっしりと魔法文字が刻まれていたのだが、記者は知る由もない。
そうしてようやく会見場に入場すると、既に会場には山のように記者が殺到していた。テレビカメラもある。中継は禁止されているので録画しかできない予定だ。
「ライブでやらせろよな」
とテレビ局のクルーがぼやいていたが、中継しようとした途端に会場から弾かれる魔法がかけてあるので注意してくださいと、前以て宣言されていた。
例の番組で嫌な態度だった解説者も意気揚々と乗り込んできていた。
会見が始まる時間の3分前に、扉が開いて今回の主催側が入場してきた。固唾を飲んで記者たちが見守る中、まず先頭は探索者連盟日本支部ギルドマスターの後藤、それからその後ろにはレオネア、朽木巌、弁護士の金子と続いた。
「誰だ、あの美女は?」
「さあ?」
ざわつく会場に、さらに続いて人影が入ってくる。
細く華奢な体格の少年と、それに支えられるように歩いてきた見知った青年だ。会場中が思わず言葉を失ったのは青年の姿だった。
秀麗なその顔の半分は包帯でぐるぐる巻き、左手にもかなりの怪我だろうと思われる治療が施されているかなり痛々しいものだった。
「会見を始めます」
金子が声を掛けると会場は異様な空気に包まれた。
「まずは今回の登壇者の紹介から参りましょう。みなさま、ご存知の探索者連盟日本支部ギルドマスター後藤剛様」
金子の言葉に合わせて後藤が一つ小さく頭を下げる。
「さらに、探索者連盟本部総裁名代、レオネア・アルデバルダ様」
「よろしく」
銀髪の美女はヒヤリとした笑顔を浮かべた。その表情には好意的なものは一切なかった。
「朽木コーポレーション会長、朽木巌様」
巌も小さく頭を下げる。
「『神崎家』リーダー、神崎薫」
薫がチラリと金子を見る。だからそんな名前にするなと言っただろうという金子の心の声が聞こえてきそうだった。
「そして、同じく『神崎家』如月秋人」
「よろしく、少年Aこと如月秋人です」
と秋人は笑ってぺこりと頭を下げた。
猫耳のついた頭を。
秋人は例の認識阻害のキャップを着用で会見に臨んでいた。
会場中が絶句している中、主催一同が着席する。
「なお、今回神崎薫がご覧のように負傷中ですので、進行はわたくし『神崎家』の金子達也が務めます」
と成金弁護士の異名を裏切らないぎらぎらの格好の金子が締め括った。
薫「前から思ってたんだけど、金子って普段の格好の方が似合ってない?」
当夜「あ、俺も前からそう思ってたっす」
秋人「僕もそう思うー」
後藤「私も」
金子「気合いが入るんですよ。この格好だと」




