そのためにいる
捻くれた性格をしていると小柄な青年は、深紅の青年を再認識させられた。
握った深紅の青年の掌を力の限り握り小柄な青年は仕返しをする。
「わが主よ、私たちは、貴方のためならこの命を捧げて、あなたとひとつになりたい!」
「ーーだから、こちらに来てほしい。そちらではなく、私たちの主に!」
支柱の外側から聞こえた声は失望感に満ちていた。
二人の青年は言語が理解できないようで気も留めない。
「後々、土地をやろう」
変換する魔術を発動して、美人はそう言った。
湖に鉄が沈んでいくような感覚が冷たく胸に受け止めた時、更に冷たさを増した。
「行きましょうか」
「どうするの、あれ?」
二人の青年は、並びゆっくりと美人へと歩きながら小声で言う。
小柄の青年はとぼける深紅の青年に苛立ち、眉間に皺を寄せた。
「あれとは、何でしょう?」
「とぼけないで、腹立つ。新入りさんたちに相当嫌われた」
小柄な青年は人々の攻撃的な視線を視線で指す。
「我らは守れればいいでしょう。こんな事どうでもいい」
深紅の青年は両肩をあげ、くすりと冷笑する。
「それだけの為に生かせている」
「そうだけど…暗い顔、させてどうするって聞いてるの?」
その様子を美人は無表情を崩してはいないが、二人から見れば不安だと出ていた。
「あのお方が帰って来たようですから平気でしょう」
深紅の青年は暗闇を指で指す。
その方向には、暗闇を龍ではなく輪郭がはっきりとした淡く光る白い人影。
こちらの方向に歩いて来るのが見えた。
それが出来るのはただ一人。
「あ……ホントだ。どこで何してたんだか」
小柄な青年は、その人影を出迎えるために居城へと駆けて行く。
その様子は、飼い主を待っていた忠犬を連想させ深紅の青年は、口元を掌で覆い隠し小さく笑う。




