この場所は
どん、と重量感がある音と共に机の上に紙の山岳が完成した。
それはこれから覚えなければいけないこと――そう考えると自分の頭と心は、嫌だと即拒絶反応を示した。
「そんなに嫌そうな表情しないで下さい」
「これを見れそれを言うか……」
向側のソファーに座る苦笑いを浮かべる慧冴。
その真横で紙の山岳を嫌そうに見つめる白神。
「これでも最低限。初歩の初の字だよ」
山岳を完成させた本人――知泉は、溜息混じりで言った。
「これが初歩……?」
「そう、初歩。先ずはここの存在意味、地形――」
知泉は、山岳を指差しながらどこが何の山かを説明していくが、その半分も右の耳から左の耳から抜けていく。
「先ずは、いのり」
「何?」
「君や僕らは、死んでるって理解してる?」
「……。うん、理解してる」
「なら、話は早いよ。ここは簡単に言えば死後の国。でそこで寝始めてる白神は、死後の神様。僕たちは、そこの神に力よって蘇った存在――その存在は、神の人と書いて神人という。一部蘇生の際に神の力が使用されて神と人の半端者になる。そして、ここは死後の世界だけじゃなく迫害によって滅亡まで追い込まれた一族なんかも受け入れている。いうわいる安住の地ってやつ」
山岳の下から器用に日焼けして古ぼけた紙を取り出していのりの前に広げる。
そこには、島々が描かれていた。
「ざっくりと説明すると、ここが今いる居城。周りを囲むようにしているのが移住者たちに貸してる土地。季節は四季を回るようにしてる。基本、神人は居城の敷地内から出る事は禁止」
「どうして?」
「……。昔からの決め事だから。理由は不明だよ」
「先人の言葉には従うものですよ、いのり」
地図を丸めて避けてながら知泉は告げる。
「先人の言葉には従うものですよ、いのり」
首を傾げているいのりの頭を荒い手つきで撫でる。
「今はそれだけ。ここから出ないこと」
知泉は、資料の本を山から選びながら顔を伏せてまた告げる。
どうして、といのりは口にしようとした。
「返事は、いのり?」
強めの声色で、顔を上げた知泉の視線は鋭い。
いのりは、その視線に肩を揺らし無言で頷く。
「良い子ですね、いのりさん」
「いのり、そなたの部屋に案内するぞ」




