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少年のありとあらゆる迷走



 至近距離に超絶かわいい好きな子の横顔。

 鼻筋がすっとしてて、唇がツンってしてて、長い睫毛がバッサバサしてる。

 女になってもデケぇオレに肩を貸してくれてるシェレアティアさんは、バカ近くで見てしまっている初対面のデカ女にわりと困った顔していた。


「ご、ごめんなさいね……、あんまりにもかわいらしくって」

「ありがとうございます」


 言われ慣れてんのかな、そりゃあ絶賛されまくって当然の容姿だよな。

 女の子同士なら気兼ねせずうっとりしても大丈夫とかなんとか思ってやがんのか、マジで妖精さんな子に惚れ惚れ恍惚としてたら、足をすんげえ角度で捻っちまう。


「うぉ……っ」


 目ぇ覚めた、けど、すんげえ痛い!!


「大丈夫ですか?」

「平気平気……っ」


 ちょい待て? 左足の痛みに引きずられるように体内の魔力の巡りが乱れやがったな。

 波長を限りなくシェレアティアさんに似せてるのに、元のテオ・ソトドラムが出てきちまいそうだ。

 バレたら死ぬ、社会的死。

 貴族の女の子に引っついてて許される身分じゃねーのよ。この子は準王族、ええっと、現国王陛下の姪みたいなモンなんだろ? 性別偽って身体接触とか死刑じゃねーの?


「痛むのですね?」

「大丈夫ですわよ……!」


 二つの魔力を同時に制御してるみたいな状況で、痛みを我慢しながら興奮と波乱にドキドキハラハラしてりゃ、冷静じゃいられねーのよ。

 踏み出すたびに傷口が開いてる。顔が引き攣っちまう。荒立たせないってのは無理だ、魔力が暴れそうになる。

 好きな子にかっこ悪いとこ見せたくなくて笑う強がりに、シェレアティアさんはきゅっと口を引き結ぶ。


「わたくしが剛力でしたらお抱えして医務室まで運びますのに」

「キミが、オレを? いや無理っしょ。……おほほほほっ! すみません、平民の出なんで、口が悪くて……」


 普通に無礼を働くわ『オレ』って言うわで笑って誤魔化すが、本気も本気だった女の子はむっつり不機嫌になっている。

 ほぼ縮んでないオレを抱えようだなんて、キミ、正義感強いのな。

 すっげえいい子で、負けず嫌いなとこがかわいいよ。

 けどオレの盛り上がりに反して魔力の正気は下がってくんだなコレが。魔力核を覆っていた銀色の複製魔力がでろんでろんになっていくのを感じて大いに焦る。

 シェレアティアさんの眉毛もピクって反応してるもんよ、事態はあんまりよくねーの。


「ごめんなさいね、わたくしの魔力、ちょっと暴れん坊でして」

「お怪我をなさっているから制御が難しくなっているのでしょうか」

「そのようですわね!」


 もう限界かもしれない。

 女を維持したまま気を失うなんて間違いなく無理だ。

 シェレアティアさんの前で男に戻るとか生き恥確定だけど、変に動きを止めていた反動で魔力に乱れが生じて異常消費が始まりやがった。

 腹減り行き倒れ寸前の体調だ。ぶっ倒れそう。


「……失礼ですが、あなた」

「キミには関係ない」

「そう、ですわよね……」


 咄嗟に返した言葉はひどく刺々しくなっていた。

 体が戻る無様な姿までこの子に見られたら、学年末まで寮に引きこもって夏休みの間は逃避行しよう。

 ああこの子好きだなってハッピーテンションから落下した気分で雷出しそう。

 雷落としたら、バレる、さすがにバレる。

 シェレアティアさんは雷落としの噂、もう知ってるのかな……?

