表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/127

サークルの出会い 5

今回のみ大空視点です

 任務についての話からしばらくして、サークルとして初めての活動が始まった。

 サークルの8人はそれぞれ着いた時間は違うものの、予定通りに遅刻もなく来ることになる。

 その後、初めての任務へ


「まず、この武器は……」


 ……はまだ行かず最初は事前の講習を龍富から受けていた。

 講習の内容は龍富が物を持ちながら解説をして、その武器の使い方をレクチャーするという物だ。

 ここは退魔師が演習や訓練に使う場所なのだ。

「警棒みたいだけど、化者に有効な武器でな。スイッチを押しながら相手を叩くといい」


「へぇ……ちょっと振り回してもいいかい?」


「ああ」


 龍富の解説に大空は間を見て頼みを入れた。

 龍富はそれを受け入れ、大空はテーブルに置かれた警棒へと手を伸ばす。

 大空は人から離れた場所で手に取った警棒を振り回した。


(思った以上に軽いもんだ)


 振り回していた大空の第一印象は予想以上の軽さであった。

 大空が労するそぶりを見せることなく何度も振り回せるくらいにだ。

 おそらく、この場の女性が卒なく扱えそうな武器である。

 見た目が重そうだと思っていた大空にはいい形で予想を裏切られる。


「これはいいもんだね。女性でも扱えそうだ」


「護身用も目的として作られたからな。女性にも使えるように軽くしているんだ」


 大空は武器で軽く手を叩きながら龍富に言葉を向け、龍富はその補足を言葉にする。


「そして、もう一つの武器がこれ」


 テーブルに置かれた別種の武器、拳銃の形をした物を龍富は手にとって話した。


「これも化者に有効な武器で見ての通り遠距離用だな」


 龍富は手にとった拳銃を上下に二度振り存在を強調させる。


「それで攻撃方法もど直球で」


 拳銃の狙いを離れた場所にある空き缶へと定めた龍富は解説も付け加える。

 さらに龍富は引き金を引くと、銃声と共に銃弾が空き缶へと命中する。

 命中と共に龍富と八雲以外の驚きと賞賛の声が響いた。

 空き缶と龍富の距離は20mはあると大空は見た。


「王駕くんやっるー」


 古賀松は茶化しと褒めを織り交ぜた言葉を龍富へと送るも、龍富の視線は古賀松を相手にしていないようだ。

 それよりも大空には気になったことがあった。


「割と撃った時の反動はなさそうだな」


 龍富が撃った時に銃の反動で手が後ろへと引っ張られたのだが、その動作が大きくない上に勢いがなかったのだ。

 銃に慣れているのであれば、その動作をうまく抑えることが可能だろうが、龍富は抑えるような動作をすることもなかった。

 そのことから銃撃の反動自体が少ないものと大空は判断した。


「ちょっと缶を見ても良いか」


「ん?ああ、触っても構わないからな」


 何か気になったことがあったのか、古賀松は空き缶の方へと向かう断りを入れて龍富は許可をした。

 空き缶へと向かった古賀松は空き缶を持って観察すると、何かに気づくそぶりを見せる。

 同時に八雲はこちら側へと歩みを進め始めていた。


「これ……へこんでもいねぇぞ」


 古賀松は驚きの声をあげていた。

 その声に大越と御堂は半信半疑の声を漏らすことになる。


「この拳銃はな化者用でな銃弾自体も化者用なんだ」


 それに対して龍富が解説を入れて


「ミギャァアアア!!」


 その瞬間に御堂の悲鳴と銃声が大きく響く。


「お!おい!」


「大丈夫か?!」


 この一瞬の動乱に龍富、柄池の順に御堂への心配を発し古賀松、大空も含んだ6人が御堂のそばへと寄った。


「いってぇ……」


 御堂は痛みを声で訴え肩を抑えていた。

 大空は御堂の近くによると御堂は痛みはあるも、出血を伴う怪我はないことが分かった。

 その後大空は気になったところがあり、すぐさま視線を変えることになる。


「……」


 大空の視線には銃を持ったままの八雲がその場に残っていた。


「おい……そのままだんまりか?」


 大空は声色を険しくして八雲に投げかける。

 この光景から八雲が御堂を撃ったことは確定していた。

 対して顔色を変えないまま八雲は視線をそらして言葉でも応じた。


「……誤射です」


(誤射、ねぇ……)


