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二つの夢と一つの夢  作者: 吉原遥大
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第一章 二人の出会い

「蕾、起きなさーい。」

「はーい…はぁ、もう朝か。」

毎朝の食卓への足取りは重い。一段一段と階段を下りる足はゆっくりだ。

「おはよう蕾。ごはん食べちゃいなさいよ。」

「おはよう。うん、ありがとう。」

今日もいつも通りの平凡な一日が始まった。何も変わらないフツウの日常が始まる。

そう思っていた。

「あら、若いのにスゴイはね。」

テレビに映っている私と変わらない年齢の女の子を見て母はいつも言う。

「若いのにスゴイ」という言葉。私の胸に少し刺さる。まぁそんなことを考えつつ大学の時間が迫っているから焦りながら準備をする。

これもよくある日常の光景だ。

「行ってきまーす。」

こうして大学へ向かう。通学中にすることは決まっている。

それは、人間観察だ。小説を書くためにはネタ集めが大切だ。

私のフツウの日常を取り囲む環境。それこそがネタなのだ。

道行く人を見てはスマホにメモする。そんなことをかれこれ数年間続けている。

そして、今年で大学3年生だ。私には何の才能もないのではないかと思う日もある。

けど、諦められず続けている。

「また何の収穫もなく大学についてしまった。」

「おはよ!」

「あ、亜希おはよ。」

亜希は学部の同期で1年の時からの友人だ。

「また小難しい顔してる。しかめっ面は良くないぞぉ。」

「はいはい。遅刻するよ。」

「あ、待ってよぉ。」

―――――――――――――――

「やっと終わったぁ。」

「私はこっからバイトだよ。」

「蕾よくこっからバイトできるね。」

「店長もいい人だし楽しいよ。」

「へー頑張ってね。」

「またねー。」

―――――――――――――

「おはようございまーす。」

「おお、蕾ちゃんおはよう!今日も早いね。」

「大学終わってそのまま来たんで。」

「相変わらず真面目だね。今日もあれ?」

「はい、時間までは。」

”あれ”というのは通学の時もしているネタ集めという名の人間観察だ。

ここに来る人は多種多様だ。

私がバイトしているここは映画館だ。映画館と言ってもショッピングセンターに併設されているような大型なものではなく地元にある劇場に近い。

客層が多種多様で、店長も少し変わっている人だから人間観察がはかどる。

「今日もネタ集め頑張ろう」

「あの…」

「あ、いらっしゃいませ。」

今の聞こえてたかな…

「あの、これ。」

「チケットお預かりしますね。まもなく開演なので中に入ってください。」

「ありがとうございます。」

何とか聞かれてないっぽいな。それにしても不思議な人だったな。

少し気を惹かれた感じがした。

これが私と彩羽の出会いだった。


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