サッカー
僕は母さんの考え方が意外でびっくりして思わず家を飛び出してしまった。
「AIに支配されている・・・。」
勢いで言ってしまったものの、僕らの状況はまさしくそれにあたるのではないかと思った。
僕らはAIのために原子力発電を見守っている。AIのために。
「悔しい。」
そうつぶやき、うつむきながら歩いていた。
「おーい。」
気がつくと目の前にサッカーボールが転がっていた。
「取ってくれー。」
僕はそれを見知った顔がいる方に蹴り飛ばした。
「おー、Kくんじゃないか。今日は学校じゃないの?もしかしてサボり?」
僕は視線をそらしつつ頷く。
「学校なんて行く意味ないよ。今日は目一杯練習しようぜ!」
アマチュアのスポーツクラブは以前よりもどんどん増えてきている。
皆職を失って、やることがないせいだろうか。
そして、プロスポーツはまだ存在する職のうちの一つである。
「我がクラブも天皇杯優勝目指すぞ!プロサッカークラブになるぞ!」
「また始まった。」
僕は今着替えを持っていないことを伝えると、家に向かった。
「ただいま。」
「学校サボったの?でも授業はちゃんと受けなさいよ。」
「サッカーの練習してくる。」
「サッカーが楽しいのかい?」
「俺、プロサッカー選手になるよ。」