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産声
生き物のように蠢く鞭は、持ち主ように隙を見せれば命を落とすような鋭い攻撃をしけてくる。
自分が苦手とする死角となる背後や頭上を連続として攻撃し、意識を向けいれば視界に入る範囲での攻撃に切り替える。
「同じ攻撃であっても、余程のバカでもない限りは幾度も変えます。この程度の変則には付いて来て下さいよ」
ため息混じりで深紅の三つ編みを背中に払いながら、鞭を手中に収める。
その目の前には、息切れした膝をついてその場に座り込む。
「ぼく、ち、のう、はっだ!」
「数分で逝きそうなご老人のような様ですね……」
彼が言いたいことは理解できる。
「僕は知能派。それは認めます。それだけで戦闘は生き残ることなんて難しいですよ」
再開します――と声に出そうとした時にき、んと高い音が耳に聞こえた。
彼らだけがこの音を聞くことができる。
同族の産声だ。その産声は二つ。
「また、仕事が増えた……」
「面倒なことこの上ない事です」
二人は、主がいるであろう居城へと小走りで向かう。




