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会議

え~~楽しんでいただけてるでしょうか?スギ花粉です。ではどうぞ~~

そこは大きな広間だった。山を削りだして作った部屋であるため、壁はすべて岩だ。床には白い大理石のようなものが敷き詰められている。


そして、この部屋には天井がなかった。大きな穴があいており、そこから太陽の光がふりそそいでいる


(雨の時とかはどうするのだろうか?)


カイはオガンと呼ばれていた族長に連れられて、その部屋へと入り中央に座らされた


オガン族長はカイを案内した後、カイから見て左側の列に加わった。左右に5人ずつ、茶色いローブを着ているギガン族の男たちが座っている。ここに来るまでの間、様々なギガン族のものを見たがみな黒いローブを着ていた。


彼らは族長なのだろう……地位によって違う色のローブを着ているということが想像できた


そして正面には、一人のギガン族の老人がいた。赤黒い肌に、すこし長い爪をし、白く長い髭をたくわえている。そして、その者は紫色のローブを着ている。


(な、何か緊張してきた……審問って何聞かれるんだろう?)


メリルに審問があるという事は聞いていた、けど…今の状態を信じてもらえるのか自信がない。


カイが不安がっていると


「ではこれより、会議を行う!!」


と一人の族長が宣言した。


ドンっと10人の族長たちが、拳で床を叩く。そして自分の前に座っている老人が話しかけてくる。


「初めましてじゃの…人間族の青年よ。ワシはギガン族の神官…ラグナーじゃ。まぁ…そんなに緊張せんでもよい、何もとって喰おうなどと考えとらんよ。ワシらギガン族は他の種族とあまり交流をもたんから不安になるのも分かるがの……いくつかの質問に素直に答えてくれればよいのじゃ。ふむ……では青年、ワシの問いに対して嘘偽りなく答えると誓えるかの?」


「は、はい」


とカイは少し上ずった声で答えた。


「では……お前さんの名前は?」


「自分は……カイ……だと思います」


じっとカイを見つめるラグナー。なぜか落ち着かない。自分が見透かされているような気がするのだ。


「思う?ふ~~む……ではどこから来たのじゃ?」


「……………わかりません」


「メリルとはどこで知り合った?」


「…………それも分かりません」


「貴様!!ふざけているのか!!」と右側に座っていた族長がいきり立つ。


カイは一瞬びくっと反応する。


だが………


「カシム族長…黙っていろ。今はラグナー様が審問をしておられるのだ」


とオガン族長が腕を組んだまま、睨みつける。それを聞き、カシム族長は不服そうにストンっと座りなおした。ギガン族の年齢はよく分からないが、カシム族長は他の族長に比べて少し若いような印象を受けた


「さて………カイとやら。なぜ答えないのじゃ?」


「自分には…………記憶がないのです」


それを聞き、場が一瞬ざわつく。そんな中ラグナーはカイの目をじっと見つめている。


そしてふ~~~むっと腕を組む、ラグナ―。


「さて……これは少し難しい問題かもしれんの。病であるものは、治療の間このチャングル山に滞在することは許される。このカイという青年はここに来た時確かにオウロ熱にかかっておった。それはワシが断言できる。そして、今この者が嘘をついていない事もこのラグナーが断言しよう」


それを聞いて、少し驚いたような表情をみせるカイ


「ほっほっほっほ。ギガン族の神官に選ばれる者には特別な力があるのじゃよ…真実を見抜く力がな。さて………記憶喪失とでも言えばいいのか。これを病と考えるべきなのか……難しい問題じゃ。族長たちにはここを踏まえて決断を下してもらわねばなるま…」


とラグナーが言い終わる寸前……………ドンドンドンドン!!っと凄まじい力で扉をたたく音が部屋に響いた。


他の族長たちがその音に驚いている中、オガン族長が凄まじい形相で立ち上がると入口へと近づいていき、ギ~~~~っと扉をあける。


そこには、褐色の肌に、長い黒髪をポニーテールのようにした人間族の女性。メリルがいた。


「……メリル…貴様何の用だ。族長の会議を何だと思っているのだ?」


凄まじい殺気を放っているが、当のメリルは飄々としたものだ


「おう!!オガン!!あのな……言い忘れたんだけどよ、カイは今日から俺っちの子分になったから!!」


「…………………だからなんだ?」


やれやれっと両手を呆れたようにあげるメリル。


「ここまで言っても分かんないのかよ!!だ~~か~~ら~~、子分と親分はいつも一緒にいなくちゃいけないんだ!!」


「ほう……だからこの青年をチャングル山に滞在させろ………とでも言いたいのか?」


「おう!!」


オガンは、プルプルっと体を小刻みに動かしたかと思うと大きく息を吸い込み


「この……たわけが!!」


と一喝した。メリルは慣れたものなのか、息を吸い込んだ時にはすでに耳を手でふさいでいた。


「これは我らギガン族の会議で決めるべきことだ!!お前には関係ない!!さっさと部屋に戻っていろ!!」


するとメリルは不服そうに、う~~っと唸ってからアッカンべーをして去って行った。


オガンは、まったくと言いながら扉を閉めて自分の席へと戻る。


「な、なぁ……オガン族長」


「何かな…カシム族長」


「い、今の話からするとこの青年がいなくなれば、メリルはこのチャングル山から出ていくという事になるのではないか?」


それに対して、オガン族長は底冷えのするような声でいう


「…………だったらどうしたというのだ?今問題となっているのは、この青年の状態を病魔の仕業と考えるかどうかだ。それに、メリルはいつこのチャングル山を出て行ってもいいという事になっているはず」


「そ、それはそうだが」


となぜか言い淀んでいるカシム族長。何人かの族長もひそひそっと何かを話している。


「ラグナー様……我らには他に話し合わねばならない案件があります。長々とこの事について時間を割く訳にはまいりません。さっそくですが決を採ってきただきたいと思います」


ラグナーは左右の族長たちの様子を窺い、決断する。


「うむ……ではみなに問う。人間族の青年……カイ。この者のチャングル山への逗留を許可すべしと思うものは!!」


ドンドンドン……っとカシム族長を含めた7人の族長が床を叩く。


「では……許可すべきでないと思うものは!!」


ドンドン…っとオガン族長を含む3人の族長が床を叩く。


「………相分かった。これは族長の会議で決まったことじゃ。カイ……お前の記憶が戻るその時まで、このチャングル山への逗留を認めよう!!カイ…後でワシの部屋に来なさい。いろいろと知っておいておかねばならぬ事があるでな」


ラグナ―様はにっこりと笑った


こうして……俺のチャングル山への逗留が許され、盗賊としての生活が幕をあけた。


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