表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻奏楽団キリギリス  作者: 語部 もどき
675/834

君は待っていた

逸る足 朝露に濡れた草を踏む音を響かせ

杜の静かを分け進んでいく 約束の場所で君は待っていた



降り注ぐ木漏れ日にはしゃぎ

小さな身体で日溜まりを追っていた暑い夏の昼


帰り道を見失い泣きじゃくる私に

恐る恐る近付き繋いだ心の手と手

不安で仕方ない私を君が導いてくれたから歩くことができた


寂しげな視線を感じた気がした果敢ない君に名を預けた夕暮れ

確かにその存在に触れ永遠の泡沫を理解した


また明日と告げ去り行く私を見送る長い影

変わらない姿のまま約束の場所で君は待っていた



何でも話したかった 語る私の隣で頷いてくれていた君は今


黄昏を覆う霧の中暗い帳の奥深くで

降り積もる雪の調べをひとり聴いているのでしょうか

静寂は君を包み寒さを和らげてくれるのでしょうか


逢う度に目線が追い付いていく私に君は優しく微笑むから

思いは募っていくばかりで肌を伝う切なさが痛い


逢いたい 君が傍にいない季節が私は苦しい 息が詰まる程

私だけを約束の場所で君は待っていた



風と遊んだ後の涼やかな夜の川辺 君の残響を抱き締め

迎えた朝の空に昇る金の瞳が気紛れに零す銀の雫


温かな哀しみに濡れる頬を拭ったら

眩しい夢は沈んでしまうのでしょうか それでも私は君を忘れない


温もりを知るまでの憐れな命 君は充たされた顔で

鎮まる魂の最期の言葉が私を大人にするから


柔らかな蛍火の輝く約束の場所で君を待っている

ずっと“愛しているよ”

『君を待っていた』とシリーズの作品です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