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少年の揺さぶられる純情



 よそさん家で周りに女の人ばっかで女の子を待つ。

 肩ガチガチで堅苦しい。余裕なくなってきちまったぜ。紅茶何杯も飲めねーよ。

 早く戻って来ねえかなって注いでもらってるとさ、パァァァアァって輝くんだぜご登場は。

 シェレアティアさんのご帰還で景色が一変すんのマジで恋だわ。くっそーもー。


「お待たせいたしました」

「……いえ」


 前髪変わってんじゃん。髪型変わってんじゃん。

 さっき風でお乱れさせちまったから? 上半分を結んで耳出してるしデコが出てる面積変わってる。

 潔いな! 粗相されるくらいなら先に出しておけって考えなのかな。

 いいなそういうとこ。顔面崩壊しそうだけどな。

 向かいの椅子に座る流れも洗練されててさあ、動きに合わせてキラキラが爆増してやがるんだけど恋ってなに。

 目が潰れたらどうすっかなー視力回復くらいできるんかなオレ。


「お口に合いまして?」

「おいしく──いただいています」

「ようございました」


 寮帰ったらお行儀作法を特訓だ。サボりまくった五年半の遅れを取り戻せ、速攻でだ!

 仕草に見惚れちまって焼き菓子をつまむのを盗み見ていると視線を感じた。シェレアティアさんの侍女さんのフルゥさんが、なんでだ、首を振っている。

 なに、なに、なんのアドバイス? 残念そうな顔してんのどういう意味? クリスティアーナ様の侍女さんよりフレンドリーだな。


 ──オレ褒めてねえ!!


 脳に雷落ちるの遅っせーよ!

 シェレアティアさんの眉がピクッと動いたのを見て閃いちまった。

 外見が変わったレディーにコメントしないのはよろしくなくて? わっかんねえよ習ってないから!

 クリスティアーナ様にはなんも言うなって強めに注意されたんだ。クードの婚約者だからな。

 んじゃあシェレアティアさんには言えばよかった? 知らねえよ、今言うの? 遅すぎる。

 さっきと今で髪型変わってんだからひと言くれー気の利いた言葉言えやボケ!


「人心地つきましたら開始しましょうね」

「……っす」


 オレなんかの賞賛いらねえっすか、今さらサラララで口が開かねえ。

 怒っちゃったかな、オレには怒ってないのかな、目の色って人によって違うよな。

 クードはマジで金髪碧眼ってやつで絵に描いたような王子サマってヤツだ。お隣のクリスティアーナ様は同じ金髪でももっと柔らかい感じでふわふわしてて緑色の目をしてる。

 シェレアティアさん銀髪だけど、見た目もクードに似てねえか?


「いかがなさいまして?」

「さっき、お兄様って言ってたの、クオジドォール王太子殿下のことですか?」

「そうですわよ。お兄様からもテオさんのお話をよく聞いておりますの。おふたりは気の置けない友人なのだとか」

「クードともよく話すんだ?」

「えぇ……殿下が人として少々難ありだということも存じております」

「難あり! ですよねえ」


 すっげえぞ一国の王太子に向かって『難あり』って言ったよこのお嬢様。

 え、マジ、マジ? クード妹いるって言ってたぞ、もしかしてシェレアティアさんクードの妹?

 アイツの家名なんだっけ! ロなんとかだった気がする。覚えてねえよ、オレがフルネームしっかり覚えられてたのはクリスティアーナ様とステフしかいねーよ。

 必死で覚えたからな義理堅ぇのよオレは。二人が限界だったんだ!


「こんなことを言っていてはお姉様に叱られてしまいますわね」


 この『お姉様』って未来のお姉様ってことか? クードはクリスティアーナ様と従兄妹だった? 貴族ってイトコばっかかよ!

 ド緊張してきた。目の前の女の子──淑女様は王女様だったりすんのかよ。庶民は這い蹲らないといけないんじゃねえの?


「わたくしが持参した書物ですが、ところどころに書き込みがしてありますの。あまり気を取られないでくださいね」

「え? いや、えっと、助かります。自動筆記で書かれた字って眠くなってダメで……」

「テオさんは眠たくなるのも早いのですか?」

「どうですかねぇ?」

「魔力の異常消費で記憶の欠落が生じてしまうのは脳の記憶分野を動力に充てているという説もありますが、魔力暴走を持つ子供は精神が不安定なことが認められています。そのために良質な睡眠を取れていなのではという研究が進められていますのよ」


 スラスラスラーって話されてもなーんも入って来ねぇです。

 情けねえのな年食い野郎。根気が足りねえんだよ。


「疲れていると人の話が聞けないことが多くありませんか? 魔力暴走の完治で改善されましてよ」

「そうなんですね……あぁ、オレ寝るのは早いし起きるのも得意なんです」

「夢は?」

「見ないです、見た記憶もねーです」


 平たく言葉を言い換えてくれるのはオレに合わせてくれてるんだよな。

 クードやステフがしても超親切に感じるし、クリスティアーナ様にはありがてぇなって思うわけ。なんで腹が立っちまうんだろう、自分にムカついてきてんだな。

 オレいいとこぜんぜんねーじゃん。


「わたくしは毎夜夢を見ています。羨ましいですわ」

「ちゃんと寝れてる?」

「ご心配なく。休憩は取れましたか? そろそろ参りましょう」

「うん……」


 はぐらかされたな。オレの思考誘導された?

