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サークルの出会い 6

ここから龍富視点となります

 それから、龍富、柄池以外の6人は武器を選んで訓練を行った。

 龍富、柄池は二つの武器を元から扱えるため、教鞭側に回りそれぞれに教える形だ。

 龍富は警棒を担当する形で柄池は拳銃を担当することになった。

 結果として拳銃を扱うようになった人は愛川、大越、八雲、御堂の4人。

 警棒を扱うようになった人は古賀松、大空、もとから使える柄池の3人と言う風になる。

 大空は拳銃も使用できるまでになったが、警棒の方が扱いやすいと言う理由で警棒を選ぶことになる。


「えっと……この状態で、視界の中央を狙うのね」


「そう、構えはそれで良いから、撃ってみて」


 愛川は柄池のアドバイスのもとで自分の言葉をなぞるように、拳銃の後ろを顔に近づけて狙いを定めていた。

 柄池もその行動を後ろで見守りながら構えの正しさを伝える。

 愛川が引き金を引くと遠くの空き缶へと銃弾が当たった。


「やった! やっと当たった!」


「うん、100点! うまくいったよ」


 当てた愛川の喜びを柄池は賞賛した。

 今まで愛川は拳銃の扱いに苦戦していたが、柄池のアドバイスがあってか、ここまでの成果を得ることが出来た。


(俺にもうまく勉強を教えてくれるだけはあるよな)


 龍富は言葉には出さずに心で留めておく。

 今まで龍富は柄池に勉強を教わっていたこともあって教育の旨さは知っていた。

 そのため拳銃のように扱いが難しい道具もこうして扱えるようにまで行けたのだ。


「じゃあ、これでみんなそれなりに戦えるようにはなったわけだ。午後からは実際に任務へと移るぞ」


 龍富は訓練をしている皆に向けて次の行動を指示した。


「……と言ってもみんなに危害はないようにこっちも事を運ぶから、気負いはしなくてもいいからな」


 龍富は続けてこれからの安全性についても説明をした。

 今回の訓練は万が一の危険に対しての抵抗のために教えたものである。


(今回で愛川さんと大越さんは残ってくれるといいけど、古賀松と大空さんと八雲さんは仲間と呼べるのも今日までだろうな)


 龍富は言葉を内心に留めておいて他のみんなの訓練状況を確認していき、午前の時間は過ぎていった。



 そして、午後へと時間は進む。

 退魔師同盟の一員は龍富を先頭に進んでいた。

 道は木々が端に生えており、コンクリートで塗装されてもなく整備された道とは言えなかった。

 柄池は後ろの方へと振り返り、口を開く。


「みんな大丈夫かい?」


「ははっ何のこれくらい」


「俺も問題なし」


 柄池の質問に大空、古賀松は返答する。


「大丈夫よ」


「なんとか」


 次に八雲、御堂も問題なしと答える。


(八雲さんも御堂も大丈夫とは意外だ)


 龍富はここまでついてきた感想を心の中で述べた。

 柄池は今まで退魔師の任務について来ただけあって、ここまでの道はなんてこともないことは分かっていたが、インドア派のように見える八雲と御堂がここまで苦もなくついて来れた件は意外であった。


「ごめーん、今からそっち行くから」


 そして大越もまた大丈夫と返答したが、6人とは離れた距離からついて来ていた。


「み……みんな、すごいな」


 愛川は息を吐きながら、言葉にして大越と共に歩いていた。


「女性にはきつい道だったかもな」


 龍富は愛川へとフォローを入れた。

 実際に歩きにくい道と傾斜のある道を歩いて来たため、普通の女性に堪えるであろうことだ。


「リュート、ここは一休みを入れても良いんじゃ?」


 ここで柄池から提案が入った。


「流石にこのまま歩かせるのはどうかと思うぜ」


「敵も脅威じゃないって龍富からも聞いたけど」


 古賀松、大空の順にも休憩の意見を入れる。

 龍富としても愛川の状況で歩かせることはまずいとも思っていた。


「分かった。ひとまず休もう。念のため、警戒もしてな」


 龍富の一声で一員は休憩に入った。


「ごめん、私がこんなので……こんなに体力がなかったなんて……」


「いいよいいよ、気にするほどでもないよ」


 愛川はうなだれた言葉を吐いて皆に謝罪すると、柄池は笑ってフォローを入れた。

 愛川は申し訳ないとの表情もあったが、柄池の言葉で少しは気が晴れたようであった。

 他の皆は気のそばに寄りかかったり、その場でしゃがみこむことで休息を取っていた。


「確認だけど、今回の任務ってのは敵を倒すだけでいいんだよな。なんか精霊みたいなもんだって……」


「そうだ、土の精だ。ここでは土の精が多く発生しててな、それを減らすのが今回の任務だ」


 古賀松の確認に龍富は補足も加えて、間違いないことを伝える。

 土の精とは人気のない自然に囲まれた場所で発生し、怨霊や地縛霊が自然をまとった霊の集合体である。


「で、今回の敵ってそんなに素早くはないって聞いたけど、それは俺達よりも遅いってことでいいんだよな」


「ああ、少なくとも今のみんなでも走れば逃げられるくらいにな。だからこそみんなにこっちの任務を体験してもらうくらいにはちょうどいいと思った」


 古賀松の疑問に龍富は答えた。

 今回の任務は退魔師のなり立てや見習いでこなすための任務としてこなされているため、初見の人に退魔師の任務を眼で分かってもらうには好都合でもある。


「でも、そんなに遅いんだったら人間にとっては脅威じゃないんじゃないのかい?」


 大空は龍富の話で出来た疑問をふいに投げる。

 龍富はその疑問に回答をしようと口を開くと別の人物から回答が上がった。


「一体だけならね、脅威ではないわ」


 回答の声は八雲であった。

 休んでいた皆の視線が地に座って本を読んでいた八雲に集まる。


「問題は数もあるし倒しても何年後かにまた出てくるということがあるのよ。根の部分を解決しようにも厄介なことが多くて、なかなか手を付けにくいのよね。……違うかしら?」


「あ、うん、そうなんだ」


 八雲は龍富が答えようとしていた部分を言葉にして回答してくれた。

 そのことで、龍富はあっけにとられた返答をする。


「もしかして……化者とか詳しかったり?」


「ええ、いつのまにか普通の人より自慢できそうなくらいには知識を蓄えてしまったわね。妖怪絡みも知識はあるわ」


 大越の質問に八雲は本を読みつつ答えた。

 八雲の知識は少なく見積もって龍富並みの化者の知識、可能性としてそれ以上の知識量はありそうではあった。


「それだったらさ、ここは分かれて行動してもいいんじゃないか? 誰かが土の精と出くわしても逃げればいいだろ?」


「それだったら早く任務とやらも終わるだろうし、それじゃダメかい?」


 古賀松の提案に大空も賛成の意も含めた質問が龍富に投げられる。

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