一族の末路
少女の好きな菓子を渡して機嫌をとろうしてみる。
「あなた様がそれを気にかけるのが理解できない」
乱暴に受け取り、包装を破り頬張った。
連れには解らない妖精の古代語で少女は、飛び上がる時に言った。
「行くぞ」
連れは、少女の言葉が理解できなくとも表情で、心情を読み取ったらしく声をかけると全身をビクつかせた。
「ここに来ることは辛いこと言っただろう?来るのを選んだのは貴様だ。自分の一族の結果を見たいと言っただろう」
泣き出したいのを我慢し服を握り締める両手。利き手を服から離してしっかりと繋ぎ歩き出す。
「一族の末路は?」
連れは繋ぐ手を強めて、表情を隠すために伏せた。
「――環境は、妖精や精霊が生きて行くには最適だ」
先は言えなかった。それ以外は生きていない。
この現状を見れば理解できることだ。
連れの一族は、人でありながら特別な位置にいた。異種族との伝達役を勤める。
一人の精霊と妖精の戯言を受けたて、神殺しを犯した。
世はそれを大罪とした。
許しを請うために異種族と交わり、赤子を生贄として捧げた。
愚行を繰り返す人に生きてはいけない環境へと変えた。
そして、世界からいなくなった。
それが正しいこの世界に起きた歴史だ。
しかし――と疑問が浮かぶ。
案内をする少女との距離を開けて、声をひそめ後ろにいる連れに声をかけた。
「――やはり、貴様は戻れ」
「嫌、絶対に嫌っ!」