 膨れ上がるクードの妹予想は百発百中で当たりそうだけど友達の妹ってのはどうなんだろうな。

 つーか身分違いもハナハダしいじゃん、今日こっきりでサヨナラしようや。

 ダラダラウダウダ考えながらお勉強机へ戻ると、山ほどあった本がどっかり消えてやがる。

 どういうこった。もうわっかんねえ。シェレアティアさんの本が二冊しかねーのが恐怖だよ。


「集中が削がれますから片づけさせました」

「そっすか……」


 ここってクリスティアーナ様のお屋敷だよな? 従妹ってそこまでできるモン? 王様の娘権限なのか?

 椅子をそろーっとずらして座った。考える時間がほしいんすわ。待ってくれよオレ国王陛下に喧嘩は売らねーよ。


「まずはこれを一冊読んでください。不明な点は読み飛ばして構いません」

「最後まで一気に読むんすか?」

「そのあとわたくしが解説いたします。何時間かかってもよろしいですよ」


 ガチの指導じゃん。

 ゆるーく楽しいお勉強会じゃまったくねーわ。

 シェレアティアさんコレ何遍読み直したのかな。文字も大きめだし挿絵もあるし、オレもちゃんと読んでわかる内容でありがてえのなんのって、対象年齢何歳だよ。

 あ、ここ書き込みある。へえここ今だと解釈違うんだ。


「集中なさってください」

「シェレアティアさんって──クードと字が似てますよね」

「そうでしょうか?」

「空気感ってのかな、そういうのもクリスティアーナ様よりクード似かも」

「読み終えましたの?」

「もうちょいです」


 刺々しくなってる~! 兄貴に似てるって言われんの嫌なのか?

 クリスティアーナ様を慕ってるわけだしお淑やかさが理想なんかな。


「わたくしがいると余所事を考えてしまいますのね」

「元々気が散りやすいんです、キミのせいじゃないよ──ほら、さっきのここ、ここにも書いてあるし!」


 魔力暴走で辛いこと、ってとこに『高熱時の状態に酷似』ってあんな。いつ書いたのこれ、頭の出来が違いすぎやしませんか小さなシェレアティアさんぜってぇオレより賢いぜ。

 キミが泣いてるとき兄貴のアイツが慰めてたと思うと──反乱しそうで参っちまうよな。


「あぁーも、落ち込まなくていいんだよ! 真剣だから怒っちゃうんですよね? 不真面目に見えるから腹が立つんでしょ?」

「お優しいのですね」

「優しいってか……嬉しいのかな? どういうわけか」

「独特な方」

「そうですかね……そりゃ、まあ、ども」


 歯切れが悪いなおまえ、照れてもきめぇんだよてめぇ。

 婚約者との会話が盛り上がらねえってため息ついてた人に共感すんぜ。チンタラしゃべってんじゃねーよがんばれよ。

 とは言ってもだ、経験がないとうまく回んないのはオレだって知ってる。

 無作法者に追加すんなら大人しめに思われてたほうがマシだろうし軽く頭を下げといた。

 気まずくて猛烈やる気に文章を追うと、紙の束に流線を刻むペンが止まって倒される。


「本をお閉じになって」

「読み終わってないっすけど」

「次お会いできるかわからないのです。わたくしへの疑問は今日晴らしてお帰りになってください。答えられることでしたら答えましてよ」


 促されてキミを見た。

 たぶんキミは自分の立場を知られたくない。

 あんな流暢に話せるんなら自分の名前くらい言えそうだもんな。隠したいものを暴いたりしないよ。

 でもそうすっと質問が残ってねえや。ここでなんも聞かねえのもなあ。

 いきなり叔父貴さんのこと聞いて運命論かますバカじゃねえんだ。


「じゃあ──オレが正しくなかったか教えてほしいです。クードと約束したことがあって、それがたぶん間違ってて……かなり前の話なんですけど」

「お姉様の耳に入れるのを憚られる内容をお交わしになったのですね」

「うん……」

「口外いたしません。約束します」


 ありがとう。

 今日キミにこの話をできるのが、オレの人生でかなり大きな出来事になる。


 ──ごめん。


 クリスティアーナ様には聞かせられないし、女の子に話すのは間違ってるかもしれない。

 けど言わないと正せない。

 甘めに採点してくれない絶妙な立場の人との出会いに感謝するんだ。


「兵器に使ってくださいって頼みました」

「兵器、ですか?」

「オレらが話すようになってすぐんときです、あの頃オレ参ってて……」

「続きを」

「アイツは将来王様になるでしょ。戦争に誰かを送らないといけないとき、オレを真っ先に使ってくれって言いました。家族もいないし魔術を発動してる自覚もない。自分をちゃんと使えるヤツに操縦してほしかったんです」