 八雲の言葉に大空は内心で疑問を感じていた。

 本当に誤射かもしれないが、実は嘘であった、なんてことも考えられる。

 だが、大空は実際に撃った瞬間を眼に入れてはいないため、確実に狙ったと大空が証言できない怪しい部分に突っ込める人がいるのであれば。

 すでに言葉にしている人がいるであろう。


(歯痒いもんだ……)


 大空は頭に手を当てて口の中に苦みが広がる感覚を覚えた。

 現状は他の皆は御堂の心配をしていて、今は八雲の方へと視線が集まってはいないという状況だ。


「といっても、実際そんなに痛くはないだろ? この銃弾も化者用でね。人間にあたっても当たったことで痛みを感じることはほどんどないんだ。感じてもすぐに引くから慣れると痛みを感じることはなくなるよ」


「あの銃弾は実体がない特殊な弾丸なんだ。ちなみにガットも事故で自分に撃ったことあったから痛みについては実体験済みだ」


 柄池の話と龍富の捕捉がここで入った。

 話によれば被害らしい被害は無いと言えるような内容である。

 御堂の周辺にいた愛川、大越と古賀松、大空は険しい雰囲気を解くこととなる。


「……そういえば痛みはないような気が」


 御堂も当たった部分を押さえていたが、そこを押さえることを止めていた。

 痛みはもう無いようだ。


「という分けで、誤射はないようにしてね。八雲さん」


「……分かったわ。気を付ける」


 柄池の言葉に無表情ながらも反省の言葉を八雲は述べた。

 大空は疑いを八雲への視線に乗せてその言葉を聞いていた。


「こういう風に扱いに慣れないとこんなこともあるから、あとは各自で武器を持って今からある程度扱い慣れるようにしてくれ。これからは危険なことも起きるから、せめて付け焼刃程度でも力は付けてもらうぞ」


 龍富も八雲の件については疑うことはせず、誤射ということで話を進めた。


「これからは各自実際にやって武器を少しでも扱えるようにすること。武器は一つ使えるようにしてくれれば良いから」


 龍富から次の行動を告げられる。

 周りは誤射として扱うようであったが、大空にはこの件で納得は出来ないようであった。

 だが、誤射でないと言ったところで大空には証明できる要素もないことも自身で分かっていた。


(このまま流すっていうのもな……こうするしかないとはいえ……)


 大空は言葉を内心で留めていたところで、古賀松がこちらに寄ってきた。


「おい、どうした、そんな顔して」


「いや、大したことじゃない」


 古賀松の助け舟に似た言葉に大空は拒否を申した。

 古賀松と大空は同じ高校から出た身で付き合いも長い。

 だが、誤射のことを言っても大空の話しに肩を持ってくれるかといえば、恐らくは持たないだろう。

 逆に古賀松から誤射の話をされて古賀松の立場になったとしても、大空は信じない可能性が高いことは自身も分かっていたからだ。


「もしや、他の女の子に嫉妬だったり? 嫉妬はまだ早くないんじゃ?」


「んなわけあるか」


 古賀松の茶化しを大空は軽くあしらう。


「ほら、そろそろ次の行動に移らないといけないだろ」


「はいはい、うつりますよー王駕くんも移らないとなんか言いそうだし」


 大空は更に言葉と共に古賀松の背を押し古賀松は抵抗なく大空の言う通りにした。

 そして大空は使用武器として、警棒を選択して訓練を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