セメント試合
ざ☆1発ネタ。
さあ、本日もやって来てしまいました、試合のお時間です!!
本日のカードは昨日と同じです。
ですが昨日と同じだからと言って、展開も昨日と同じとは思わないで下さい。
昨日ベテランに負けた新人君は、新人君であります。
つまり新人君にはまだ伸びしろしかありません。
しかも昨日の試合後にはベテランから指導を受けており、動きが格段に良くなっていると聞いております。
この情報が真実であれば、注目ポイントはその新人君がベテランにどれだけ食い下がれるか、となります。
両者、全てに指差し確認も済ませスタンバイ完了です。
では試合……開始されました!!
まずは両者共袋開けから。
両者共、慣れた手つきで開封します。 ここは新人・ベテランは関係無いですね。
いやむしろ、仕事の流れを覚えさせる名目でよくやらされている新人君の方が少し早いでしょうか?
そして開けた中身はトロ舟へ。
トロ舟へ、水を適量注ぎます。
ベテランは流石の手つき! 圧倒的な職人芸! 目分量の1発で適量範囲とは、流石のベテランだ!!
対して新人君は……おおっと!? 昨日の新人君はどこへ行った!? 目分量で適量以上の水を入れすぎてワタワタしていたのは過去の事!
慌てず騒がず、しかし手早くしっかり計量して、適量を注ぎ込みます。
ここで練れば補修剤のノロになりますが、この試合のゴールはコンクリートです。 焦って練ってしまわないよう注意です。
次は……ベテランは砂ですね。
対して新人君は、砂利を投入しました。
ベテランが新人君を見て苦笑している様に見えますが、それは気の所為でしょう。
ちなみにセメントに混ぜる砂や砂利の分量はこちらで指定して、必要な量だけお出ししておりますので、分量ミスは起きません。
それぞれ残った方もトロ舟へ投入が完了です。
ここまでで大きな差は見受けられませんでした。 昨日は水の所で取り返せない差が出来ておりましたから、これは大きな変化です。
ここでセメント練りが始まった〜〜!!
ここでは新人君が有り余る若さ故の筋力でリード!!
ゴリゴリゴリゴリ、砂や砂利がぶつかり合う面白い音が会場に響いております。
この音は、好きな人にはたまらない音ですね。 硬いものがこすれ合い、中でどんな変化が起きているのか想像が膨らみます。
新人君は力強くセメントをかき回しています。
対するベテランは……美しいですねぇ。 丁寧な手つきで、優雅に流麗に練っています。
腕に腰に余計な負担をかけず、怪我を避けるよう「0災」精神が形になっていると言っても過言ではないでしょう。 安全確認ヨシッ! 今日も一日ご安全に!!
〜〜〜〜〜〜
…………はい、タイムアップです! 両者共道具から手を放して……ベテランはすでに放してますね。
新人君、これ以上はダメです!!
では練り上がったセメント……今の状態だと生コンクリートですね。
それを枠へ流し込んで頂きます。
新人君は、どうでしょうか?
ザーっと枠へ流し込んで……表面をてこで平らにして頂きます。
…………うん。 昨日より明らかに滑らかなコンクリートになっていますね。 ハッキリした上達を感じます。
そしてベテランの方の生コンクリートは……完璧ですね。 気泡は無い。 ダマも出来てない。 砂や砂利はどこへ行ったのか? と訊きたい位に最高の仕事です!!
これを連日完成させているのだから、恐ろしい職人技でしょう!
判定は…………必要なさそうですね。
ベテランが新人君の上達を素直に褒めていて、新人君がそれを嬉しそうにしています。
昨日は新人君が焦りからボロボロでしたので、ベテランにこっぴどく叱られていました。
それと比べればとても微笑ましい光景で試合終了です。
本日の試合もベテランが勝利でしたが、新人君が良く成長しているのが感じられる良い試合となりました。
今はベテランが圧倒的ですが、新人君が新人君と呼ばれなくなった頃には、同じ仕事が出来るようになる事でしょう。
その時を期待して、今は新人君を応援して行きたいと思います。
以上、セメント試合の実況を現場監督がお送りしました。 では、また。
なお現在生コンクリートを現場で作ることは稀で、生コン車の手配が足りてない等の緊急時以外や、生コン車を手配すると損になるような極めて小規模の現場位しか見られないそうです。