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二つの神  作者: Innocent
彼らの日常
18/40

強制連行

 「まぁ、あれを経験したら迷いも理解できます。そんなお表情を他者に見られたら恐怖心を与えてしまいます」


美人をエスコートする深紅の青年が苦笑いを見せて、美人を宥める。


 「私がどれだけ苦労したのかを見ていただろうっ!」

 「見ているよ、だから言ってるの。新人さんに気づかれると面倒じゃない」

 「そうです。面倒事は、嫌だと毎日のように言っておりますよね?」


 笑顔を浮かべて諭すように言っている深紅の青年だが、視線は逆らうなという強い感情を感じる。


 (半ギレになってる……)


 うっと美人は言葉に詰まり、二人の青年は内心一息漏らした。

 二人の青年は、美人をはさんで左右に立つ。

 三人の中で美人が一番身長が低い。

 二人の青年と美人は頭一つ分の身長差がある。


 顔を伏せた美人を二人の青年は、横目でお互いの視線を合わせた。


 ――これ以上の感情の高ぶりは、面倒事になる。


 (強制帰還に変えるけど、良い?)


 小柄な青年は、深紅の青年に目配せをして咳払いをした。

 合図であり深紅の青年の意思確認だった。


 (そうして下さい。補助します)


 深紅の青年は、小柄な青年の掌にあったチョークを折って二つに割る。

 そして、描きかけの陣を描き始めた。


 「すぐに呼ぶから」


 美人に言うと、歪になったチョークを持ち直して深紅の青年の反対側を描き始める。

 楕円形の内部は色彩がないものの繊細で、鮮やかな美術品を思わせる絵柄や文字がくみあわせてあった。


 「よし、完成」


 小柄な青年は、手に付いたチョークの粉をパンパンと払い落とした。

 床から立ち上がり完成した陣を見回す。


 (間違いは……うん、ない)

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