 ガキの浅知恵だ。聞かされたヤツの気持ちなんざまったく考えてねえ。

 クードは王様、クリスティアーナ様は王妃様。あの人が、あの御方が暮らしてる国だからオレが最も役に立てそうな仕事をひねり出して立候補した。

 入学したばっかのオレはクリスティアーナ様だけがこの世の救いだった。成績首位の落ちこぼれにとって同い年の同級生が神様だった。

 あの人の役に立ちたい、あの人が使うに値する存在になれるなら、女神のためなら喜んで死にたい──思い詰めてギンギンに血走って未来の国王に直訴した。

『承知したよ』って受け入れて『クリスティナに告げるのは禁ずる。悲しむからね』と笑ってたクオジドォール王太子殿下はなにを思っただろう。

 クードを友達って言いにくい。けど、赤の他人ならぶつけていいのかって話だ。

 口にしてから育っていった後悔の種。コイツを放置し続けた先でなにが破綻してたのか。オレはふたりとの友情を軽く見ていた。


「テオさんがお姉様や殿下から距離を取りたがっていたのは、ご自身を兵器として有意義に利用してほしかったからですのね? その意識が根底にあったから友情を育むことを躊躇ってしまった」

「そのとおりです」

「そのご様子ではおふたりとの縁を疎かにしていたこと、過去の発言も悔いていらっしゃる──お兄様もお姉様もテオさんを責めませんわよ。安心なさって」

「いいんすかね?」

「わたくしに決めてほしいのでしょう? ならば揺るがないで。叱られたら甘んじて受け入れてください。未来へと繋がって行きますわ」


 ホントに好きだよキミのこと。

 胸が熱くて情けねえとこポロッポロ出そうになっちまうのな。

 あーあーもうやってらんねぇ、これっきりなんて耐えらんねぇよ。


「ハンカチはお持ちになっていて?」

「大丈夫っす──」

「別件、なのでしょうか? 数年に一度おふたりから逃げ惑っていたのはなぜなのです?」

「それは、ですね……」

「それは?」

「クリスティアーナ様に変な噂が流れたらどうしようと思って」

「ご友人に避けられていたお姉様は傷ついておいででしたよ。思慮深いのに短絡的な方なのね」

「反省してます……」


 そういうキミはやっぱり、クリスティアーナ様じゃなくてクードに似てるね。

 腹落ちってこういうことかあ、なるほどな、だからなにって感じだけどさ。

 ここでオレをイサメル目をすんのがクードで、悲しむのがクリスティアーナ様だ。

 お姫様なのに王子様みたいな妖精さん。キミは兄さんにもお姉様にも似てんだな。

 壁がでけえ! 聳え立ってる!!


「交友を深めていた方に突如避けられようものなら、わたくし一月は不機嫌になりましてよ」

「気をつけます」

「そしてたった今殿下を嫌いになりました。もうあの方の話をなさらないでくださいませ」

「なんで!?」

「王族にあるまじき短慮です……嘆かわしい」


 シェレアティアさん隠す気なくしたな? オイオイいいのかよアイツ一応王太子だぜ。

 面白いけどオレはダチのフォローをしとく。


「しょうがないんですよ、オレクリスティアーナ様の周りウロチョロしてて、クードも目障りだったんだろうし。アイツの内面が出てんの珍しいですよね? 今は仲いいですし、昔は昔ですから」

「個人の敵意で承服したのならば、尚の事許すことはできません」


 なんだっけ、なんかもホロロってやつだ。

 最初のオレらって片方その気なんざねえのにライバルくさかったし、クリスティアーナ様にまとわりつく男がいて苛立ってたクードの男心もわかるようになった。お互い手探りだったんだなぁ。


