ちょうどいい
え~~スギ花粉です。楽しんでいただけたら幸いです。ではどうぞ~~
ザパーン!!ザパーン!!っと崖に波が打ち寄せている。
この崖の上にはちょうどリザードマンの城が建ってるのだ。
そして、その崖をゆっくりとのぼる黒い影がある
「うんしょ……こらしょ……」
90度の壁を命綱もつけずにどんどん上へ上へと進んでいく。
後少しで頂上というところまでくると、その影は崖の途中に半月刀を突き刺し、片手で掴みながら器用にヒュンヒュンヒュンと鉤づめがついた縄を勢いをつけて投げつける。
キン!!と、それが城の窓に引っかかり、ぐいぐいっとそれを確かめると、するすると登ってしまう。
カチャカチャ・・・・・・カチ・・・・ギ~~~とゆっくりと窓を開け、するりと入り込む。
「・・・・・・キキキキ」
とその影は笑い声を上げると闇へと消えていく。
す~~~~と音もなく、廊下を進み、柱に隠れながらもテンポよく進んでいく。
そしてある部屋の前まで来ると、耳をあて誰もいない事を確かめる。針金のようなものを取り出し、ちょいちょいっと鍵を開けするりと入る。
しばらくゴソゴソっと部屋の中を色々と物色し、そして袋を膨らまし戻ってくる。
「!!!」
バッとその影は跳んで、天井に張りつく。
しばらくすると、前方からリザードマン族の戦士が5人・・・辺りを警戒しながら歩いてくる。その集団は影に気付かずに去って行ってしまう。
「キキキキ・・・・意味ないね~~」
と天井から下りると、また廊下を進んでいく
「え~~~と……後は」
と何やらリストらしき物を広げて見ている。
「ふん…ふん…後は、族長の部屋だから……一番いい部屋か」
う~~ん、う~~んっと唸りながら右左を見て
「こっちだな」
っと自分の感だけと頼りに、さささっと進んでいく
しばらく城を探索し、それらしい部屋を見つける事ができた。
角からチラっと様子を見る。ひとつの扉の前に屈強なリザードマンが二人・・・凄まじい表情で立っている。
「あそこが、リザードマンの族長の部屋か。見張りは二人……ね?」
腰からキンっと半月刀を取り出し、魔力を込めていく。するとそれが、黒いオーラを纏う。
そして、目を瞑り集中しているようだ。
すると……少しづつ…少しづつメリルの気配が消えていく。
まるで闇に溶け込んでしまったかのようになる。
そしてヒュウっと石つぶてを反対側へと投げる。
コン・カン・コン………と大理石の廊下にあたり音を立てる
それに瞬時に反応するリザードマンの戦士二人。
バッと角から態勢を低くし、目にもとまらぬ速さで一気に間合いを詰めるメリル
ゴンっと手前にいたリザードマンの戦士の後頭部を半月刀の柄の部分で強打する
「が!!」
呻き声をあげて倒れる戦士
「な、何者だ貴様!!」
と振り返ったもう一人の戦士が、いつの間にか目の前に迫っていたメリルに驚き、瞬時に抜剣しようとする。
だが、それをバッと飛び、空中でその剣の柄を上から足で押えてしまう。
「な!!」
っと驚愕の表情を見せたのもつかの間、真横から凄まじい蹴りが飛んできてまともにクリーンヒットする。
メリルは意識のなくなった戦士を足がかかりにして、くるくるくるっと回転しながら見事廊下に着地する
バタっとその戦士は倒れてしまう
「キキキキ……修行が足んないね~~。安心しな……俺っち、今日の盗むもんに命はねーからな」
さてっと、その影は扉を開けるとするりと部屋へとはいっていく。
さすが、族長の部屋だ。これまで入った部屋などより明らかに、豪勢な造りになっている。
誰かに気付かれる前に仕事をしてしまおうっと思った時
「・・・・誰・・・・だ」
とベットから声をかけられた。かなり驚いた。この状態の自分ならまず気付かれる事などないのだ。
「キキキキ……俺っちの気配に気づくとはね。………俺っちかい?俺っちは砂漠の女盗賊…メリルってんだ!!」
「ハァ・・・・ハァ・・・盗賊」
「うん?やけに苦しそうだな・・・病気か??・・・お前」
「・・・・・・・・・・」
その男はゆっくりと立とうとしたようだが………がくっとそのまま気絶した。
「あらあら・・・気絶しちゃったよ。ちょうどいいや…仕事…仕事」
フン……フン……っと鼻歌を歌いながらガサガサとそこら中をあさりまくる
「え~~と……おう!!あった…あった。多分これでいいんだよな?キキキキ・・良し、全部そろったかな」
と自分の膨らんだ袋の中身を確認しているようだ
「まぁ……こんなもんだろ。早くしないと気付かれちまうかもしれないしね~。まぁ……俺っちが捕まる訳ないけどな」
そんな独り言をいいながら一旦荷物をおいて部屋を横切り、窓へと向かう。がチャッと窓を開けて持っている鉤づめのついたロープをしっかりと固定しているようだ。
「おし!!出来た、出来た」
とまた荷物のある所まで戻り、よいしょっと担ぐ。
そしてそのまま窓から出て行こうとして…………ピタッとその歩みを止めた
「ん??」
とベットで倒れている男に注目する。
そのまましばらくじっと見つめ、う~~~んと何やら考えるメリル。
そしてポンっと手を叩く。
「そうだ!!ちょうどいいや!!」
そういうとベットへ近づき、うんしょっと黒髪の男を担ぎあげる
そして、縄をしっかり掴み………窓から消えていった
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