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サークルの出会い 7

「何言ってんだよ! 万が一のことがあったらケガするかもしれないってのにそんなのダメに決まっているだろ!」


 龍富の答えは決まっていた。

 仮の仲間とは言え怪我をさせるわけにはいかない。

 龍富の目の届くところにいれば怪我の危険性はないに等しいというのに勝手に離れるなんて許せるわけがない。

 ここで、柄池も提案についての意見が出てきた。


「俺はいいと思うよ」


「な、なんでガットまで同意するんだよ!」


 柄池の予想外の意見に龍富は驚きの声を漏らす。

「ここは土の精以外の化者は出たことはないんだ。

 俺とリュートはここに何度も来て土の精のみしか出くわしたことはないんでね」

 柄池は続けて意見の補足に入った。

 龍富としてもそれが間違っていると思わないが、それでも不安ではある。

 柄池はそんな龍富に視線を合わせて口を開いた。


「だから、大丈夫だよ、リュート」


「……ああ、分かった」


 柄池の言葉に引き下がる形の納得をして龍富は了解をした。

 否定したい要素がこれ以上思い浮かばなかったことから、龍富はこうする他なかった。


「それと必要以上の行動はとる必要ないからね。飽くまで土の精を倒すだけだから、怪しい場所に不必要に探る必要はないから」


「あいよ、了解。4人4人で別れて行動でいいか?」


 柄池は補足の提案をつけると、古賀松は了解すると共に再度の提案をする。

 柄池は頷くと共に口を開く。


「それならいいかな。少しでも怪しいことは連絡してね」


「じゃあ、朱鷺子とサブローと聖華ちゃんもいいかい?」


 古賀松は名を挙げた3人に視線を投げて確認を取る。


「このまま待つよりは全然いいよ」


「構わないわ」


 大空と八雲は間を持たせずに了承をした。

 御堂は少し迷った後に答えを出した。


「俺も行くほうがいいかな」


「よし、決まり」


 御堂もまた行くことを決めて古賀松は声を上げる。

 そして4人は移動を始めた。

 龍富は古賀松の一連の行動を黙ってみる他なかった。

 愛川を歩かせることも酷で龍富が残らないといけない。

 柄池も龍富以外の7人に比べれば、化者の戦闘経験が一番豊富であるがそれでも龍富と戦闘力を比べれば、格段に龍富の方が高いことから柄池が残って女性2人の退避は任せたい。

 そのことからこの行動は一理あるものの、古賀松のこの行動にはいい顔ができなかった。


(なんであいつが主導権を握る真似を……)


 龍富は気分が優れないまま、言葉を留めた。


「リュート、大丈夫だよ。深入りしなければ大事にならないから」


「……ああ」


 柄池が龍富の顔から察したようでフォローをするも、空振りのフォローに龍富は複雑な気分になったまま言葉を返す。

 その後少しの間があってから愛川は座りながら、視線を下げた。


「やっぱり……私に体力がないから……ごめん」


「大丈夫だよ、立ち止まっていても出来ることはあるし、あちらの方から出向いてくれることもあるから」


 愛川の謝罪に柄池はフォローを入れると、愛川の重い表情も軽くなった。


「なんと言うか……私からもごめん」


「ああ俺にとっても些細な問題だよ。ガットなんてとんでもないミスやったこともあるし」


「そそ、一年前の俺のミスに比べれば、笑い飛ばせる軽いもんだよ、ははは」


 大越からも謝罪があり龍富、柄池の順に弾んだ会話も出て来た。

 確かに柄池はまれに足を引っ張るようなミスもあるが、それ以上にこちらのサポートにうまく回ってくれることもあって、頼りにしているところは相当多いのだ。


「良ければだけど……話してくれるといいかなって」


「ああ、いいよ」


 大越は手を上げながら話をし柄池もその話に乗りかかる。

 小休止としてはいい会話のタネになるだろう。

 龍富は会話の傍警戒のために周りを見渡し始めた。


「あの時は説得に臨もうと相手に話を持ちかけていてね。そしたら、なるべく相手を刺激しないように心掛けていたけど、相手の逆鱗に触れて氷漬けになってね」


「え? それでよく無事だったよね」


 柄池の会話に大越は興味を惹かれた声を上げる。

 愛川も視線が柄池の方へと向かっている。


「しかも俺一人での独断行動で説得だったからしばらくそのままだったよ。あと、化者絡みでの被害は特別な医療処置を受けることが出来るから、氷漬けになっても無事なんだ、後遺症もなくね」


 柄池が一年前の話をさらに進めた。

 あの時の柄池の単独行動は文句はあったものの、化者は冤罪を自ら被った可能性もあった事から龍富は単独行動は理解もできた。

 柄池の行動が無ければ冤罪のままだったろうからだ。


「で、それでその事件って」


 その後

 愛川の話の最中に龍富は感じ取った。


「伏せろ!」


 龍富は愛川へ声を出す。


「へ?」


 愛川は座りながら疑問を浮かべた。

 早く伏せてくれればいいと言うのに、もう既に土の精が愛川に近づこうとしているのだから。

 龍富は愛川の元へと駆けた。

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