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短編

ゆめみまちのノエル

作者: 繚乱 沙玖夜

ちいさなおんなのこノエルのおはなし。

ここは、ゆめみまちというちいさなまち。

ゆめのくにというばしょにある、ちいさなちいさなまちです。


このまちには「ゆめしょくにん」というしょくぎょうがあります。

これになるのはとてもむずかしく、ひみつのしけんがあります。

そのしけんに、ごうかくしないとなれません。


しけんのしかくはとくにないのですが、まいとしなんにんもしけんをうけます。

ことしもあたらしく、「ゆめしょくにん」のしけんが、ひらかれることになりました。


ちいさなおんなのこが、ふわりととびあがってかんがえごとをしていました。

ゆめみまちのじゅうにんのなかでも、いちばんちいさなかのじょはノエルといいました。


ノエルがかんがえごとをするときは、かならずそらをとびます。

そらをとべばもしかしたらいいかんがえ、すてきなかんがえがうかぶかもしれなかったからです。


「ゆめしょくにん」になるためにはどんなゆめでもつくれなければなりません。

それは、こわいゆめ、たのしいゆめ、すてきなゆめ…。

とにかくどんなゆめでもつくれなければなりません。

ゆめでなら、どんなねがいもかなえられるのです。


「うーん。どんなゆめをつくろうかな。」


ノエルはふわふわとただよいます。


ことしはノエルも「ゆめしょくにん」になるしけんをうけるのですが、なかなかいいこともすてきなかんがえもうかんできません。


「おひめさまになって、おうじさまとしあわせになるゆめ?……だめだめ、よくあるゆめじゃつまらないわ。」


ふわふわとかんがえごとをしながらとんでいるとおともだちのいる、ひろばにつきました。

あおいかみの、おんなのこがノエルにちかづいてきます。


「ノエルちゃん。どうしたの?」

「イリスちゃん。あのね。すてきなかんがえがうかばないの。」


イリスはノエルのたいせつなおともだちです。


「それならわたしにいいかんがえがあるわ。」


イリスはにこりとわらいました。


「ゆめはいろいろあるの。だから、いろんなものをまぜてみたらどうかしら。」


ノエルは、ぱあっとえがおになりました。

というのも、じつはしけんはあしたにせまっていたからでした。


おうちにかえって、ノエルはしたくをはじめます。

おへやには、ゆめのたねがたくさんあります。

そのたねを、すりばちにいれて、ゴリゴリとすります。

そうすると、ゆめのもとができあがります。

この、ゆめのもとに、あしたはステキなスパイスがたされます。

そうしてできあがったものがゆめのこな。

ゆめのこながめにはいると、どんなひとでも、どうぶつでもねむることができるのです。


しけんのかいじょうはちいさなおうちでした。

そのおうちにすんでいるひとはみんななかなかねむれていないようでした。


しけんがはじまりました。

みんなしんけんに、ゆめのもとにスパイスをまぜてすりあわせていきます。

ノエルもまけじとスパイスをいれていきます。

ゆきのスパイスをすこし、ゆきだるまのスパイスをふたふりとおひめさまのスパイス、それからステキななにもかも。

まほうのスパイスもいれて。

きれいにまざるようにすりあわせていきます。

にじいろの、きれいなゆめのもとができあがりました。


「あら。とてもすばらしいいろね。これはどんなゆめかしら。」


しけんのせんせいがノエルにききます。

ノエルはげんきいっぱいにこたえます。


「しあわせなクリスマスのゆめです。」


そう、このひはクリスマスイブ。

あしたはおとなもこどもも、みんなしあわせないちにちなのです。


「クリスマスのゆめ。とてもすてきなゆめね。」


にこりとせんせいはわらいます。

そしてみんなのゆめのこなができあがって、しけんはおわりました。

けっかはあしたのあさ、ごうかくならしろいはとが、ふごうかくならくろいカラスがいえにとんできて、てがみをとどけてくれるのです。


ノエルはしんぱいでなかなかねむれません。


「あした、カラスがきたらどうしよう。」


ベッドでかんがえだしたらきりがありません。

へやのほんだなからほんをだしてよんでみても、なかなかねむれずに、あたたかいミルクをつくってのんでベッドにはいるとようやくねむりました。


あさになりました。

ノエルはゆっくりとおきます。

そとをみると、ゆうびんうけにとりがとまっています。

あわててきがえてそとのゆうびんうけにいくとしろいはとがとまっていました。


「やったあ。」


うれしそうにはとのあしについた、てがみをあけると、せんせいからのてがみでした。


『はいけい ゆめみまちのノエルさま。

ごうかく、おめでとうございます。

あなたのゆめはとてもゆうしゅうで

すてきなゆめでした。

あのいえの、ちいさなおんなのこが

「とてもすてきなおひめさまのゆめをありがとう」

といっていました。

これからも、すてきなゆめをつくりつづけてくださいね。かしこ。』


ゆめみまちのノエルはきょうも、すてきなゆめをつくりつづけています。

きっとあなたのみているゆめも、ノエルのつくったゆめかもしれません。

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