二人の青年
――感謝を、お礼を!
掌の波を防ぐ堤防をしながら二人の青年と美人は、中庭にある石居城への石造りの道を歩く。
二人の青年は、後ろにいる美人に殺気混じりの気配を遠慮なしに向けた。
その気配を感じると、美人は肩を畏縮させて顔を俯けた。
「また、城の結界強化の為に私が頭を下げなくてはなりませんねぇー」
のんびりとした口調だが、言ってる事には棘がある。
前方の青年からだ。
深紅色の長めの前髪から見える黒の双眸には、怒りが見えていた。
整った顔ちは微笑んでいるか偽物だとわかる。
深紅の長髪を三つ編みに一本結いし、身体は細身であるが掌の波を両腕で押し退けている事から筋力は並外れだと誇示していた。
「学習能力ないの、この人。前回もこういう事になったのに」
ため息を吐きながら、呆れている声は後方から。
灰色混じりの黒髪は短く切り揃えられ、桃色の双眸は掌の波をにらみ付ける。
少年から青年へ成長期ので深紅の青年よりは小柄で愛らしい。
「痛い、ちょっ、踏むなっ!」
「大事無いかっ!」
真っ青な顔色をして美人は小柄な青年を後ろから抱きかかえて上から下をじっくりと間近で観察する。
「抱き付かないでっ!」
降ろしてよと赤面させた青年は、睨みをきかせた。
守りが崩れたのを人々は見逃さずに、美人に向かって突進して来た。
美人の腕から素早く抜け出し、人の波を防ごうと両腕を目一杯伸ばす。
衝撃を覚悟し、目を瞑る。
「不便ですね、愛らしくお方は。小さくて愛らしいお方は」
ワザとらしく小さいと愛らしいを強調した嫌味が後ろからだ。
もちろん、美人が言うわけがない。
残るは、深紅の青年だけだった。




