退魔士試験 2
柄池視点
そして、大学で昼まで過ごして、8人が任務で話し合う時間になった。
8人はいつも通り、教室で任務の話を行っている。
龍富と柄池は黒板の前に立ち、他の6人は席に座ってだ。
「で、今日の話だが、以前も言った通り次は退魔師試験となる。いつも通りやってくれればいいけど、遅刻はないように気を付けてくれ」
龍富からの任務の話として退魔師試験が挙がる。
前回の任務が達成されたため、試験を受ける資格が得られたのだ。
「大丈夫っしょ、俺たち今まで遅刻はないし」
「そういって遅刻したら、笑えないからな」
笑って両手を後頭部に回して、古賀松は話す。
対して、横目で古賀松を見つつ、龍富は遅刻の注意を言葉でも促す。
「へーい、遅刻しないようにしまーす」
古賀松からは嫌味もなく、気をつけるとの言葉が発せられた。
柄池から見ていて、古賀松と龍富のやり取りは以前と変わらないように見えた。
(マッツもリュートも関係は悪くないように見えるね……)
傍らで古賀松と龍富を見ていて、柄池はひとまず安心を心の中で呟く。
前回、交わらない意見をぶつけ合った後で、一時はどうなるかと思ったが、大丈夫だと思ってよさそうではある。
「で、今回は船使って島に行くって決まっているんだ。船酔いは気を付けておけよ」
「はーい」
船で行くと龍富は話すと、愛川から了解の言葉が出た。
柄池としても久し振りの船での移動である。
「場所はどこかい?」
「確か田庄島ってところ、場所も結構遠いから、時間に気を付けてくれ」
行き先に興味が出たのか大空から先に行き先について尋ねる。
その質問に答えたのは龍富だ。
「え、その島って……もしかして、猫の島って言われる、そこ?」
「おお、知っているかー猫好きっては聞いていたから、流石」
手のひらを軽く上げて、大越は猫の島かと確認をとると、柄池は評価の言葉を出す。
答えるには答えるが、大越は時間を置いて答えるのであった、何故か。
「……あ、うん。そうなのよ! 猫好きだから、知ってたのよ!」
小さく頷いて大越はそうだと話す。
どことなく強引さはあったが、照れ隠しの一種なのかと判断して柄池は追及はしなかった。
「っていうことは、猫がいっぱいなのか」
「そう、あそこは猫が神様として祭られてもいるからね。なんでも、かつては漁の時に乗せるだけで大漁になる猫がいたから、その猫を今でも祭って、大漁を願うなんてこともしているの。あそこの猫の待遇はいいものよ」
猫の量について確認する御堂に対して、八雲は解答として、猫がたくさんいる理由も付け加えて語る。
「ほほー……じゃあ、八雲さんも猫が好きってことね?」
「いえ、私は好きでも嫌いでもないわ」
「んーそうなんだ」
愛川の質問に八雲はどちらでもないと無表情で解答し、愛川はやや残念そうな言葉を出した。
これ以上の話は流石に脱線する可能性が高い。
そのために柄池は話を戻そうと試みる。
「で、話を戻すと、その田庄島というところで、化者から猫を守ってほしいということ。それが今回の試験内容」
「見回りとかでなくて、確実に出るとみていいんだな?」
話を戻そうと試験の内容について柄池は語ると、大空は先に敵の存在を聞き出す。
「そうだな。戦って追っ払う必要もある」
「ほーう……」
龍富の肯定に、大空は理解の声を出す。
大空の声は待っていたものが来た時の期待の色に染まっていることが見て取れた。
(なんかいいことでもあったのかな……? 朱鷺子さん)
敵の存在を聞いて期待する大空の様に柄池は心の中で呟く。
今までは敵がいると分かっていて、こんなにも期待するを見ることは柄池には初めてであった。
「敵の狙いも分かるけど、どういう敵が来るかははっきりしてない感じだ」
敵について龍富は語る。
すると、何かを思い出した表情を大空はするが、難しい顔へと変わっていく。
「えっと、龍富。女将のことでだけどさ……」
「ああ、そっちのことでか?」
聞きにくそうな表情で大空は女将のことを話に出す。
龍富は特に感情の変化なく言葉に出す。
「あの人……あれからどうなった?」
「債務を行なっているさ、間違った事をしたわけだし」
大空の女将への心配の言葉、対しての龍富の冷静な言葉。
いつのまにか古賀松は顔を明後日の方へ向けて、柄池と龍富から表情を見せないでいた。
「ただな、債務は軽いものだし、女将さんも早ければ一、二週間で旅館に戻れるって聞いたぞ」
「良かったとは言えるか……一応……」
龍富の言葉に大空は小さく一息をつくと、苦味を含んだ笑いで話す。
愛川も同じ気持ちだったのか、大空同様一息をつく。
(それを聞けて俺も良かったよ、雪紗季さんなら直ぐに債務も終わるだろうし……)
龍富の言葉で安心できたのは柄池も同様で、心の中でも呟いた。
大越も御堂も同じ表情であり、柄池と考えていることは同じと見て取れる。
「ということだ。日時は今週の土日で、あとは行ける人だけど……みんな行けるか?」
「今回行かずして、どうするってよ」
皆を見渡して龍富は意思を聞くと、大空は行かないわけはないと話す。
「私も行くよ」
「私も、私も」
「行けるわ」
「まあ、行けるし」
大越、愛川、八雲、御堂の順に意思を示した。
最後に古賀松の方へと柄池は目を向ける。
「ああ、俺は行けるよ。心配すんな」
心配しなくてもと古賀松は意思を伝える。
柄池自身の顔は心配が浮かんでいたのだろうか。
「ということだ。リュート」
「そうか。なら、俺はそれでいい。あとは細かい事を話していくから、聞いてくれ」
柄池はみんなの肯定の意思を伝えると、龍富はならばと次の話を出す。
すんなり次の話へと持ち込む龍富に違和感は感じたが、理由がすぐに分かって違和感は消える。
(愛川さんの話があってのことか。リュートならあの後何か言いそうだと思ったんだけど、今回は無しということは)
傍らで柄池は感想を心中に留めた。
実はテスト勉強の時に愛川と龍富の話を一部聞いていた。
龍富が愛川に危ないからと再度意思の確認をする事を言われた話をだ。
そのため、言わない事は予想は出来ていたということになる。
それから、8人は任務について話を進めることとなった。