「それにあの方は、のちのちテオさんを気に入ったから失言を撤回すべく親切になさっているのです。クオジドォール王太子殿下は信用ならない御方でしてよ」

「そういうヤツですからね。未来の王様が本音ぶちまけんのもダメでしょ。んなふうに怒っちゃ可哀想ですって。かわいい妹に嫌われたらアイツ泣きますよ」

「妹ではありませんわ」

「クリスティアーナ様の従妹なら妹分ってやつでしょ?」


 ギリギリ続けられながらもオレ混乱してきてんだけど。

 妹じゃないの? 妹じゃなくても『お兄様』って呼ぶの? 呼んでるか、従姉妹でも『お姉様』なんだもんな。

 わっかんねーよ答えくれよ。


「殿下のお話はなさらないで!」


 そっぽ向かれちまったじゃん。

 二度とクードの話はすんじゃねえよ胸が痛いじゃねーか。

 つーかかなり気分屋じゃね? おてんばどころかじゃじゃ馬だぜこの子。

 今日会ったばっかのヤツのために怒ったり泣いたり、表情コロコロ忙しいキミ。

 キミには笑っててほしいんだけどな──やめとけやめとけこりゃ似合わねえわこれだけは黙っとこうぜ人格がオレじゃねーんだわ。


「シェレアティアさん」

「概ね了解しました。今お聞きしました内容はわたくしの胸に留めておきます。……わたくしも、お姉様をお慕いしていますもの」


 髪縛っててくれてよかったよ。綺麗な顔がよく見える。

 二つ下ってことは十四か十五か。オレと同じ年になっても身長伸びねえのかな。女の子ってみんなこんな華奢なんかねぇ。

 オレよかしっかりしてるし『お慕い』ってとこが育ちのよさだよなぁ。

 でもよォちょっと待ってくれ。

『わたくしも』ってでっけえ勘違いされてねーか?

 覚悟を決めた顔してる? アレか、未来の国母に横恋慕してる男の秘密守りますの顔か? 誤解してるなキミ走るの得意そうだもんな!?


「オレクリスティアーナ様にはそんなんじゃなくてですね!!」

「お姉様はテオさんにとって特別な女性なのでしょう?」

「特別っちゃ特別ですけどそういうのとは違うっつーか!」

「そういうのとは恋愛感情のことですか? 今は敬愛でも恋慕になるかもしれませんわよ。わたくしはテオさんの感情を否定しません」

「しましょうよ! つーかぜってぇなりませんって!」


 キミのことが好きなのに友達の未来の嫁さんに不敬な思いを持つわけないだろ。お慕いしてんのはキミなのに!

 言えねーよ言ったところで『誤魔化さなくても結構です』とかって振られるだけじゃん。

 かわいい顔して頑固っぽいもんな、妖精は気まぐれなのですわってかやってらんねー。


「他にわたくしから聞き取り、払拭したい懸念はございまして?」


 不機嫌になってるじゃんかよー、睨まないどうどう、違うって、キミのお兄様の邪魔しねーから!

 あぁクソマジでやってらんねえ。シェレアティアさん顔小っせーのな。

 目はでっかいし鼻筋も整ってんのに配置がいいのか全体的に小振りっていう謎な造形してる。唇は、見んな見んな見んな、ダメだって、ダメなんだって、くっそマジで妖精さんだしお人形みてーだ。

 短気なオレがこの子に苛立ち続かねーの顔のせいだろ。知らねーよかわいいし。こっち向いてくんねーかな。

 周りに金髪は多いけどこんなサラッサラの銀色はいねぇ。触ったら──不敬罪かぁ?

 とか思ってたら風が吹きやがるんだな、おまえよお、とっ捕まっても言い訳できねぇぞ。


「今度はなんですの?」

「髪に糸くずついてました、そんだけです」

「……大変ですわよね魔力暴走は」


 体ごと向きを変えられてしまってオレ涙目。

 ゴメン、ホントにゴメンて、オレは今まで自分にこんなふてぇ部分があるなんて知らなかったんだ。

 すいません。

 オレはキミのいろんな顔が見られて嬉しい。


「お姉様はテオさんを大切なご友人だと仰っていました。テオさんも生涯、変わらないと誓えますか?」

「誓えます誓えます!」

「──わたくしは?」

「わたくし? ……オレらも、トモダチじゃ、ないっすか? なりましたよね?」

「なりましたの? いつ──?」

「今……?」


 自分で言ってダメージ受けちゃざまあねえのよ。

『ボク達友達ですよね……?』みてーな卑屈な態度になっちまったじゃねーか。

 こっちを振り返ってくれたシェレアティアさん眉下げてめちゃくちゃ困ってんじゃんか。


「お友達──」

「オレ達友達にはなれませんか!?」


 グッサグサ刺さんの笑えねえー。

 キミがどこの家の子でもオレがぺえぺえ庶民である限りお付き合いどころか会話も許されねえんだ。キミは学園にいないしオレは星にはなれねえし。

 もじもじ正面へと向き直ってるのくっそかわいい。

 やっぱ好きなんだな、また雷鳴ってやがるしな。

 オレはもちっと静かな恋がしたいんだけどよぉ、雷はオマケかよいらねーよついてくんな。不吉な予感になってくれんなよ。


「異性の友人は初めてできました……」

「そうなんだ!!」


 身分がどうした好きになってる、勘違いされてんのが死ぬほど辛え!