 しっちゃかめっちゃかな相関図と思考回路。努めて冷静にあろうとすんだけどマージで足痛いし、血の気じゃなくて魔力が低下してきて医務室まで意識保つのがギリだぞギリ。

 肩を上下させて肺に空気を送っているオレは、遠くで鳴る音に片目を開いた。


「予鈴だ」

「……えぇ」


 教室移動が多いから学園は結構休み時間は長めに取られていて、昼休みは飯を食うのもあって一番ゆとりがある。

 もう授業開始五分前なのか。

 オレは次空き時間だけど、横の子は真っ青になっている。

 ダメじゃん、キミもオレもダメダメじゃん。


「授業あるんだね」

「いえ、ないです」

「どこ。教室どこだ」

「西棟の四階……」


 男のオレが全力ダッシュしてギリ開始五分以内に間に合う距離だ。

 良家の子は走らねえし、この子はお姫様。廊下を駆け回るなんて言語道断だからどうしたって間に合わない。


「先生は?」

「サルセス先生です……」

「王国史系かよ! キミが一番サボっちゃダメなヤツ!! 単位には関係ないんだろうけど、うち、期末試験のあとの週は重要だよ。知ってる?」

「担当教諭が試験の解説と総括をしてくださるのですよね。半年で最も身になる講義だと聞き及んでおります」

「行きなよ」

「いいえ」


 怪我した女、それも身なりがこの子基準でよろしくない状態だから放置しておけないんだろう。

 心意気は立派だよ、けどな、腹立ってきた。


「授業開始五分以内だったら入室許可がある。とりあえず、走って」

「いいのです、あなたを医務室に連れていきます」

「よくない」

「いいんです!」

「よくねえよ! オレに足を引っ張らせんな!!」


 がんばってるキミの足手まといになってる自分の、まんまと乗せられて女になってるバカさ加減に心底辟易してイラ立っている。

 女になった理由を説明しろって言われたら本気で逃亡するけど、こんなのただの八つ当たりだ。


「ごめん、違う……。キミ──いいえ、あなたは、学園に来るまで努力を重ねてきたのでしょう? 先生や周囲の評価が落ちたら学園に居辛くなってしまうかもしれなくてよ」

「それこそ、あなたには関係ありませんわ」

「関係なくても、先輩として言わせてもらいます。判断は、適切に行わないと。あなたは準王族なのですから」


 この体調でまともに階段を降りれるかだいぶ怪しい。

 手すりを持たせようと左右の位置を入れ替えようとしたシェレアティアさんは位置移動を失敗した。オレの重さにぐらついちゃったんだな。

 巨女は半ば突き飛ばされる形で壁に背中をぶつけて呻いてしまう。


「申しわけございません……っ!」

「大丈夫でしてよ……って、これ! ねえ! これ!」

「絵画が、どうかなさいまして?」

「もう大丈夫だオレ! こっから医務室行ける!!」


 サンキューな、怪我しまくった過去のオレ。

 一年から流血沙汰の外傷負いまくってた実績が、学園中に医務室直行の転移陣を配置させてたんだった。

 ありがてぇねえ、問題児専用移動魔術。

 あーあー、そんな泣きそうな顔しなくていいから。

 壁に手を突いてオレはかっこつけた男前の舞台俳優みてぇな面をした。


「キミの家にもクリスティアーナ様ん家と繋がってる転移陣があるだろ。オレはこっから入室できる。手当してもらうから心配いらない」

「……まさか」

「ダメ元で教室行ってみろ。人に親切にするまえにてめぇのやることキッチリやりな。ほら! 走れ!!」


 肩を押すと銀色の髪が揺れて階段を駆け下りていく。

 渡り廊下は一階と三階にしかないけど、あれ、校内図頭に入ってないっぽい?

