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1話 若返る

『うわ、スゲェデカいツリーハウス!」

……俺の声?うわぁ、声変わり終わった頃のかすれた妙な声。待てよ?女の子かもしれない!

 自分のズボンの中身を見るのにこんなにドキドキしたことがあっただろうか?

「よし!あったぞ!」

良かったような、残念なような?ま、それはいい。ハシゴを上ってツリーハウスのオシャレな木のドアを開けると1才くらいの子供達が子供用ベッドにズラリと寝かされている。

その折れてしまいそうな手足や顔色の悪さから何らかの病気にかかっている可能性が高い。


クゥウウ~、キュウウ、ゴォオオー

「腹減ってるのか?すぐ作るからな!」

『お待ちなさいませ!幸留さま!肝心な事を言ってませんでした!』

「アッサム様。わざわざ起こしいただきありがとうございます」

俺はこの神様の事が好きだ。性格が好ましいの好きで、腐女子のときめくアレとはかなり違う!

初めて薄い本をみせられた時、あまりにも破廉恥過ぎて正座で3時間説教してまた、持ち込んだら子供食堂には2度と来るな!と啖呵を切った事を思い出した。苺花まいかはお婿さんが見つけられただろうか?

『その子使えるかもしれないですね。それぐらい非現実的だと何があってもびくともしなさそうで頼り甲斐がありそうです』

「ええと、確かに率先して配膳したり、お片づけしてくれたり、たまには洗い物も手伝ってくれましたね」

『そういう子供達は気遣い上手なのです。まず、その子供の協力を得ましょう!』

「はあー?…ええと、どういうことですか?」

アッサム様は青年に見えるくらい若いが宇宙が誕生した頃からいる古参の神様の1人らしい。ただ、説明が吹っ飛ぶ時があり、ちゃんと聞けと俺をヘッドハンティングし損ねた異世界の神様が忠告してくれた。

アッサム様はすまないと謝罪し、今の子供食堂がどうなってるかを説明してくれた。

『人間とは計り知れない。あの白アリを環境整備に使うからとあの土地を買い、研究所にした。土地代は私が弁護士に化けてがめつく回収して来て、近くのホテルを買収して、貴方が以前考えていた、生活が難しい家族に1部屋づつ、36世帯に期限を切って無償提供しました。ここまではよろしいですか?』

俺の思い出の子供食堂ばしょが白アリ研究所に?ナニソレ?

「アッサム様、土地代の回収、新しい子供食堂のこと、ありがとうございます!住居の無償提供のことまで、先取りしてくださって感謝の気持ちが足りてません!」

『あ、ああ!良かった。気持ちは届いてる。また、精霊達が産まれました。う、うん!それはそうと、まだ、世界樹の力が弱くて殺生を近くで行われると、精霊達が皆消えてしまうかも知れないのです。そのう…今の所は日本で作って、アルッサに持ち込んで貰うしか解決方法が無いのです』

……なるほど、美味い話にはいろんな裏がある。

『その代わりと言っては何ですが、いつでも地球と往き来できますよ!これからずっと』

うん。それは最初に約束したから当たり前。

俺はアッサム様に手のひらをどうぞした。

『ああ、占いですね!……凄い金運が近々入ります!宝くじを10組買うのをオススメします!』

「……違う!今すぐ使えるお金頂戴。食材、地球で買わなきゃでしょう!」

『ありません』

こうして俺は地球に出稼ぎに。

転移後、初めての大仕事が夜間の土木工事のバイト。若さもあって3ヶ月で120万程稼いだ。それより現場監督が苺花だったのには驚いた。何と子供食堂を全国に増やす活動をしてるらしく新しい若い料理人達の「子供に食べさせる物でなおかつ安くて美味しいもの」と言うと高級フレンチのフルコースが出て来てブチ切れて、クビを言い渡したら、土下座して謝罪し始めたらしい。結局、ムダにした材料費を払わせて【常識】から教えているという。

 今は何でもありな時代だが心が無い。ありがとうとごめんなさい、果ては挨拶まで言えない少年少女達がいる。

子供食堂は子供が温かいお小遣いでも買えるちゃんとしたご飯が食べさせてあげられる場所だ。例えば【まんぷく】なら惣菜パン一つ100円だし、豚汁なんて50円、親子丼ミソ汁付きで300円だ。高級フレンチのフルコースを振る舞った馬鹿者わかものは資金調達が終わったので俺がしごくのにした。

 するとコイツは俺が若いからか、やたらと自分が働いていたフレンチの名店の名前を口にし、そこで働いていた自分がどれだけ偉いのか、ああ、師匠の栄誉を自分の栄誉と勘違いしてるのか。

 そりゃ厄介だ。学がない俺が1番苦手な輩だ。生きてる間は、それなりの人脈とクソジジイでも年の功で力くらべしても怖いもの知らずの俺は、良くケンカして仲良くなって、しんどくても何クソという気概で頑張って来た。外食チェーンストアが騙し取られたことも仲間や友達となら超えて行けると勘違いしてた。

金が無くなった俺に残ったものは、育ったチビ達だった。100円も無い冷たい梅雨の時期に雨漏りする子供食堂の床にただ座っている俺に子供食堂を卒業したチビ達が毎日弁当を買って来ては昔の馬鹿話で、盛り上がる。

ああ、気ぃ使わせちまったな!

翌日あの事件で俺は恩も返せず、死んでしまうことになったが、運が良いことに恩返しができる。アッサム様に感謝だ。


「出来た!皆に報せて来て。オカユ!ミソ汁よそうの手伝って!」

「誰がオカユだ!俺の名前は大神だって、言ってるだろう!イライラすんだよ!クソガキ」

「ハイハイ」

ふふふ、子供だな。これくらいでイライラして。

子供食堂のチビ達は1度目はオカユの作ったハンバーグに群がったが、2杯目からは、俺が作った鶏肉団子スープに夢中だった。

 悔しそうな顔のオカユに給仕を任せて転移魔法陣のある俺の部屋へ入る。寸胴の鍋を2つ転移魔法陣の上に置き、俺も魔法陣の上に載る。

あっという間に精霊界だ。

ツリーハウスの中の転移魔法陣についた途端、小さな光が何百個と鶏肉団子スープの入った寸胴の鍋に群がりスープを飲んでいる。

光達は俺の周りに集まって点滅を繰り返しては離れて行く。


『あの、私もいただきたいのですが!』

「ハンバーグでいいですか?スープ飲み干すと思わなかったのでオカユの作ったハンバーグしか無いんです。いやいや!責める訳じゃない!足りたかどうだか、心配だったからな?アッサム様!笑ってないで通訳!!」

アッサム様は愉しげに通訳した。

『サチルすごい!ハンバーグイヤ。出来れば作り直していただきたいのです。ハンバーグからは瘴気が微弱ながら出てるんで精霊や神や子供に取っては立派な毒になるのです』

 なるほど。チビ達が食べなかったわけだ。

「狙って作ったものじゃないならいい。すぐ作ってくる!」

日本に転移魔法陣で転移したら、部屋を出るとすぐ苺花がお腹にクワガタのように突進して来て、両手でホールドすると号泣している。

チラホラ、苺花世代のチビ達が苺花のようにとはいかないけど、「幸留父さん」と言って全方向から抱きしめてくる。


え?!何でバレた?

すみません。血糖値が上がりすぎて入院しました。1ヵ月はぼちぼち更新します。

生暖かい目で見守って下さい(>_<)ゞ

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