 どうしたらキミに本気で取り合ってもらえるんだろう。

 まあでもテオ・ソトドラム(親なし根無し草)はこのままひっそり失恋コースだよな。そのほうが楽だ、やめたくねーんだ腑抜け野郎。

 オレはこの子がどっかの男と結婚が決まってても諦められないんだろうぜ。

 つか待てもういるんじゃねーのか婚約者。

 いーやいないね! この出会い方してあのロマンス大好き王子サマが噛んでるならいねーんだわ。

 シェレアティアさんまだ婚約者いねーよな絶対。そう信じる、信じてっからなクード殿下! 淑女は婚約者以外の殿方と二人きりにはならねぇって言ってたもんな! マージで調子乗んなよオレのバカ!!

 誤解を解きたい昼下がり、雷がゴロゴロうっせーの。


「今日は雷が多いですわね」

「誰かが鳴らしてるのかも……」

「テオさんが? 魔術師では天候までは操れませんわよ」

「天気を変えられる人いるんですか?」

「魔導士様なら可能でしょうね」

「魔導士──魔導士?」

「お忘れですの? 説明いたしましょう」


 あ、キミ結構解説魔だろ。説明したがりなんだなかわいいな。

 ちゃんと頭に入るかなオレ。


「我が国が定める魔術に関する位は五段階に区分されます。魔術大学校及び魔術学校入学生を魔法使い、国内各地にある魔術学校中級課程修了者を魔術者とし、魔法大学校中等部修了、すなわち五年生から六年生になった段階で魔術師と認定されます。テオさんやお姉様は魔術師ですわ」

「ちょっと待ってもらえますか……」

「図説しましょうか。テオさんやお姉様が通われているのはこの国で唯一の魔術大学校、ランドルーヴェ魔術大学校。学園と呼ぶのが主流ですね」

「うん、うん」


 四角を二つ、校舎っぽいのを描いて横に名前が書かれる。

 学園の正式名称こんなだったけか。魔術大学校ってのは覚えてたけどな。


「対して国内各地にあるのは魔術学校です。魔法学校とも呼ばれていますわ。魔法は魔力の基礎的な運用を言います。魔術はその上、魔力を用いた術式の展開を指します。ここまで理解はよろしいですか?」

「大丈夫っす」


 しゃべりながら綺麗に字を書けるの才能だ。

 紙にどんどん追加されていく文字はかわいいっつーより美人だな。

 先生達投映機で出した板書を棒で指しながら話すのがメインだもんな。たまに黒板に文字書いてるおじいちゃん先生も、腕が疲れんのかチョークは魔法で動かしてるし。


「魔術大学校と魔術学校、この二つは教育制度に大きな違いがあります。入学年齢と在籍年数も異なっていますわ。魔力を有する者は必ずどちらかに通わなくてはなりませんが、魔術大学校は通常の学力での入学は適いません。専門性の高い教育を受けるに相応しい資質が必要なのです。入学試験は難関ですのよ。──はい、テオ・ソトドラムさん?」

「オレ試験受けてないです」


 挙手して質問すると、シェレアティアさんはきつめになっていた瞳を丸くする。

 オレキミが女の子っぽく振る舞おうとするとこ好きなんだろうぜ、厄介な趣味ができちまったな。


「過去にも無試験で入学し卒業を遂げた者もいます。わたくし申しましてよ、魔力暴走は未来から借りている才能だと──未来のテオさんも魔導士になる可能性を秘めているのかもしれませんわね」

「魔導士ってそんなにすごいんですか?」

「ええ! 魔術権威の最高峰です。国内外問わず類稀なる才能があると証明できますの!」

「へえ」

「現国王陛下の弟君であられるフィキディテート王弟殿下も魔導士様で古語研究の第一人者ですの。我が国には魔導士様は七名しかおりませんのよ。テオさんも魔導士課程にご興味が?」


 おうおうタンマタンマちょっと落ち着いてほしいなぁ!

 シェレアティアさん熱心だなー。魔導士ね、魔導士、名前からして偉そうだけどご興味どころか初耳なんですどうしたことでしょう。


「王様の弟様も魔導士なんですか? クードの叔父貴さんですよね?」

「王弟殿下です」


 あ、冷たい。

 すんませんすんません直しますがんばりますがんばっていきますよぉ!

 ンの前にオレ、必須確認事項ってのを発見しちまったよなぁ?


