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笑う
結界を小柄な青年ように切り離した。
「今だけありがとう」
小柄な青年は、深紅の青年の気遣いに駆け足を止めず振り返りながら、大声で言った。
「お礼はもう頂きました」
その意味を知らない小柄な青年は、?を浮かべて姿を消した。
「あれに自覚がないのが不思議ですね……」
見えなくなった小柄な青年を浮かべて、呟く。
忠義という感情だけにしていいのかと疑問に思う。それは自身にもあてはまる。
「どうした?」
「……。いいえ、美しい顔だと見惚れてしまいました」
跳ね上がった鼓動から来た沈黙をなんとか誤魔化し通した自身を褒め称えた。
(あぶない、今のは。赤面しない私も成長しましたね)
微笑を浮かべている顔の裏で、鼓動は高鳴りを引き摺る。
考えている内に美人と深紅の青年との距離が縮まり、顔を上げたときには美人の顔が間近にあった。
憂いの視線の先には、結界の外側。
その視線を遮るように深紅の青年は美人の前に立ち塞がる。
「行きましょう、貴方は影響が強すぎる」
「……ああ、すまない」