 違うよ上に上がって西棟に行くんだよ──って呼び止める間もなく行っちまう。

 ぜってえ遅刻すんだろうけど、入れてもらえるといいな。


 ──ま、オレは人の心配してる場合じゃねーかもだ。


「テオ・ソトドラム、医務室入ります……!!」


 立ってらんなくて金色の魔術紋に倒れ込む。

 廊下とは違う床に転がったオレは、まだ女の胸を押さえて今自分になにが必要かを高速でシミュレートする。

 男のプライドとか今は関係ない、構えられた注射器にぶんぶん首を振った。


「まりぐれいす、せんせい……っ、停止剤じゃなくて増補剤!! それだと男のオレが消える……!!」

「捕縛、ロック! 大丈夫よソトドラムさん、はい、食べて!」

「ういっす!!」


 のたうち回りそうなオレに治療拒否の生徒も従える固定魔術が絡みつき、白衣を翻した先生から雷を落としたあとにガリボリ噛みまくった飴玉が投与さる。

 まずい、泣くほどまずい、けど声出てマジでよかった。

 苦みとエグ味に泣かされながらバリバリ噛んだ。女の姿で緊急停止剤、即ち魔力凝固剤なんて打たれたらどうなってたことかと冷や汗垂れるや。

 イミテーションの魔力に居場所を奪われた本来のオレの魔力は臍曲げちゃったみたいで家出しやがり、銀色のカバーを取っ払って漏れ出たぶんを補填するとようやっと落ち着いてきた。

 するするするーっと今度は頭のほうから元の姿に戻っていき、身体拘束帯もほどかれる。

 しゃがんだ先生が治療魔術で熱を持っていた足首を直してくれる。

 魔法でひゅんひゅん包帯とか飛んでるし、靴下まで脱がしてもらって手厚く手当てされんの笑っちゃダメだけど笑いそうだよ。

 これでも高等部の生徒なんだよなあ。


「ほぁー……、やっべー……死ぬかと思った~!」

「また明日も来なさいね。今回の痛みはちょっと長引くかもしれないから」

「はーいっす」


 床で大の字になったオレに、おばあちゃん先生もホッと一安心で白衣を直している。


「起き上がりなさいな、そこは床よ」

「はーい。うひゃー、ズボンの裾やっべ。オレのサイズの着替えまだありますか? 借りてもいいですかね」

「ソトドラムさんセットは欠かさないわ。上も下も着替えちゃいなさい」

「どうもです!」


 スラックス黒だから目立つことはねえんだけど、普通に血がついてんのは嫌な気分だぜ。

 先生がテキパキ取り出してくれた服を受け取って、二台のベッドスペースの奥側の仕切りカーテンを引いてちゃっちゃと着替える。

 今日は二時間目と三時間目にしか授業がなかったし試験の振り返りだったから、一度鞄を寮に置きに帰ってた。

 ネクタイは制御具入りの自前のを締めて、薄ら汚れちまった夏服用のベストのポケットから寮の鍵と懐中時計を忘れずに移し替えた。


「シェレアティアさん、そろそろ着けてるといいんだけど」


 無駄に広い学園内だ。

 編入して二週間も経ってない子が彷徨っている姿を想像すると胸が痛いし、オレのせいで生徒に大人気の総括授業を欠席させちまう事実が重い。

 授業ぜんぶ受けないと単位が取れないんだったらマジで首吊りモンに責任重大だ。

 オレが女にさえならなかったら、あの子が上に走っていってくれてたら──。


「シェレアティア・ルーゼンヴェルキスナールル・カサブランカと申します。入室してもよろしいでしょうか」

「はーい」

「……はあ!?」


 おいおいおいおいちょっと待てや。

 なんでキミこっち来てんの? ここは中央棟一階ですよ、授業はどうした授業は! サルセス先生の王国史系の授業、準王女殿下のキミがボイコットしちゃなんねーでしょうが!

 ベルト締め直して聞き耳を立てているオレは今日何度目の不審者だが、しれっと姿現すわけにもいかねーしで動向を探る。


「今し方背の高い女性がいらっしゃらなかったでしょうか」

「その子のお名前は? 医務室は入れ替わり立ち替わりいろんな子が来るから」

「……名前は存じ上げませんがわたくしより上級生です。おそらく、六年生かと」


 ねえ、バレてないか? これってバレてない?