「王弟殿下は魔導士様なんですね? 殿下は独身ですか?」

「えぇ、そうですけれども……」

「クオジドォール王太子殿下は魔術師で合ってます?」

「そうです、あの──?」


 へぇ、そう、あっそう。

 オレの早とちりからアイツその場ででまかせ創りやがったな。

 詳しい話の流れは覚えてねーけどよぉ、叔父貴さんを魔術師って記憶違いしてたんだよオレ。

 アイツがチョロチョローって話してたのをつっこんだよな、したらクードが叔父貴さんの呪いの話に続けたのは覚えてんだよなあ。

 雷鳴らしてんの本気でオレじゃん! 今日オレをからかいたくて国で七人しかいない魔導士様呼んだりする? してたら怒られろよてめぇ!!


「テオさん! わたくし、編入しますの」

「編入?」

「えぇ」


 オレは! 黙ってると! 怖いんだってよ!!

 そりゃデカくてゴツいもんな目つきも態度も口調も悪い大男だ、横で怒気垂れ流してたら女の子は怖いよな。

 ああくっそマジで一回頭砕けちまえ。いやいやナシナシ砕けたらマズい。


「気にしないでください、ちょっといろいろ──続けてください」

「編入は学園で学びたい者への救済措置でして、魔術大学校の中等部の二年目、四年生のみ編入が認められていますの。試験は何度でも受けられますから、わたくしも来月から受験しますのよ」

「五月ってすぐじゃないですか」

「けれど、九ヶ月も過ぎてしまいました。すでに何名か編入試験を通過した者がいると聞いております。寮で生活をする者も多いのだとか!」


 ビビらせてるじゃんシェレアティアさん挙動不審になっちゃってるじゃん超恐怖覚えてる顔してるよ!

 また泣かせたらどうすんだ。笑うか、笑えよてめぇ、オレの面はキミより笑顔に向いてないよな。

 慎重にいくぞ目尻は下げておくんだぞ。


「四年ってそういう時期なんだ! 食堂の四年生のテーブルって他にない空気があんですよ。編入生が増えてるからかあ。シェレアティアさんも合格したら寮に入るんですか?」

「わたくしは……」

「ルルが試験を突破できるかは未確定だよ、テオ」

「クード! お茶会は? クリスティアーナ様はどうした?」

「あまりに雷が酷いからね、今日は君達の面倒を見るよう言われてしまったのだよ。君のせいだね、テオ」

「ちっげーよ」


 急に現れんなよふたりして椅子から浮いちまったじゃん。

 後ろから声を降らせた男はわざわざ真ん中を引き裂くように手を伸ばして紙を拾った。


「学園とその他のおさらいかな?」

「魔導士ってのがなにか教えてもらってたんだよ……」

「テオは魔導士課程に興味があるのかい?」

「シェレアティアさんも聞いてきたぜそれ。興味はねーけど」

「そうか──」


 邪魔すんなよ帰れよおめぇ、お迎えにはまだ早いんだよ。

 妙な緊張感が走ってる図書館で、先に切り出したのはシェレアティアさんだった。


「僭越ながら、殿下はわたくしが魔術大学校に編入できないと仰っしゃりたいのでしょうか?」

「悪く取らないでくれ、私のかわいいルル」


 イラッとくるのは許してくれよなぁ? 王子サマよぉ。

 てっめ、見せつけんなよ、その距離感で兄妹じゃなかったら雷打ち落としてやるからな。

 こっち見て笑うんじゃねーよシャキシャキの余裕見せつけんなよピカピカ野郎が。


「テオが卒業後を見越して行動に移しているのは喜ばしいな。テオ、新たな道を模索する君に私からも問いを出題しよう。魔術大学校を卒業すると我々魔術師は魔術学士となるが、卒業見込みで行えることはなんだろう?」


 ──うん、おまえら兄妹だな。いいぜオニーサマ、てめぇを超えて一人前だ。


「魔術官職採用試験の受験だろ。そっから希望を元に魔術機構のお偉いさんが配属を決める。おまえいつまで経ってもいいとこ教えてくんねーじゃん」

「よく覚えていたね」

「就職に関わることだしな。試験まであと一年もねーんだし」

「時間もあることだ、魔導士についても説明しよう」


 帰れ帰れ帰れおまえに聞きたいこっちゃねーのよ。

 前座んなくていいから。おまえときどきホント人の感情無視すんのな。

 妹様の手前雑な対応ができねえオレを笑ってやがんだろう。笑え笑えふざけんなよぉ。


「魔術大学校魔導士課程に進んでも魔導士にはなれない。シフィロソキア王国魔術機構の幹部七名と魔導士一名から推薦され、元老院からの承諾と国王陛下の承認を受けて初めて認められるのだ。彼らは国の繁栄に貢献して一握りの栄光を掴んだのだよ」

