深紅の性格は癖がある
「あなたの十八番をやらないとは、小さいだではなくバカもつけます」
腰のポーチに収納された黒い鞭をうねらせて、道に叩き付け鞭の音を響かせた。
突進していた人の波は、身体を強張らせ硬直し深紅の青年に視線が集まる。
人の波に植え付けられた武器への恐怖心を目覚めさせた。
深紅の青年の周りに居た人々は、ゆっくりと距離を置き始めた。
そして、恐怖から美人と小柄な青年へと駆け寄る。
「我らに守りの白き檻をおろせ」
素早く短い声で言った。
ぼんやりとした弱い光を放つ円と文字を組み合わせた紋様が深紅の青年の足元から展開する。
それは美人と小柄な青年も紋様の内側へも入れている。
ぼんやりとした光を増して、支柱となり二人の青年と美人を囲む。
駆け寄ってきた人々は、支柱の外側で深紅の青年を睨み付ける者や恐怖に怯えて美人を見つめる者もいた。
(悪役も良いですよ、それで守れるならば)
深紅の青年は睨みを背中にし鞭をまとめ、ポーチへとしまいながら小柄な青年と美人へと近づく。
衝撃に見構えていた小柄な青年は、口を大きく開けてペタンと座り込んだ。
「ご安心を、無害な類の結界です」
美人は深紅の青年に視線を向けると、問われる前に答えを言う青年からは微笑みは消えて真面目な表情で言った。
そして、座り込んでいる小柄な青年に近づき屈んで掌を差し出す。
小柄な青年が照れ臭そうに掌を握って立ち上がろうとした時、にっこりと微笑を浮かべた。
「小さく愛らしいお方、怪我ありませんか?」
「見直した時に言ってホントに捻くれた性格してるよ、アンタはっ!」
小さい、愛らしい言葉が一番嫌い。
気持ちが浮いた時を狙って、嫌味という爆弾を落とす。




