天狗と誘拐と女性と 13
大越視点
「え? ……ああ……そうね。仕事の話を……」
大越は言葉の最中の白河が視線をこちらから外すところを見ていた、
いや、大越を含む7人は見ていたが正しいか。
視線を外した瞬間7人の空気が変わっていた。
「その仕事の話、もっと深く聞かせてください」
「あ! ……そ、そうよね、話さないと……」
龍富はその話に対して深く切り込みを入れる言葉を入れた。
白河はどこか隠し事でも醸す言葉で対応する。
この様子はもしやと大越も睨み始める。
「仕事の話なんだけど、そう、もしも追加で依頼したらってこと、気になったから」
「だったら、俺でもよかったんですよ。俺の方が詳しいです、仕事に関しては」
たどたどしい言葉で白河は仕事の話を始めて、龍富は更に追求の言葉を出す。
話す白河は正座へと姿勢を変えていた。
「そうよね、柄池君もそう言ってたわ。柄池君がリーダーだったから、そっちに聞いた方がいいと思ってね」
「まあ、そうですね。一応、柄池は仕事のこと聞かれても、答えられます」
その追求に関しては先ほどの言葉より上調子で白河は答えると、龍富も納得の言葉を出す。
大越も白河の言葉は納得出来た。
「ですけど、白河さんは何度か退魔師に頼んでましたよね?仕事の話は退魔師である俺に頼んでもいいのでは?」
「そ、そうね。でも、柄池君の方頼みやすかったから」
形勢が変わり始めて龍富は更に追求の言葉を出すも、白河は柄池の方が頼みやすいと理由を語る。
その白河の言葉には大越も理解出来、更なる調子上がりの様子が見える。
「そう言えば、私思い出したことがあったわ。関係ないかもしれないけど……」
と、ここで八雲からの言葉が切り出された。
龍富だけでなく、八雲以外のその場の全員が八雲に視線を注ぐ。
「下の方で何か物音がしたってこと」
八雲は物音を聞いたと証言した。
八雲の泊まる部屋は白河よりも上の位置、下の部屋からしたという事であれば怪しくなってくる。
「え……と、待って。物音がしたって柄池君と話していた時間と重なるとは?」
「では、柄池と話していた時間は?」
再び、たどたどしい言葉で白河は語ると、時間について龍富は追求の言葉を送る。
白河はスマホを確認して解答する。
「一時間前ね」
「あら、奇遇。私も聞いたの一時間前」
白河は一時間前と語ると、八雲も同じく一時間前と答えた。
本で顔の下半分を隠していて八雲は表情が見えなかった。
対して白河の雲行きが怪しい。
「えっと、間違いってこともあるわよね?」
無理な笑顔で白河は答える。
言葉の前に動揺していたところは見えていた。
「あと、もう一つ思い出したわ。下からの物音で」
八雲はついでとばかりに攻めの言葉を出した。
見るまでもなく白河は顔が不安に染まっていた。
「私、窓から顔を出して見たけど、音だけは聞こえたの、男性が何やら抵抗していそうな声が」
八雲の証言に白河は不味いとの語句が顔から溢れていた
ここまで八雲の証言を聞いて、大越は違和感を感じ始めた。
おそらく皆と考えていることは違う事を。
「上からで見えなかったし、声もどこの男性がやっていたかも分からないけど、男性が抵抗している音は聞こえたわね」
八雲の証言に白河は動揺の眼を向けていた。
その白河の行動に龍富はより険しい目を向ける裏で、愛川は皆の裏に回っていく。
(なんかすごいことになっているけど、なんか違う気がしなくもない感じ……)
大越は違和感を心の中で言葉として形に出していた。
大越は物音までは聞こえたのは分かったが、それ以降の男性の抵抗の音や声については覚えがなかった。
覚えは無いがもしかすると、大越が聞き逃している可能性もあって、大越は追求する気は無いのである。
「では、いいですか? この部屋を先に調査しても」
龍富は調査の提案を言葉にした。
表情は犯人を見ていると大して変わらなかい。
「あっ……その、構わないけど、私からも聞いても?」
「……そうですね。いいですよ」
白河はいいとは言うも、質問の要望も出す。
龍富は少し考えて了承の言葉を出し、その言葉に隠れて、愛川は白河の後ろに近づいていた。
「雰囲気から察して、柄池君が大ごとに巻き込まれ、今はいないのよね?」
「はい」
少したどたどしさを残した白河の質問に龍富は肯定をする。
「で、私が怪しいと」
「はい、そうです」
白河は再度聞いて、龍富は答える。
白河は次第に小さくなっていくように見えていった。
「私、柄池君が行って以降は本当に知らないんですけど……」
「分かりました。では先に部屋を調査してからで」
白河は知らないとの心意を言葉に出すも龍富は少しだけは汲み取りながらも自らのやる事を言葉にして進めた。
「あ、はい……」
それに対しては白河も理解を言葉で示した。
変に抵抗を見せれば逆に怪しまれる以上、大越が白河の立場にいても同じくしただろう。
龍富も含む6人が動き始めると、その中で一人だけ動かなかった人がいた。
「みんなちょっといい?」
「え、どうかしたの?」
白河の近くで動かなかった人、愛川は待機の言葉を話す。
それに対して大越は疑問を出す。
その愛川はいつのまにか白河の服に触れていた。
「白河さんは柄池君をさらって監禁してないよ、間違いなく」
愛川は周りに向けて言葉を伝えた。