「へえー。エリートなんだな」

「さて、もう一問。ルルの階級はわかるかな?」

「シェレアティアさんはオレらより二学年下で、魔法学校の──」

「魔法大学校の六年生と魔法学校の上級一年生が同じ年齢に相当するよ。魔法学校は六年制だ」

「上級一年が六年生で、六年………?」

「中級は一年生と二年生だ」

「だあくそ!! 二年下だから中級一年、だから、魔法使い! 合ってるだろ!?」


 コイツなあ、親切なんだけど人をからかって遊ぶとこあるよな、すげえ不親切。

 指曲げて伸ばして計算して答えを叩き出したが、クードは爽やかに判定を下した。


「不正解」

「なんでだよ! 間違ってねえって!」

「ルルはグランウェルン女学院に新設された魔術科に通っているのだ」

「女学院。へぇ、シェレアティアさんに似合いますね」

「加えてもう一つ。我々学園生は二年生進級時に魔法使いから魔術者に昇格する。魔術を扱う者にとって学園生は特権階級と呼べるだろう」


 やっやこしいなオイ、これ初等部の学習範囲だよな。教科書は取ってあるから読み返してみっか。

 オレはこんとおり勉強はからっきしだ、愛想もねぇし頭が悪い。

 けど親切にしてくれる人がいじめられてるとこ見逃すバカじゃねえぞ。


「クード、シェレアティアさんに嫌がらせしてんのか?」

「目敏いな君は、それでこそだよ、テオ」


 喜ぶんじゃねえよクソ兄貴。

 俯いて泣くのをこらえてる妹に痛む心はねーのか冷血漢。

 わかってんだよ、シェレアティアさんがオレに複雑な思いを持ってんだろうってことはな。憤りってのがあっても当然だろうぜこんなクソボケのアホが学園入れたのに、自分は──たぶん魔力暴走のせいで入学できなかったんだろうからさ。

 つっつくなよ繊細だろ女の子は、ホントおまえバカオレのなんなの兄貴じゃねーんだよ、まだ! まだってなに!!


「いいかい、テオ・ソトドラム。君は魔導士を目指したまえ。就職は先の話だ。君なら推薦も取れるだろう」

「んなことより」

「わたくしの話は結構です!」

「おや、半月ぶりの癇癪だ」

「おにいさま……お姉様の元にお戻りください」


 悲痛な声にも殿下は表情が崩れなかった。

 クードおまえの血の色何色だ。

 急に不気味なヤツに思える友達は、内側の冷酷さを覗かせながら立ち上がる。

 嫌だオレなんでここにいるんだ。

 クードがシェレアティアさんの肩に手を置いた。おまえは触っても許されるのかよ。

 オレは庶民、おまえは王族、おまえは羨ましいものをたくさん持ってる。


「殿下?」

「ルル、私のかわいい妹。君の傷が癒えるときを私は待ち続けるよ」


 この世の男には数種類ある。

 そのうちおまえは王子様だよ。女の子の額にキスしても許される本物の王子様だ。

 手慣れた仕草でチュッとかやってんじゃねえぞ、どういうことだよ、なんだよ。


 ──どうしてキミはそんな顔をしてるんだ。


 気づいちまったかもしれねぇ。キミの好きな男のこと。

 そうだよな、じゃあ、同じ立場のオレを否定しないか。

 颯爽と立ち去るとこ本物の王子様すぎてよ、オレはもうさ、羨むのも無理になってた。


「王子サマっすね、アイツ」

「わたくしのことを子供扱いしているのでしょう」


 キミは一生アイツの妹分。変えようがないからその顔をするのか。

 そうかー、繋がっちまった。オレだって把握しまくりだ。

 けどよおオレのもせっかくの初恋だ、枯れるまでは持っとこーぜ。泣きながらでもな!


「シェレアティアさんが編入試験に受かれば学園で一緒に過ごせるんですね。受かりますよ! 自分を信じてあげないと」

「信じていましてよ。わたくしは魔力暴走を克服しました。あるべき場所へと戻るのです──お兄様がああも厳しいのは昔の名残なのですわ。自分を貶めて家族を悲しませてばかりいましたから。お祖母様にはとくにご心配をおかけして」

「仲直り、できた?」

「説得は途中ですけれど良好な関係ですよ。わたくしはお祖母様の取り計らいで魔術とは関わりのない学校に通っておりますけれど、諦めきれなかったのです。大変でしてよ、魔術に関してはほとんど独学ですもの」

「シェレアティアさんは努力家なんですね」


 迂闊にものも言えねえーのなオレは。

 どこにシェレアティアさんのカチンとくる単語が埋まってるかわかんねーし、キミとは今日会ったばっかだからなんも知らねーし。

 顔に出してるつもりがないキミが憎らしくなってくる情緒不安定さだぜ。王太子サマの来襲を引きずるオレにシェレアティアさんもたどたどしくほっとかれてる紙を畳んだ。


「ここに転移陣があるのはわたくしがお姉様の元に家出をしやすいようにですの。お兄様が意地悪をなさるのはそういった理由で──テオさんに悪意はなくてよ」

「まぁ、それならクードは甘やかさないでしょうね」


 なに、なんだよ、オレ達が喧嘩しそうな意味あるのか?

