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二つの神  作者: Innocent
黒白
33/40

命を犠牲

掌を暗闇に差し出すと、その掌を掴む感触があった。


 それを掴んでぐっと引き寄せた。


 すると掌から二周りほど小さな掌が現れ胴体、爪先――その姿は額を合わせている幼児だ。


 「いつまでもこんな場所にいないで、長く短い生を生きるぞ。いのり」


 そして、瞼を開けると晴々とした向日葵のような幼児の笑顔があった。


 「ここは途絶えた生がまた続くことを許される。だから、そなたの子孫を残すことも可能だ」


 幼児を降ろすと、苦笑いを浮かべて幼児の頭を優しく撫でてやる。


 「その年齢とその身体では無理、だな」


 「母さんも言っていた。いのりの子供は見られないかもしれないって」


 「……命を犠牲し成長することは可能だ」


 「命を犠牲?」


 「十年犠牲にすればそなたは成人になれる。しかし、その数年で死ぬかもしれんぬ。その腕に子を抱くことは出来ぬかもしれぬぞ」


 「やって」


 「良いのか?話を理解し判断しろ」


 「良い。僕はここにいたって証拠を残したい」


  幼児の揺ぎ無い決心を聞くと、下がり気味になっていた顎に指先を添えて上向きにすると、そのまま額に指先を当てた。

 幼児の足下からひ真っ白な光が煌めき、身体を包み込むと光の繭となった。


 「花は煌びやかに咲き枯れる。枯れるときを狭めろ」

 詠唱を終えると光の繭は音もなく消える。

 幼児ではなく青年というのにふさわしい体格。

 体格の変化に驚きで見開いている薄紫の双眸。

 一気に成長をとげた為に爪先まで伸びた緑色の髪。


 「大人になってる……」

 「どこか不調はあるか?」

 「わかんない……」

 「目覚めたばかりで理解が追いつかないのであろう。――今は眠れ」


 そして、意識を失った。

 強制的に眠らせた身体を片腕で担ぐ。


 「すまぬな、この場所を我ら以外に知られるわけにはいかぬ」


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