掃除
何十年という期間使用されいない無言の証。
そして、ドアノブを回して開ける。
ぱらぱらと開いたドアから小さな埃が落ちて舞う。
白神は、振袖で口元を塞ぎ顔を背ける。
むせるような埃臭さが鼻腔を刺激する。
ドアから直線で繋いくように一番最初に眼に入るのは、大きな出窓だ。
カーテンで閉められているがその上下の隙間から日差しが見える。
家具の上に埃避けさせていた布はずれ、床に落ちて意味をなしていない。
白神は口を塞いだまま窓辺に近寄り、カーテンを開け窓を開けた。
ふわりと新鮮な風と共に光入るの同時に部屋の薄暗さがなくなり、明るさが増した。
白を基調とした色で統一されている。
「必要最低限の家具などは揃えてある。ここがお前の住処としろ」
白神は窓辺で深呼吸をして、被さっていた布を剥がしていく。
「この真下に、知泉の部屋がある。一番近いな、解からないことがあれば、知泉に聞け」
部屋の広さに唖然としていたいのりは意識を取り戻して、白神に名指しされた知泉に視線を向ける。
その視線には、良い?という意図が含まれていた。
軽い溜息を吐きながら、視線を受けて知泉は頷く。
(そんな迷子みたいな目で見ないでよ……)
「知泉では不足な事もあるでしょう。私にも遠慮なく聞いて構いませんよ」
にっこりと微笑み慧冴は言った。
「――何より掃除しないと」
それと同時に知泉の掌には、掃除道具一式があり各自の掌に投げられた。
「……。ならば手っ取り早い方法が─―」
投げられた箒を掴みながら、白神は嫌そうな表情浮かべてたが、指先をぱちんと鳴らす。
その様子を見た知泉と慧冴が互いの視線を合わせた。
白神は、指先に青白い光を灯し紋様と円を素早く描いて行く。
「いらない。また、組み合わせ滅茶苦茶な術組んで失敗」
呆れた表情を浮かべて、知泉は紋章と円の上から同じ青白い光で線を上書きし、かき消す。
崩れた紋様と円は音もなく崩れて煌めきとなり、散っていく。
「暴走。黒様の落雷にあいたいと言うならば止めませんよ、白様」
「しなければ良いのだろう、しなければっ!」
ぶつぶつと言いながら白神は箒で床を掃きながら二人の視線から逃げた。
二人に口で勝てないと解かっているからだ。
「いのり、手動かす、君の部屋なんだから。終わらなかったから、今夜の寝床ないからっ!」
呆然と立ち尽くしていたいのりは、その言葉で素早く動き始めた。
「何年も使っていない部屋がこの状態か……」
頭には三角頭巾を皺なく装備し、使い捨てのマスク、眼は度のない眼鏡でガード、使い捨ての手袋。掃除が始まると同時に瞬時に早着替えをした知泉の姿。
マスクをずらして知泉は天井の埃や壁の汚れを見て忌々しそうに呟く。
「掃除夫ですね」
ふぅと溜息を吐きながら笑ってしまう口元を掌で隠し、白神の耳元で囁くように言う慧冴。
「笑うでない、慧冴。知れたら、面倒ごとになるぞ」
「しかし、白様。貴方様の口も笑っています」
小声で話す二人の袖口をくいっといのりは軽く引く。
「あの格好ってなあに?」
「あれは、掃除のする格好です。べつに真似はしなく良いですから」
「そうなの?」
「そうですよ」
「あやつが神経質なだけだ」
「――繊細なの。君らと違って、ハウスダスト舐めると、痛い目に遭うだからねっ!」
お手製の洗剤入れた霧吹きを構え、二人の顔に向けて吹き付ける。
何とも言えない痛みと匂いに耐えかねて、無言で悶絶し床で転がる。
「丁度、水が欲しいところだった」
知泉は、いのりの指先を手に取ると、浮遊させていた札を突かせた。
いのりの指先が札に触れる瞬間に、水に触れるような冷たさが感じた。
「冷たい……?」
「僕を冷やかしたから、二人にはお似合いの仕返しをしてやる」
ざはーーっと、滝のような水が二人の頭上に、降り注いだ。
「こういうとも出来るようになるから」
四人は黙々と掃除を行った。
「じゃ、あとは、明日ー」