 ないだろナイナイ、次いつ会えるかもわかんないのにこんな雰囲気最悪だろうが。

 バカやんなら貫きとおせよバカ野郎。


「魔導士の話、キミから説明されたかった」

「え──?」

「邪魔されて不機嫌になってんの、大人げないっすね」

「わたくしと、二学年しか違いませんのよ──年の差は三歳ありますけれども」

「シェレアティアさん、まだ誕生日来てないんだ」

「そうです、生まれ月の問題もあって一年生からの魔法大学校入学は適いませんでした。けれどもわたくしは己を御する方法を勝ち取りました。魔力暴走を治しても失ったものなどなに一つありません。すべてがこの身に宿っています。編入試験に合格して、必ずテオさんの後輩になりましてよ」


 ──好きだ、好きだ、だあくっそ胸が痛いぜ好きなんだよ!


 キミが後輩になったらさ、学園内でクリスティアーナ様といるとこ見るかもしれないな。

 オレは勝手にキミの心境を探ってモヤモヤすっし、まだクードのこと気にしてんのかってジタバタすんだぜ。

 告白して玉砕するか、いいやしないね、可能性は捨てないでおこうぜ。

 めでてぇ頭したあの野郎になんで魔導士がお勧めなのかも確かめなきゃなんねーのよ。

 キミを諦めるのはそっからだ。

 にしてもさ、背筋伸ばして輝いてるの、まぶしいよ。


「強いねキミは。かっけぇ」


 オレのことなんてホントは最高に嫌いなんだろうにさ、励ましてくれるし勇気づけてくれるし背中も押してくれるし、なんなんだよ、マジなんなんだよ。

 シェレアティア・ルル──やっぱ覚えてねぇ──キミが妖精さんならその善意もまだ理解できんのにな。お人好しなんだな、辛くねえ?


「違うんです、違うのです! テオさん、違うのです!」

「なにが?」

「わたくしっ……勇ましいわけではありませんのよ! 今のは……殿下に! 殿下に習ったことで! ぜんぶお兄様が──っ」


 あっちゃあ、真っ赤になって叫ばせてるよどうしたもんか。

 女の人に強いってダメだったか?

 貶してないよ、マジでオレより強いもんタフなハートは人生で掛け替えのない宝物だぜ。


「わたくし、癇癪持ちではないのです。お姉様には、似ていないかもしれませんけれど──」

「似てなくていいですよ。そのままでいいんです。クリスティアーナ様に無理に寄せる必要ありませんからね?」

「そこまで似ていませんか?」

「うん、まあ。いいじゃないっすか! 従姉妹でも別の人生歩いてる別の人間なんだし、今の強気で癇癪持ちなシェレアティアさんでいいんですよ! ──そういうのがいいって言う」

「癇癪持ちではありませんことよ!」

「甘えられる人がいるの、羨ましいです」


 オレは声もデカかったのに小心者になっちまった。

 キミがね、傷ついた顔する理由を誤解したくない。

 思い込むにはさっき見た乙女の瞳ってのが忘れらんなくてさあ。

 その“お兄様”にするようなのはやめてくれ。心が折られるよ。晩飯食えなくなりそうだ。

 この本持って帰っても返す相手誰だよ、このまま消えてしまいてぇ。

 適当に開いたページを読みながら、隣で魔力暴走の定義について書かれた本を読むキミに聞けなかった。

 オレがすっきりしたいからって『アイツが好きなの?』とは聞けないんだよ。

 花園よりも狭い寮の一部屋が似合いな男の恋なんざ、あの薔薇が枯れたら終いにすっか。


「このままでは、いけません。テオさん、こちらを見て……今日会ったばかりのあなたに、このようなことを申し上げるのは誤っているのでしょう。ですが、聞いてほしいのです」

「聞いてます、なんですか?」

「次いつ会えるかわかりませんもの。わたくしを見てください」

「なんでしょ、聞こえてますよ?」

「すぐに忘れておしまいになってもよろしくてよ。わたくしのこの想いは恋と呼ぶには淡いものです。汚れております。けれど──芽生えたものを摘み取りたくないのです。ごめんなさい……」


 キミはそう言っていなくなってしまった。

 どんな顔してたのか最後までオレは見られなかったし、キミの気持ちが汚れてんならオレのはどんくらい濁ってんだろう。

 雷の音はしなかった。


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