 シェレアティアさんの視線が仕切り越しに注がれてるようで蛇に睨まれた蛙になるオレだが、百戦錬磨のマリグレイス先生は朗らかに対応している。


「じゃあ、これから来る五年生以上の子達にはあなたが心配してたと言っておくわね。ねえ、それより、このあとも講義があるんじゃなかった? 一コマも開けずに聴講してると聞いてるわ」

「……もう間に合いませんし、いいのです」

「そう? クッキー食べる? 中に入って」

「いいえ、遠慮いたします」


 誘いを断って、閉まる扉、壁越しに感じるシェレアティアさんの気配。

 感知魔術を展開して移動しないおバカ王女にイライラしながら、汚れ物の籠に汗を吸ってる制服をぶち込んだ。


「なんで行かねえんでしょうあの子」

「あなたの無事を確かめたいのよ。いじらしい女心じゃない」

「それよか授業が大事っすよ。世間体だってあんだからとっとと行けばいいのに」

「ソトドラムさんの到着を確認するまでは梃子でも動かないでしょうね」


 って言われてもね。

 先生の机の前にある椅子に座らせてもらうがムカムカが治まらない。

 体調万全なら西棟の教室まで安全に飛ばして席に着かせてやれるのに、擬態してた魔力核がご機嫌斜めでそれもできずに悪態をつく。

 オレのこと避けたりつきまとったり、なにしてぇんだあの子。


「自分の身に置き換えてみなさいな」

「……でも」

「女の子になっちゃったのがそんなに恥ずかしい? 正直に話したら内緒にしてくれるわよきっと」

「言いたくねえですよ!!」

「ソトドラムさんはプライドと好きな女の子の将来、どちらを取るつもりなのかしら? 私は彼女を心配してるわ。この躓きが長引かないといいけれど」

「あ~……!」


 まだまだぜんぜんわからねえシェレアティアさんのこと。

 足止めしてんのはオレだし、完璧主義っぽい人って総崩れ起こしやすいって言うし、やる気がくったりして登校拒否とかされたらたまったモンじゃねえぞ。


「先生方だって事情があれば許してくださるわ。たとえば、魔力暴走を起こした先輩の手当をしたことで、やむを得ず授業に遅れてしまったりだとか──」

「その野郎が一人で歩けなくて、転移陣のこともすっぽ抜けてたとかですよね」

「あなたが理由ならサルセス先生も許してくれるでしょうね」


 あの厳しいおじいちゃん先生、悪い人じゃねーのよ、悪くねーけどオレには当たりが強い。

 苦手なんだ、ものすっごく苦手なんだけど、それはやる気のある生徒に対して誠実だからなんだよな。やる気のないヤツは邪魔っていう非常に明快なスタンスだからいい先生ではあるんだ。


「スペアの制御具借りていいですか?」

「ここにはなんでもあるから貸してあげるわ」


 鍵つきの引き出しに行って、白と緑と赤の石がついた足輪みてえな制御具を三つセットで渡してくれる。

 左足は避けて右側の靴下の上から嵌めてその場でジャンプ。

 ダッシュもできそうだな。


「ちょっくらいってきます」

「はい、いってらっしゃい」


 ネクタイを直して扉を開けた。

 壁を背に廊下でぽつんと立ってるシェレアティアさんは、悪いことして立たされてる初等部の子みてぇだった。


「なにやってんの?」

「テオさん……。お怪我をした女子生徒がいて、転移陣で医務室まで着いたかが気になってお待ちしていますの」

「ふうん」


 愛想はどうした愛想は、いやね気まずいのよ恥ずかしいのよバレたかねーのよ。

 これどっちなんだろ? オレとその女子生徒、イコール? 別人?

