表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つの神  作者: Innocent
黒の日常
11/40

契約

 最後の龍が触れて姿を消すのを確認すると、数珠はひとりでに首に垂れ下がる。

 そして、ベランダの縁に乗って中庭に飛び降りる。


 「我は汝らと契約する。我は汝らの守護し、この大地を貸与する」


 注目を完全無視し、高らかに宣言するのと同時に掌から無数の小さな蝶が生まれ人々の肩に止まる。

 宣言は魔術でそれぞれの異界の言語に変換されている。

 戸惑いや怯えの表情を見せている者。

 

 商人は蝶と戯れている。


 「三つの約定を命懸けで守れ。一つ、部族間は不可侵、二つ、天寿をまっとうする、三つ、血族を見せる」


 怯えている者と戸惑っている者は、きょとんとしていた。

 そして、ゆっくりと理解していく。 

 迫害される事もなく争いもない。

 老いて死ぬ事と家族をつくる事を義務付けるのは、神で、見守ってくれるという。


 「うぅっ……」


 一人の老婆が泣き声を上げながら両膝から崩れるように座り込んだ。


 感染病のように、人々は泣き崩れて、頭を下げた。

 定住者のみの条件なので、商人は蝶と戯れると握りつぶした。

 光の粒子となり、飛散する。


 「約定に従うならば、蝶に触れよ。それで良い」


 無表情を崩してはいなかったが、声は慈愛に満ちていた。

 小刻みする指先でそっと蝶に触れた。

 触れた瞬間に飛散し、それぞれの腕に合った腕輪となった。


 「契約はなされた。歓迎する、胎かよ」


 契約を結ぶまでの流れで心酔した者たちが黒の美人に触れようと掌を伸ばす。


 日差しに焼けた掌、皺だらけの掌、白い掌――掌が重なり合い掌の波と人だかりになっていた。

 そして、様々な言語が悲鳴のように飛び交う。

 きっと意味は同じだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