 できればあやふやにしたままでいたいんだが、同一人物にしねえとこの子動いてくれそうにねえよな。


「先輩として言っとくけど、うちの学校、やる気のない生徒には冷たいよ」

「あなたにも?」

「うん。オレはかなり嫌われてる」


 教師の受けが悪いんだ。

 授業中も内容理解できないからあたふたしたりボーッとしたりで集中力欠いてんのに、テストは必ず満点取りやがる学年最優秀。少なくない先生に反感持たれてる。

 先生も貴族出身が多いしな、魔力暴走持ちに入学許可した上に授業料オール免除ってのも問題になったとかなんとか。入試すら受けてない辞めたがってた自主性最悪の生徒とか見守る気失くすよなー。

 まあオレはね、あと一年で卒業だし。

 だけどシェレアティアさんはこのあと三年通うし、目ぇつけられてほしくないし落胆だってされてほしくない。

 なのにさ、肝心の青紫の瞳が諦めている。


「どうしたの……?」

「わたくし、身の丈をわきまえずに魔術大学校に来てしまいました。ご存知? 魔力を保有している者は必ず魔術学校に入学するものなのですよ」

「……キミ、魔力、ないの?」

「さあ、どうでしょう──」


 どうでしょうって、いや知らねえし。

 だからさあ! オレにはそういう駆け引き染みた頭使う会話は合わねえのよ!


「キミに魔力があろうがなかろうが、編入できてる時点でうちの生徒だ。てことはオレの後輩だ。最初から気負いすぎて疲れちゃって、ちょーっと蹴躓いたくらいでぜんぶ投げ出そうとすんなよ。それとも、ぜんぜん、もうやる気なくなっちゃった? ここにいんの辛い? ついてけない……?」

「……内容は理解できています。けれど、劣等感が拭えないのです。不安も。またいつ、魔力暴走が起きるか──」


 やっぱさ、キミ、治ってないんだね?

 学園入学年齢って一一歳だ。魔力消耗症の自然治癒が見込めるのは七歳と言われている。

 キミが『進行性』魔力欠乏症だって本に書いていたのは、キミの状態も最悪に向かってるからなのか?

 オレはキミのおかげでなんとかなった、キミだって、どうにかなるはずだ。


「キミの事情は一旦置いとく。今大事なのは、キミが泣かないように間に合わせることだ」


 そんな、唇噛んで泣くの我慢するみたいなことしなくていい。

 べつに泣いたって構わないけど、淑女ってのはそういうわけにもいかねーんだろうな。

 感情抑えんのがタシナミってか?

 ハイハイやだやだ、そんなの取っ払ってやる。


「先生! 新しいシーツ貸して!!」

「なにに使うの?」

「あの子運ぶ」


 医務室内で様子を窺いながら待機しててくれた先生は、ものすんげえ音を立てて扉を開けたオレの行動を予期してたのか、折り畳まれたまっさらな白のシーツを即座に貸してくれた。

 レディーってのは自由がねーよな。準王族ってのはもっとないんだろうな。

 知るかよ、オレの後輩だ。

 困惑してる女の子に頭から布被せてそのまま縦に持ち上げる。運びやすい姿勢は、うん、接触部分少なくしたほうがいいな。右腕に座らせる感じにしよう。

 オレ、デカくてゴツくてよかった、魔力を扱えるようになってよかった。ぜってー落とさない。


「持ち上げるの、今日だけ布越しならオッケーにしてください」

「テオさんっ、なにをなさるの!?」

「連れてく、教室まで」

「いいのです」

「よくねーから。先輩の顔立ててよ」


 ごめんっす、ごめんなさい、不敬罪かもしれねーけど許して!

 つかキミホント軽いな。ちゃんと食ってる? 人のこと言える? もっと太ったほうがいいんじゃないのかな。


「なぜわたくしにそこまで気を遣ってくださるの? お姉様の従妹だからですか──?」

「フツーに……友達だからですよ」


 ああクソッタレ誤解なんですいい加減わかって!

 オレが好きなのは、キミです、キーミ!

『好きだから』って言えねーの情けねえなあ腰抜けが! 本音を言ったら困らせるんだろうし本気にされないから友達とかって曖昧にしちゃってよぉ。

 正直な気持ちは単純なモンなんすよ。

 キミには笑っててほしいんだ。


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